新潟動物ネットワーク No.87 |
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全ての尊い命 |
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この度の東北関東大震災で被災された皆様と動物達に心からお見舞い申し上げます。 私は長岡市在住で中越大震災・中越沖地震を経験しています。 中越大震災では、最高震度5以上が地震発生からおよそ2時間の間で10回(うち震度6以上3回)起こりました 。 夕方5時59分の地震発生当時、私は1人で職場にいましたが、自宅に残した愛猫チイの無事が心配ですぐに戻りました。 自宅に近づくと一切の電気が消えていて真っ暗闇、停電している事がわかりました。 そのまま自宅に戻ったのですが、勿論家の中も真っ暗。懐中電灯も当時は用意がなかったので、黒白八割れ君の愛息子を探すのに苦労しました。 後にTVで被災者さんが「懐中電灯がなかったので携帯電話のカメラのフラッシュを使って灯りにした」と言っているのを聞いて、「なるほど」と思いました。 私が暮らす街はライフラインの全てが止まりました。 古い建物は、生き物のようにのたうち回り、倒壊した家もあります。私の実家も全壊でした。ですが、その時に皆が口にした言葉は「命があるだけもうけもの」でした。 命の危機が身に起きた時に、生きる上で本当に大切な事を思い出させられます。 決してそれはお金や物ではなく、真心と優しさでした。 愛する者たちが生きていてくれる、労り合える仲間がいる、それだけで生きる支えになりました。 あの時は街中が結束していました。 私が電気が通って最初にした事は釜いっぱいご飯を炊いて、具も何もない塩おにぎりを握って、まだ電気の通らない地域の知人に配る事でした。 夜は家中の灯りをつけたままにしました。 幸い我が家は台所以外の損傷がなく、愛猫がいたので自宅で過ごしましたが、家の周りには自宅前にテントを張ったり車庫内で過ごす人達もいたので、家に灯る明かりを見てホッとして欲しいと願ったからです。 ですから今回の大震災による被災地の方々の言葉の1つ1つが心にしみるように分かります。そして被災経験をしているからこそ、今はその存在が隠れてしまっている小さな命達が心配でなりません。 震災の爪跡に残された泥だらけの動物をTVで見ると胸が痛みます。 画面の隅に動物を見つけられないかと探します。 日本、そして世界中の思いやりの目があの悲惨な被災地と被災者に注がれている今、私達はその奥に隠れてしまっている小さな愛しい命達の為に出来ることを頑張っていきます。 彼らもまた被災者です。 不安・恐怖を抱えながら懸命に生き、家族と離れ離れになった仔達は家族を待っています。 県内に避難される被災者の中には、愛する家族であるペットを同伴されている方々もいます。 毎日被災地の動物達の悲しい情報が入ってくる中で、「連れて来てくれてありがとう」と心から思います。 被災地に残されているかけがえのない命達を想いながら、この地に来てくれた彼らに「必ずまた幸せな日々が訪れるから!」と出来る事を精一杯していきたいと思っています。 県内の自治体が、人も動物も全ての命に優しく接してくれますように。 そして私達1人1人の小さな力を沢山集めて大きなパワーに変えて応援し、被災された命全てに心からの笑顔が戻る事を願っています。 |
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新潟動物ネットワーク 猫班 中野真理 |
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平成23年4月1日掲載 | ||
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