新潟動物ネットワークの発足は、アライブ新潟の会員数名での歩み出しでした。2001年7月に『この子たちを救いたい。』の著者である濱井千恵さんが主催された“動物サミットin名古屋”にアライブ新潟として参加し全国の愛護団体からたくさんの刺激を受けた事がきっかけとなり新潟動物ネットワーク(NDN)が生まれました。当時も現在も岡田朋子さんは、アライブ新潟地域グループの窓口とNDNの代表です。
ALIVE(地球生物会議)とは、All
Life In a Viable Environment 『全ての命が生きられる環境』という意味です。昨年10月10日に63歳の若さで病死されました、南魚沼市(旧六日町)の自然豊かな環境で大学進学まで過ごされた野上ふさ子さんが代表で活躍されたNPO法人です。アライブが先在して居なかったら、NDNは存在していなかったかもしれません。NDNは、直接的な犬猫の救済活動を主体として活動していますが、アライブは政治や社会への啓発活動が主体です。
NDNが2002年6月から関わって来ました多頭飼養現場(詳細はNDNのホームページ参照)の解決を改定前の動物愛護管理法では行政も行えず、お手上げ状態でしたが幸いなことに別の角度から解決の道が見つかり、相談に乗って頂いた櫻井弁護士さんにはボランテァ料金で多大なご尽力をいただき、最善の終結を迎える事が出来た事は感謝に絶えません。この経験で、動物愛護管理法が余りにも無力で、動物たちを救う事ができない法律である事を身にしみて感じました。木箱の中に30センチ以上の糞尿の堆積上に閉じ込められて居ても虐待とはならず、餓死寸前状態で初めて虐待として法律に抵触するというずさんなものでした。今回の改定で、疾病の放置・排泄物の蓄積・死体の放置などは、虐待とみなされるようになりました。
2011年6月にNDN主催で行った『あなたのペットは何処から来たの?』と題して動物愛護管理法改定に際して、野上さんにお話をして頂いた中で、自治体の動物収容施設の運営内容(例えば、処分の安楽死化・飼養方法・保護期間など)を全国一律に統一する必要性を訴えておられました。新潟県を例にとりますと県は、麻酔注射併用による準安楽死の処分法ですが、政令指定都市の新潟市は、NDNからの県と同じ処分方法への変更要望に応えて頂けず、未だにガス処分器を使用しています。10年近く前から準安楽死の経験を積んでいる県職から指導して頂いて麻酔注射を併用する処分法への変更を切望します。
NDN発足以来12年目になります。行政に収容される犬も十分の一に減少した事により犬班の救済頭数も十分の一に減少しましたが、猫だけは依然として減少しません。動物を捨てる事も愛護法では100万円以下の罰金に引き上げられましたが、捨てる現場で捕まえない限り適用できません。
こらから捨てられた子猫相談が多く寄せられ、猫班は対応に奔走しなければならない季節を迎えます。私も昨年暮れに犬の散歩コースで畑を駆け回る白猫3匹を捕獲し不妊手術し保護飼養していますが、これまでに捨て猫を拾い譲渡したり飼養後病死したりた猫は30匹以上います。不幸な命を増やさないように猫を飼っている方や野良猫に餌やりをしている方は不妊去勢手術をお願いします。野良猫の不妊手術への助成金制度もありますので、NDNへ問い合わせ下さい。
野上さんは5年ごとに行われる動物愛護管理法改定に大きな力を注がれていました。3回目の改定にあたる2012年8月までに環境省の推薦で、動物愛護部会小委員会の委員として政策提言を精力的に行われました。動物取扱業者への規制強化が進歩しましたが、繁殖や販売を生業にしている人たちの犬猫などの扱いの実態を官僚や政治家は何処まで知っているのでしょうか?
生後8週齢前に子犬・子猫を母犬・母猫から引き離して販売の禁止は、5年間は経過処置という曖昧なものになっています。
私が一番残念に思っている事は、私の故郷である新潟県の小都市から全国展開しているホームセンター2社がペット販売をしていることです。タワシ100個売るより子犬1匹売った方が、売上高・利益率が大きいからペット販売は止められないと従業員に話す上司が居ること。大店舗を展開するやり方は、アメリカから学んだ商法だと思います。それならば、かなり前からアメリカではほとんどのペットはショップでは販売されていないということも学ばれて良い面を取り入れて頂き、真に誇れる郷土の企業として発展していって欲しいと願って止みません。
野上さんが生涯を通じて日本における実験動物への救済の手を差し伸べようと政治家などに働き掛けておられましたが、大きな政治献金をバックに医師会や医科系議員などの反対の圧力に屈し今回もまったく実験動物に対して規制が行われませんでした。ここにも動物愛護思想は、欧米に比べて100年遅れていると言われる所以があります。さぞ野上さんは、無念な思いで天界へ旅立れたことだろうと察しています。
アライブ作成の表をご覧頂くと一目瞭然にご理解頂けると思いますが、如何に日本が実験動物に対して野放しであり、経済大国に成長しても倫理面で欧米に大きく遅れている事を医学界を始め政治家・官僚も自覚し、品位ある国家として欧米に認めてもらえるように意識改革をして欲しいと思います。動物を愛する一人一人が、自分のペットを慈しむ心をもう少し広げて、骨を故意に折られて手術の練習台にされたり、頭に電極を繋がれて神経伝達の実験に使われたり、発癌物質を与えられ続けて発症した腫瘍にどんな抗癌剤が効果があるか?など密室の中で行われている残忍な実験に使われている動物たちや生きたまま皮膚と毛を剥がされて毛皮にされる動物など残酷な運命に悲鳴すら出せないでいる動物が居る事に心を寄せて頂きたいと思います。毛皮を纏う事は決してステイタスでは無く、残酷さの表微であり、恥ずべき行為でることに気づいて欲しいと思います。
野上ふさ子さんという物言えぬ動物たちの代弁者としての巨星を失った事は、大きな損失であり、深い悲しみですが、きっと天界で野上さんを議長に人間の悪しき行為により虹の橋を渡った動物たちと地球生物会議を開き、遺志を継いで頑張って居る優秀なアライブのスタッフに力を注いて下さると信じています。
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