http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001
   新潟動物ネットワーク  No.72

犬の譲渡にまつわる思い

明けましておめでとうございます。年頭にあたりまして、本年も新潟動物ネットワークへのご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

年の始まりですので、明るく爽やかな話題を提供したいところですが、動物を取り巻く環境は、明るい兆しは難しいようです。私が、NDNに参加してから9年目になり、1,000頭以上の犬の命を救う事が出来ていますが、室内飼養譲渡が60%台から向上する事がなかなか出来ません。そうかと言って、完全室内飼養以外の登録者さんを拒みますと救えない命が増えるというジレンマがあります。

シェルターを持たない会ですから、個人宅での一時保護頭数も10数頭が限界です。活動初期の頃は、一時保護もできない状態で、不本意な飼養環境での譲渡も余儀なくされ、犬たちに懺悔しなければならない譲渡があったり、登録では室内飼養にも関わらず、いつのまにか外の犬小屋飼養になっていたりなど予期せぬ出来事が多くあり、どのようにしたら愛護思想の向上が望めるのか悩みのつきない活動でもあります。現在も健康診断の結果や年齢の問題で救えない命が多々あり、すべてを救うことができない限界を重く受け止め、今年も犬班メンバーは、1匹でも多く救えますように頑張ってまいります。

2008年度の新潟県の犬の状況を見ますと動物保護管理センターなどに収容された犬の総数は986頭、飼い主に返還+譲渡=766頭、死亡+処分=199頭です。迷子などで収容された犬は、各動物保護管理センターなどのホームページ(NDNのホームページにもリンク)に写真などが公開されるようになりましたが、権利放棄犬は非公開です。人知れず命を絶たれた199頭、一頭一頭にもそれまでの生の歴史と飼い主との心の交流があったことに思いを馳せて頂きたいと思います。

冷え切ったコンクリートの壁越しから“この柴、他の犬に対してだけ攻撃的で、人間には大丈夫とのお婆さんの話だが、体を執拗に触り続けると怒るんだよなー”と声が響いた。柴は、昨日別れて来たお婆さんの大粒の涙を思い出し、他の人間に体を触られる事に耐えらませんでした。“9歳にもなってるしなーー譲渡は無理かなーー”と声が続きました。柴は、お婆さんの言葉を噛みしめながら一声吠えました。

「コロや、許しておくれ!息子の勤めていた会社がつぶれてから息子の仕事が見つからなく、もう1年も経つんだよ。50歳過ぎるとどんな仕事も無いんだと引き籠ってしまって、貯えも底をついて私の年金だけでは、もうお前の餌も買ってやれないんだよ、許しておくれね。」。あふれる涙がコロの鼻に落ちて来ました。頭を撫でてくれたお婆さんの手のぬくもりに柴は、心の中でつぶやきました。『ぼくは、お婆さんが倒れても助ける事ができないし、息子さんはきっとお婆さんが倒れたら病院へ連れて行ってくれるからね、ぼくが犠牲になるのは仕方ないんだよね。』コロは、お婆さんの手を舐めてあげました。お迎えの車が止まり、2人の男の人がコロにリードをつけました。

「お婆さん、元気出してね。」とコロを車に乗せようとしました。お婆さんが家の中から駆け出てコロを抱きしめながら「コローーー、許してねーーー」と泣き叫ぶ声がコロの耳に焼きつきました。

コロは、お婆さんとの9年間の楽しい思い出を胸に虹の橋を渡り、お婆さんと何時か会える日を七色の光の中で待っています。

動物問題は、世相と密であり、人間が幸福でなければ動物も幸福になれません。人間も動物も共に平安に笑顔で暮らして行ける社会の構築に新潟動物ネットワークの活動が、一助になって行ければと願いながらスタッフ一同、力を合わせて出来る事を行っていきたいと思います。
新潟動物ネットワーク/犬班
阿部 慶子
平成22年1月1日掲載
バックナンバー
1 里親探しています。 2 なぜ、のら猫になるの?(その1)
3 なぜ、のら猫になるの?(その2) 4 なぜ、のら猫になるの?(最終回)
5 「馬」のこと 6 犬班の譲渡活動について
7 学校啓発班の活動 8 多頭飼育班の活動について
9 フリマの活動について 10 動物虐待を考える
11 レクレーション活動について 12 中越地震における新潟動物ネットワークの対応
13 「お礼状発送係り」を担当して 14 2004年度会報作成を担当して
15 携帯当番を担当して 16 ボランティア活動とお金
17 “動物好き”に翻弄される動物たち 18 「生きる使命を与えられた動物たち」
    ~猫の一時保護を通して~
19 パネル展と講演会のお知らせ 20 一時保護で変わる犬の運命
21 動物たちを考えるパネル展 22 外国人の目から見た日本の動物たち
23 猫の飼主探しから、素敵な出合い 24 村上東中学校で「命の大切さについて」
25 「動物たちへ少しのお手伝い」 26 「冬の野良猫」
27 小さな命を救いたい 28 うさぎとラビットファー
29 捨て猫しゅんすけと新潟動物ネットワーク 30 リニューアルしました
31 今年は写真展とトークショー 32 優しい出会い
33 小さな命の移動販売 34 クーちゃんと暮らして
35 山に捨てられた猫 36 こどもたちに「命の大切さ」を伝える活動
37 ある犬の繁殖場 38 ある繁殖業者の廃業
39 愛犬からのメッセージ 40 聴導ねこ誕生!?
41 新潟動物ネットワークに参加して 42 気になっている事
43 中越沖地震 44 NDNフェスティバル「身近な動物問題に目を向けて」
45 NDNフェスティバル
 「身近な動物問題に目を向けて」を終えて
46 猫の譲渡会をします
 47  動物との係わり合いとアクシデント 48  NDN カレンダー
 49 雑感・携帯当番 50 犬の一時保護活動を通じて
51 ホームページのリニューアル 52 大平森林公園での犬の譲渡会を終えて
53  犬と猫の譲渡会 54 子猫を拾ってしまった
55  今年のフェスティバルは盛り沢山 56 進化していくNDNフェスティバル
57  譲渡会を終えて思う事(犬班) 58 「わんにゃんカーニバルIN朱鷺メッセ」を視察して
59 子猫を拾って  60 カレンダー送付係を担当して
61 猫の譲渡会での出会い 62 高齢猫「ぽっつ」
63 新潟動物ネットワーク(NDN)のスタッフとして 64 犬好きおばさんの話
65 気になる季節になりました 66 ゴールデンルール
67 新潟市で猫の不妊手術の助成金制度 68 今年もNDNフェスティバル2009開催!!
69 犬たちの暑い夏 70 「猫にピアス」
71 えほんのよみきかせ 72 犬の譲渡にまつわる思い

新潟動物ネットワーク 090-2844-4881  メールndn2@ndn2001.com
http://ndn2001.com

新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。
もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・

※里親になってくださる方はこちらから※
http://www17.plala.or.jp/ndn/
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