新潟動物ネットワーク No.99 |
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NDNのボランティアとして参加してみて |
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今年の春、更なる進学とともに新潟を離れることになり、私のNDNでのお手伝いも先日の譲渡会で最後となりました。実質、活動に参加できたのは4カ月という短い期間でしたが、譲渡会や学校啓発活動、パネル展示…。それぞれの活動の中身は、とてもとても濃いものでした。 私の実家はもの心がついたときから犬がいるのが当たり前の家でしたが、譲渡会のような場で動物を貰い受けたことはありません。当然、一時保護されている犬や猫たちに出会うのも初めてのことでした。譲渡会に参加する動物たちは、人の勝手で放り出されてやむなく保護され、一時は命が消される危機にあったようなコたち。そんなイメージがあって、初めは心のどこかで哀れというか可哀想という思いが強くあったように思います。しかし、実際にそんな事情ある犬や猫たちに接していくうちに、彼らを素直に「かわいい」「愛おしい」と思う気持ちがムクムクと大きくなっていきました。 なかには、接する際に注意点があるコや、人見知り、犬見知りが激しいコもいます。これまでのこのコの犬生に何があったのか…、と考えると暗くなってしまいます。しかしその反面、人に個性があるように、動物たちにもそれぞれ個性があるのだという当たり前のことに改めて気付かされました。 一人暮らしで動物と接する機会が少ない私にとって、不謹慎ながら譲渡会は大好きな犬猫に会える嬉しい時間でもありました。実家の愛犬のこともよく思い出したものですが、その度に考えるのが、「愛犬もこのコたちも同じ犬なのに、このコたち自身は何も悪いことはしていないのに、どうしてこのコたちには心から甘えられる家族がいないのか」ということです。いちばん辛いとき愛犬の存在に救われた自分としては、このコたちの境遇が(たとえそれが悪意ではなく無知によるものであったとしても)人間の勝手な都合によるものであることには心が痛みます。 ペットを迎えれば誰でも飼い主になれるわけではない、ということは、ペットショップでは教えてくれません。NDNの譲渡では、正式譲渡が完了するまでいくつかの手順があり、また、里親希望者さんに対する諸条件や医療費用の一部負担、飼養する上でお願いしていることもあります。これらの諸々のことは、私もボランティアとして参加して初めて知ったことです。しかし、人と動物双方の幸せのために、ひとつの命を預かる覚悟を量るには、本来どこにでもあって然るべき手続きなのだろうと今は思います。 NDNの活動を通して知ったこと、考えたことはここには書ききれないほどたくさんあります。しかし、私自身はそれらをまだ自分でかみ砕ききれていないような気もします。今はまだ、荒削りの答えや感情に行き詰まってしまいますが、今後もこのような動物たちと向き合い続けることで、「人と動物との共生」について自分なりに考えを深めていけたらと思います。 |
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芳賀 香 | ||
平成24年4月1日掲載 | ||
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