新潟動物ネットワーク No.72 |
||
犬の譲渡にまつわる思い |
||
明けましておめでとうございます。年頭にあたりまして、本年も新潟動物ネットワークへのご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。 年の始まりですので、明るく爽やかな話題を提供したいところですが、動物を取り巻く環境は、明るい兆しは難しいようです。私が、NDNに参加してから9年目になり、1,000頭以上の犬の命を救う事が出来ていますが、室内飼養譲渡が60%台から向上する事がなかなか出来ません。そうかと言って、完全室内飼養以外の登録者さんを拒みますと救えない命が増えるというジレンマがあります。 シェルターを持たない会ですから、個人宅での一時保護頭数も10数頭が限界です。活動初期の頃は、一時保護もできない状態で、不本意な飼養環境での譲渡も余儀なくされ、犬たちに懺悔しなければならない譲渡があったり、登録では室内飼養にも関わらず、いつのまにか外の犬小屋飼養になっていたりなど予期せぬ出来事が多くあり、どのようにしたら愛護思想の向上が望めるのか悩みのつきない活動でもあります。現在も健康診断の結果や年齢の問題で救えない命が多々あり、すべてを救うことができない限界を重く受け止め、今年も犬班メンバーは、1匹でも多く救えますように頑張ってまいります。 2008年度の新潟県の犬の状況を見ますと動物保護管理センターなどに収容された犬の総数は986頭、飼い主に返還+譲渡=766頭、死亡+処分=199頭です。迷子などで収容された犬は、各動物保護管理センターなどのホームページ(NDNのホームページにもリンク)に写真などが公開されるようになりましたが、権利放棄犬は非公開です。人知れず命を絶たれた199頭、一頭一頭にもそれまでの生の歴史と飼い主との心の交流があったことに思いを馳せて頂きたいと思います。 冷え切ったコンクリートの壁越しから“この柴、他の犬に対してだけ攻撃的で、人間には大丈夫とのお婆さんの話だが、体を執拗に触り続けると怒るんだよなー”と声が響いた。柴は、昨日別れて来たお婆さんの大粒の涙を思い出し、他の人間に体を触られる事に耐えらませんでした。“9歳にもなってるしなーー譲渡は無理かなーー”と声が続きました。柴は、お婆さんの言葉を噛みしめながら一声吠えました。 「コロや、許しておくれ!息子の勤めていた会社がつぶれてから息子の仕事が見つからなく、もう1年も経つんだよ。50歳過ぎるとどんな仕事も無いんだと引き籠ってしまって、貯えも底をついて私の年金だけでは、もうお前の餌も買ってやれないんだよ、許しておくれね。」。あふれる涙がコロの鼻に落ちて来ました。頭を撫でてくれたお婆さんの手のぬくもりに柴は、心の中でつぶやきました。『ぼくは、お婆さんが倒れても助ける事ができないし、息子さんはきっとお婆さんが倒れたら病院へ連れて行ってくれるからね、ぼくが犠牲になるのは仕方ないんだよね。』コロは、お婆さんの手を舐めてあげました。お迎えの車が止まり、2人の男の人がコロにリードをつけました。 「お婆さん、元気出してね。」とコロを車に乗せようとしました。お婆さんが家の中から駆け出てコロを抱きしめながら「コローーー、許してねーーー」と泣き叫ぶ声がコロの耳に焼きつきました。 コロは、お婆さんとの9年間の楽しい思い出を胸に虹の橋を渡り、お婆さんと何時か会える日を七色の光の中で待っています。 動物問題は、世相と密であり、人間が幸福でなければ動物も幸福になれません。人間も動物も共に平安に笑顔で暮らして行ける社会の構築に新潟動物ネットワークの活動が、一助になって行ければと願いながらスタッフ一同、力を合わせて出来る事を行っていきたいと思います。 |
||
新潟動物ネットワーク/犬班 阿部 慶子 |
||
平成22年1月1日掲載 |
||
|
||
新潟動物ネットワーク 090-2844-4881 メールndn2@ndn2001.com http://ndn2001.com 新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。 もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・ ※里親になってくださる方はこちらから※ http://www17.plala.or.jp/ndn/ |
||
|