1973年に動物保護法ができて以来、3回目の改正となる新しい動物愛護法が9月1日から施行されました。ようやく社会の実態に追いついた内容になった印象ですが、正しく用いられなければ意味はありません。
動物福祉に配慮した命ある存在として、社会が正しく愛護動物を位置づけしていくことが必要です。
◎動物取り扱い業者の規制が強化されました。
たとえ1匹でも有償で犬猫を販売する人は第1種動物取り扱い業者の登録が必要です。
今回の改正で条件に合う営業ができないから廃業を決めたという話も聞いています。
身近で繁殖している人がいたら、是非、確認してみてください。
1、「犬猫等健康安全計画」という、適正飼育のための計画書を作ることが義務づけられました。
2、ネット販売の規制ができました。
販売する際に実際の動物を見せること、直接、飼い主に対して書面で飼育方法や出生履歴などを渡すこと
が義務づけられました。
3、子犬、子猫の販売月齢が制限されました。
ただし施行後3年間は45日、さらにその後、別に法律で定める日までは「49日」に読み替える、
というおまけつきですが。
4、他の法律で有罪になった場合、動物取扱業の登録が一定期間拒否できるようになりました。
(他の法律=狂犬病予防法、鳥獣保護法、種の保存法、特定外来生物法)
5、「第2種動物取扱業」が新設されて届け出が義務づけられました。
非営利でシェルターを持つ保護団体や公園の展示施設、公的な訓練校などが該当します。
◎行政は状況に応じて犬や猫の引取りを拒否できるようになりました。
繁殖業者の持ち込み、繰り返しの持ち込み、飼い主本人が努力して里親探しをしていない、
高齢や病気が理由での持ち込みなどは、飼育者本人の責任での終生飼養や飼い主探しが
求められるようになりました。
◎多頭飼育の適正化
地方自治体が多頭飼育に関する条例を設けることができるようになりました。
また、多頭飼育が原因で起きていたと思われる虐待について勧告・命令が出せるようになりました。
◎災害対応
災害時の動物対応に関して、各県で作る動物愛護管理推進計画に盛り込むことや、
動物愛護推進員の役割として災害時の動物避難や保護に対する協力が追加されました。
◎その他。。。
○法律の目的に遺棄の防止、動物の健康及び安全の保持、動物との共生等、動物の側にたった内容が
盛り込まれました。
○愛護動物の殺傷は2年以内の懲役または200万円以下の罰金、虐待は100万円以下の罰金に
強化されました。
○酷使や疾病の放置など虐待の具体的事例を盛り込むこと、獣医師が虐待を発見したときの通報努力規定が
定められました。
○マイクロチップの装着に向けての検討が開始されます。
○特定動物は最初の許可の際に万が一飼えなくなった場合にどうするか明記することが義務づけられました。
新潟市にも独自の動物愛護条例が制定されました。
飼い主はもちろん、さまざまな立場からの責任を明確にしたことが特徴の条例です。特に注目すべきなのは、
10頭以上飼育する人(多頭飼育)が届け出制になったことと、猫の原則室内飼育や不妊去勢、のら猫の
お世話をする人は餌やりだけでなく不妊去勢や周辺環境への配慮も求められました。
9月末日で多頭飼育は66件の届け出がされました。
NDNも長年にわたり悲惨な多頭崩壊に取り組んできましたが、
行政は法的根拠がないことから動くことができず歯がゆい思いをしたこともありました。
多頭飼育の届け出は、周辺への迷惑行為(鳴き声や糞など)への配慮はもちろん、個人がきちんと飼える数の目安として、また、災害などの非常時に適切に対処するためにも有効だと思います。
行政に強力な権限が与えられた訳ではありませんが、実態把握の一歩として期待したいところです。
猫は外に出す方が幸せだと考える方もまだ多いと思います。
しかし、不妊去勢しないで外に出ている飼い猫がいることで、多くの望まれない子猫が生まれている現実があります。昔と違い、交通事故や猫が嫌いな人による虐待などお外は安全な場所ではありません。
たくさんの子猫が保健所に持ち込まれたり、野良猫として過酷な一生を終えている負の歯車を止めるきっかけになればと思います。
一方で、これまで地域のトラブルになることも多かった野良猫の存在が、きちんとお世話をすることで
その存在を公に認められたことにもなります。餌やりだけして不幸な猫を生み出しているような方に対しての警告にもなります。
個人的には今年は別れの年となりました。
14年、15年、16年と一緒に過ごした愛犬が3匹続けて亡くなりました。
彼らは自らの生をひたすら全うするだけで、人間ばかりが涙もろくなりました。
動物愛護活動をともに過ごした相棒たちを失ったものの、活動にまだ終わりは見えません。
もう少しがんばれば、納得のいくゴールにたどりつけるでしょうか。
そうなる日が早くくれば良いなあと思います。
|