新潟動物ネットワーク No.107 |
||
|
||
NDNでボランティアをして思うこと |
||
新潟動物ネットワーク(以下NDN)でボランティアをするようになって1年が経過しました。私は主に譲渡会場で,会ののぼりを立てたり,会場の設営をお手伝いしています。 会に入ったきっかけを尋ねられることがありますが,動物が好きで,新潟のタウン誌でNDNの存在を知って,譲渡会会場に直接行って,係の人に声をかけたという,それだけのことです。ただその時,「動物のボランティアは地味な仕事だよ」と言われたことを覚えています。その言葉は,その場の苦労や喜びに身を浸したことのない人でなければ,出ない言葉ではないかと感じました。その言葉は今でも,会で活動するとき,自分を内から律したり支えたりしてくれます。 私は動物を好きですが,動物は私の事を好きなのかしらと考えることがよくあります。実家のオカメインコのピーちゃんは,私が帰ってくると,威嚇するために,かごの上までよじ登り,とび蹴りを仕掛けてきます。5年前までいた雑種犬のゴロウは,私の顔を見ると,目を逸らしため息をつきました。このような娘の様子をみて,実家の父母は,普段自分たちがどれだけ,ピーちゃんやゴロウに愛されているのかを娘に自慢します。父親は「インコは群れで行動するからな」と,まるで見てきたように語り,そのたび私は「じゃあ私はもう木村家の群れじゃないのかい」と心の中でつぶやきます。しかし,相手が違うだけで,まったく愛情表現が違う彼らを見ていると,インコや犬の皮をかぶってはいるけれど,なかなか大した中身がはいっているのだろうなと感じます。それは逆に向こうから見たら,私は人間の皮をかぶってはいるけれど,中身は大したことないなと,彼らに見透かされているということかしら,とも思いますが。 文筆家の池田晶子は,自分自身の愛犬について書いた文章が英訳された際,「dog shirt」という訳が付きそれが気に入ったと述べています。池田晶子にとっては,愛犬は犬とただ称されるものでなく,「犬の衣をまとったかけがえのないもの」であったのでしょう。NDNの活動をしていると,動物の衣の奥まで見通すような,そこまで動物に対して深く愛情を持てるのかと,ただ脱帽し尊敬してしまう保護者さん達に会うことができます。そのような保護者さんの元で,動物たちはそれぞれの個性を認められ,本当に幸せそうにしています。 しかしその関係を築くまで,動物や人はどんな悲しみや苦しみを通ってきたのだろうと思います。譲渡会で里親希望の方が出ると,私はすぐ良かったと喜んでしまいますが,保護者さんたちは,手放しで喜ばれません。彼らが本当に譲渡先で幸せになる日まで見届けようとする気持ちでおられるのだと思います。(もちろん里親さんとの出会いは喜ばしいことですよ!)私はそのまなざしがとても好きです。私の担当はそれほど難しくない,会場の設営や運搬です。NDNのボランティアに参加しませんか?お待ちしております。 |
||
新潟動物ネットワーク 木村 紫乃 |
||
平成24年12月1日掲載 | ||
|
||
|