新潟動物ネットワーク No.105 |
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<動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました> |
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1973年に初めて動物の保護に関する法律ができて以来、3回目の改正に当たる今回は、今まで以上に社会の実態に対応した法改正になりました。特に、動物取扱業者についてかなり具体的に厳格化されています。新潟動物ネットワーク(NDN)として喜ばしいのは、8年間に渡り取り組んだ「劣悪多頭飼育」について、以前よりは実行力のある法律上の縛りができたことです。環境省に対して、法律が整わなければ悲惨な状態に置かれた動物たちを救うことはできないと、新潟での事例をまとめて資料を提出、切実に訴えたことが一助になったとしたら幸いです。実験動物と畜産動物が手つかずで終ったのは大変残念ですが、今後は、これらの動物も法で守られる権利があることを社会全体が認知していく必要性があると思います。人と動物がより良く共生する社会の実現に向けて、引き続きの法整備とともに、飼い主さんを含め、動物と関わる全ての人の自覚と責任が求められるのは言うまでもありません。 以下、大きく改正された内容についてピックアップしてみました。 ★動物取り扱い業者の適正化 1、 動物取扱業の適正化(規制強化) 従来の動物取扱業者(=「第1種動物取り扱い業者」と名称変更)のうち、犬猫等の販売業者(繁殖業者も含む。)に対する縛りが厳しくなりました。 (1) 幼い動物や繁殖動物の健康や安全を保つための体制整備や、販売できなくなった犬猫等の扱いについて計画書を作ることが義務づけられます。(=「犬猫等健康安全計画」) (2) 狂犬病予防法、鳥獣保護法、種の保存法、特定外来生物法違反で有罪になった場合は動物取扱業の登録が一定期間拒否できるようになりました。 (3) 感染予防のためのワクチン接種などや、飼育困難になった場合の譲渡に努めること、原則、最後まで飼養することが義務づけられました。また、獣医師との連携も必要になりました。 (4) 販売する際にきちんと実際の動物を見せること、直接、飼い主に対して書面で飼育方法や出生履歴などを渡すことが義務づけられました。 (5) 生後56日を経過しない犬猫の販売や展示をしてはならないようになります。(ただし、施行後3年間は45日 、さらにその後、別に法律で定める日までは「49日」に読み替えるという移行的な扱いになっています。) 2、「第2種動物取扱業」の新設 非営利で飼養施設を設置して動物の譲渡等を行う施設が新しく届出制になりました。これは、シェルターを持つ動物愛護団体や、公園の展示施設や公的な訓練校などが含まれます。動物の種類と数、施設の構造と規模、管理方法などの届け出が義務づけられ、不適切な飼養や保管が行われている場合は指導や勧告ができるようになりました。 ★犬猫の引き取り これまで、売れなくなったり繁殖できなくなった犬を行政に持ち込む動物取り扱い業者の事例があったことから、今後は、状況に応じて引取りを拒否できるようになりました。また、行政に収容された犬猫は、迷子の場合はできるだけ元の飼い主を探して返還することと、飼い主がいないものは新しい飼い主への譲渡が努力規定に盛り込まれました。 ★多頭飼育の適正化 多頭飼育については、虐待の可能性を根拠に勧告・命令が出せるようになりました。また、地方自治体が条例を設けて届出制とすることができるようになりました。これによって、今まで実態すら掴めなかったケースや、山の中など民家と離れた環境で飼養されていたため、どうすることもできなかったケースでも対応できるようになります。また、勧告や命令の対象となる内容が具体的になります。 ★災害対応 今までの法律ではまったくなかった災害時の動物対応に関する施策を、各県で策定している動物愛護管理推進計画に盛り込むことが決まりました。また、動物愛護推進員の担う役割にも、災害時の動物避難や保護に対する協力が追加されました。 ★その他 ◎法律の目的として、遺棄の防止、動物の健康及び安全の保持、動物との共生等が加わります。また、基本原則には、動物に対する適正な給餌給水や飼養環境の確保が加わります。 ◎罰則の強化 愛護動物の殺傷は2年以内の懲役または200万円以下の罰金に、虐待は100万円以下の罰金に引き上げられました。獣医師に対しては、虐待を発見したときの通報努力規定が盛り込まれています。また、「何が虐待なのか」がわかるように酷使や疾病の放置などの具体的事例を盛り込むことになりました。 ◎マイクロチップの装着に向けての検討が始まります。 ◎特定動物の飼養についても縛りが厳しくなりました。万が一飼えなくなった場合にどうするかを最初の許可の際に明記することになります。 |
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新潟動物ネットワーク 岡田朋子 |
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平成24年10月1日掲載 | ||
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