http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001

   新潟動物ネットワーク  No.39

愛犬からのメッセージ

今から7年前、愛犬・三吉(当時4才半)を肺ガンで亡くしました。

早期発見したにもかかわらずガンの進行はとても早く、寝たきりになるまでほんの2ヶ月程でした。薬のおかげで少しは食べているのにみるみるやせていき、常にゼイゼイと苦しそうな呼吸をし、体が痛むと近所に聞こえるほど大きな悲鳴をあげていました。体はガンに蝕まれてボロボロになり、痛み止めも効かなくなっていました。

亡くなる前夜、私と母で付き添っていたときのことです。ふと、私たちを見つめる三吉が「どうしてこんなに苦しいの?お母さん、乃里ちゃん、たすけて」と言っているような気がしました。「三吉を助けられるのは私たちしかいない、楽にしてあげたい。でも失いたくない」と迷って悩んで泣いて・・・私たちは安楽死を選択したのです。

昼過ぎに獣医さんが家にきて、まず睡眠薬を打ちました。私は散歩の引き綱を持ち「目が覚めたら一緒にやすらぎ提に行こうね」と精一杯の笑顔で語りかけました。ゼイゼイからスースーという呼吸になった後で、心臓を止める注射を打ちました。父と私は、涙でかすんだ視界の中で見たその光景を、一生忘れることはできないでしょう。
そして亡くなった後で三吉の目が半分開いていることに気付きました。その目線は明らかに最期の瞬間、父がいた方を向いていました。三吉が家族の中で一番信頼し、一番多くの時間を共有した父の方を・・。苦しみから解放された三吉は、きっといつものように「お父さん、大好きだよ」と言っていたのだと思いました。

私は半年ほど前から、色々な方の話を聞く機会に恵まれ、そこで「人の話に耳を傾け、受け止め、自分を見つめなおすこと」を学びました。自分の悩みを解決するヒントは自分自身にあること、そして他人のせいにしたり何かに怒りをぶつけたりするのは結局自分を苦しめることになると・・。「あの人は何を考えているかわからない、理解できない」と思うことがありましたが、それは自分が相手をよく見ようとしなかっただけだと思います。それに気付いた時、三吉のことを思い出しました。苦しむ三吉のそばにいたあのとき、何も語らずとも想いが伝わってきたことを。

動物は言葉を話せません。しかしその瞳やしぐさでたくさんのことを語っています。最近、動物実験される前の犬の映像を見ました。小さなケージの中で体全体を震わせ怯えていました。そこから出るときは血を流すときです。その未来から逃れることはできません。でも私には声を出して伝えることも、未来を選択することもできます。私たち(先進国の人間)の豊かな暮らしのために多くの動物が犠牲になっています。例えば、シャンプーや洗剤などの日用品や化粧品、薬の研究などのために国内で約2000万匹が毒を塗られ、体を傷つけられ、恐怖と絶望の中で命を落としています。動物を犠牲にしなければならない化学物質の多くは、人体に有害なだけでなく、川や海も汚しています。

言葉を話せない動物や自然はただただ黙って、私たち人間が気付く時を待っているような気がします。「動物実験していない会社」の製品を使うこと、「動物実験している会社」に声をあげ訴えること、環境のためにエコバッグやマイ箸を持つこと・・わずかだけど大切な気付きの第一歩です。

三吉の最期のとき、安楽死という決断が正しかったのかは今でもよくわかりません。でも亡くなって7年経った今も私の心の中で生き続け、大切なことを気付かせてくれ、導いてくれています。
新潟動物ネットワーク
小熊 乃里子
平成19年4月1日掲載


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3 なぜ、のら猫になるの?(その2) 4 なぜ、のら猫になるの?(最終回)
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7 学校啓発班の活動 8 多頭飼育班の活動について
9 フリマの活動について 10 動物虐待を考える
11 レクレーション活動について 12 中越地震における新潟動物ネットワークの対応
13 「お礼状発送係り」を担当して 14 2004年度会報作成を担当して
15 携帯当番を担当して 16 ボランティア活動とお金
17 “動物好き”に翻弄される動物たち 18 「生きる使命を与えられた動物たち」
    〜猫の一時保護を通して〜
19 パネル展と講演会のお知らせ 20 一時保護で変わる犬の運命
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23 猫の飼主探しから、素敵な出合い 24 村上東中学校で「命の大切さについて」
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33 小さな命の移動販売 34 クーちゃんと暮らして
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37 ある犬の繁殖場 38 ある繁殖業者の廃業
39 愛犬からのメッセージ


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新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。
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