http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001
  
 新潟動物ネットワーク  
No.122

東北地方太平洋沖地震 被災地応援ボード 
~ペットを飼っている被災者のみなさまへ~
http://ndn2001.com/ndn/animal-support/index.html


保護犬を通して犬を学ぶ


 2003年3月、高速道路で保護された柴犬の女の子を譲り受けたことでNDNの会員になり、その数年後、犬班の活動をお手伝いするようになった。
 熱い思いのバトンによって私の所まで縁を繋いでくれたNDNスタッフさん。
 NDNの「1匹でも多くの命を救いたい」という熱い思いのバトンを引き受け、バトンを託された者として、岡田代表、皆さんと共に活動を始めたいと思った。(昨年末に諸事情でスタッフを引退。)

 一時保護者として、たくさんのわんちゃんと関わってきたが、問題を抱える子と接する機会が多く、スリリングな経験もさせていただいた。
 「嫌なことは、唸るか噛みつけば避けられる」と覚えてしまった子も居た。ひどくなった理由のひとつは、叱り方で「叱られている」と感じずに、「攻撃的にされている」との誤解からである。愛情不足な上に間違った叱り方(しつけ)が原因だと思う。
 臆病な子はもちろん、気が強い子も厳しく叱り過ぎては信頼関係など築けない。
 わんちゃんは大好きな(信頼しきった)人間を本気で咬むような行為はできないと私は思う。

 現在、2012年10月にセンターから引き出したマルチーズ♂7才(保護名こはく)をお預かりしている。
 センターでは素行が悪く譲渡不可となり、NDNに話が来た子である。犬舎での判断はできないと思い、職員さんに相談して書類を出し、1週間程自宅で様子を見ることにした。
 コハクもかなりのつわもので、嫌なことは噛みつけば避けられる。叱られる=攻撃される。さわられる=嫌なことがある、と学習している。そしてスイッチが入ると何度も執拗に咬み付く野獣。俺は最強と思っている勘違いわんこ(笑) 体は2.4㌔と小さく、本気で咬まれても大したことは無いので、悩みながらも保健所へは戻さなかった。
 少しでも改善できればと、今井訓練士さんのグループレッスンで、人間では教えられない犬社会も学ばせて頂いた。自称最強犬は6ヶ月のラブラドールに挑み、何度も小突かれ敗北感を味わい、私に助けを求め、功を奏した。他の飼い主さんからおやつを貰ったり、犬同士の挨拶も交わせるようになって、私を頼り、顔つきが優しくなってきた。
 タッチングで、どこでも触れるようになり、最初、グローブを着けてのタッチングを思い出すと笑ってしまう。今も気難しいところはあるが、呼び戻し、待て、フセ、ハウスなど、屋外でもコマンドをしっかり聞き、超甘えん坊と可愛く、許容範囲と思っている。(今も膝の上で寝ている。)

 わんちゃんに関しての本やホームページには様々な情報があり参考になるが、一見良い方法にみえても違う本があったり、ホームページには逆のことや批判まで出ていたりする。
 「犬に舐められるな」、「リーダーになれ」、という説話にとらわれて、無理にわんちゃんをひっくり返したり(アルファーロール)、マズル(鼻面)をつかんで嫌がることを無茶したり(マズルコントロール)。わんちゃんはその人間を好きになるはずは無いし、身を守るために牙を剥くことにもなるだろう…
 育った環境が特殊であったり、年齢、素性不明である保護犬と上手く付き合っていくには、なぜそうなるのかを、まず自分や環境を見つめ、保護犬を見つめ、保護犬の気持ちを読み、お互いを認め尊重しながら共存していこうよ、というのが望ましいスタンスなのだと思う。力ずくで上下関係を築くのではなく、自然に保護犬がこの人間を信じようと思わせること。怯える、唸る、咬むのスイッチを押させないことで、保護者も保護犬を信頼する。
 人間側が良かれと思った行為でも慣れない保護犬には迷惑千万なことが沢山ある。
『群れのリーダー』にあまり囚われることなく、わんちゃんを従順に従える方法はあるのではないかと思う。
 人間とわんちゃんは上下関係だけでなく、友達関係(横並びの関係)も上手に作れるのではないか。保護犬を観察していると常に何らかのボディランゲージやサインを発している。
 なんとな~く保護犬の感情が伝わって気持ちが読めるような…
 服従心も大切。でも全てではないと感じる。

 咬み癖などの問題行動が原因でセンターへ持ち込まれるわんちゃんも少なくない。
飼い主も悩んでセンターへ連れてきたと思うので(思いたい)、飼いきれないと諦める前に、是非、専門家に相談して飼い続ける努力をしてほしい!
 プロでも無い私が、問題児の成犬を一時預かりできるのだから、仔犬から飼った飼い主が扱えないはずが無いと思う。最期まで飼い続けるためにも犬を学んでほしい!
 如何なる場合があろうと、最後の最後まで飼い主が責任を持ってあげることが飼っているわんちゃんに対する愛情だと思う。                 
            
(右端がこはく。認知症で徘徊する柴犬ひなに襲いかかるのに、くっついて寝ます。)

新潟動物ネットワーク/犬班(元)
野澤 美穂
平成26年3月1日掲載

新潟動物ネットワーク  バックナンバー
1 里親探しています。 2 なぜ、のら猫になるの?(その1)
3 なぜ、のら猫になるの?(その2) 4 なぜ、のら猫になるの?(最終回)
5 「馬」のこと 6 犬班の譲渡活動について
7 学校啓発班の活動 8 多頭飼育班の活動について
9 フリマの活動について 10 動物虐待を考える
11 レクレーション活動について 12 中越地震における新潟動物ネットワークの対応
13 「お礼状発送係り」を担当して 14 2004年度会報作成を担当して
15 携帯当番を担当して 16 ボランティア活動とお金
17 “動物好き”に翻弄される動物たち 18 「生きる使命を与えられた動物たち」
    ~猫の一時保護を通して~
19 パネル展と講演会のお知らせ 20 一時保護で変わる犬の運命
21 動物たちを考えるパネル展 22 外国人の目から見た日本の動物たち
23 猫の飼主探しから、素敵な出合い 24 村上東中学校で「命の大切さについて」
25 「動物たちへ少しのお手伝い」 26 「冬の野良猫」
27 小さな命を救いたい 28 うさぎとラビットファー
29 捨て猫しゅんすけと新潟動物ネットワーク 30 リニューアルしました
31 今年は写真展とトークショー 32 優しい出会い
33 小さな命の移動販売 34 クーちゃんと暮らして
35 山に捨てられた猫 36 こどもたちに「命の大切さ」を伝える活動
37 ある犬の繁殖場 38 ある繁殖業者の廃業
39 愛犬からのメッセージ 40 聴導ねこ誕生!?
41 新潟動物ネットワークに参加して 42 気になっている事
43 中越沖地震 44 NDNフェスティバル「身近な動物問題に目を向けて」
45 NDNフェスティバル
 「身近な動物問題に目を向けて」を終えて
46 猫の譲渡会をします
 47  動物との係わり合いとアクシデント 48  NDN カレンダー
 49 雑感・携帯当番 50 犬の一時保護活動を通じて
51 ホームページのリニューアル 52 大平森林公園での犬の譲渡会を終えて
53  犬と猫の譲渡会 54 子猫を拾ってしまった
55  今年のフェスティバルは盛り沢山 56 進化していくNDNフェスティバル
57  譲渡会を終えて思う事(犬班) 58 「わんにゃんカーニバルIN朱鷺メッセ」を視察して
59 子猫を拾って  60 カレンダー送付係を担当して
61 猫の譲渡会での出会い 62 高齢猫「ぽっつ」
63 新潟動物ネットワーク(NDN)のスタッフとして 64 犬好きおばさんの話
65 気になる季節になりました 66 ゴールデンルール
67 新潟市で猫の不妊手術の助成金制度 68 今年もNDNフェスティバル2009開催!!
69 犬たちの暑い夏 70 「猫にピアス」
71 えほんのよみきかせ 72 犬の譲渡にまつわる思い
73 新年の始まりの交流 74 ホメオパシー勉強会
75 トラちゃんとミケちゃん 76 黄色いエンヤコラ
77 にょろ松イリュージョン 78 切なる夢
79 NDNフェスティバル2010 80 NDNフェスティバル2010
81 小さな命 82 赤い首輪
83 見果てぬ猫の楽園 84 継続は力なり
85 ペットショップに行く前に
        …ぜひ犬猫譲渡会へ!
86 雪の日に保健所を訪ねて
87 全ての尊い命 88 大震災に思うこと
89 恒例!
  NDNフェスティバル 2011のお知らせ
90 猫算(ねこざん)恐るべし!!
91 インターネットと現実
~ボランティアに保護されている犬猫は福島県だけで1300匹以上いる~
92 『同伴避難』~
~家族だからずっと一緒~~児玉小枝著~~出版に寄せて
93 「たくさんの想い」 94 新潟県動物保護管理センターにおける保護動物の譲渡活動について
95 NDNの活動を振り返って 96 新潟県のみなさまのお蔭で。
97 子供達と考えるペットの命〜 学校訪問活動 98 今年も猫の季節が近づいてきました
99 NDNのボランティアとして参加してみて 100 6月24日開催
 ★NDNフェスティバル2012「震災を考える」(1)
 〜新潟県初
  「太田康介氏・のこされた動物たち写真展」開催〜
101 6月24日開催
★NDNフェスティバル2012「震災を考える」(2)
〜新潟県は「ペット同伴避難訓練発祥の地」です〜
102 NDNフェスティバル「震災を考える」を終えて
103 「新潟県動物愛護センター見学記」 104 「動物愛護フェスティバル」
105 <動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました> 106 涙の数は人間のためより動物の方が多い
107 NDNでボランティアをして思うこと 108 *NDNの譲渡会*
109 表参道・新潟館ネスパスでの「講演会」&
汐留メディアタワーでの「写真展」のご案内
110 シンポジウム
 「被災動物とペット防災を考える」のご報告
111 野良猫から幸せニャンコへ 112 <動物愛護管理法改定に寄せて>
113 祝!!新潟市動物愛護センターオープン 114 NDNスタッフになって
115 自己管理とボランティア 116 保護猫たち
117 今年も「NDNフェスティバル2013」を開催します! 118 動物愛護法が改正されました
119 猫の言葉 120 初めて犬を飼ったのは
121 ボランティア活動と私の歩み 122 保護犬を通して犬を学ぶ

新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。
   もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・
新潟動物ネットワーク 090-2844-4881  メールndn2@ndn2001.com
  http://ndn2001.com
※里親になってくださる方はこちらから(H23.1 リンク変更)
  http://ndn2001.com/owner/index.htm
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