新潟動物ネットワーク No.35 |
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山に捨てられた猫 |
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3年前の冬、私は県内のとある山頂で1匹のオス猫に出会いました。まだ新潟動物ネットワーク(NDN)に入会する前のことです。そこは頂上付近まで道路が通っていて、登山などしなくても気楽に行けるような場所でした。そのため、その猫はたぶん車に乗せられ連れてこられた後、そこに捨てられたものと思われました。少なくとも猫が自力で登って来られるようなところではありません。 猫は登山客や観光客にお弁当の残りなどをもらいながら、なんとか2年ほど生きのびてきたようでした。しかし、夜は無人となる山の上で、たった1匹ぼっちで寒い冬を過ごさなければならない状況を知ってかわいそうでたまらなくなり、家に帰ってからも雪下ろしの雷鳴を聞きながら気が重くなるばかりでした。 「山から下ろしてやりたい・・・」 気持ちはあっても、こんなことは初めてで、どうしてよいかわからない。でもなんとか助ける方法はないものか・・・。すでに家には猫がいて、たとえ山から下ろすことができたとしても、家に連れてくるのは無理。そんな八方ふさがりな状況で、何より周囲に相談しても、なぜそんなことで悩むの?という返答に、ますます落ち込む日々が過ぎていきました。 そんな時、NDNのスタッフである友人を通して、スタッフの方々の暖かいアドバイスや励ましの声が届き始め、「やっぱり自分が動かなければ、何も始まらない」と気持ちがストンと決まりました。そして、友人の協力も得て、今度は保護のため山へ。しかし、その日から、なぜか猫は姿を消してしまい、無事に保護できたのは半年後のことでした。 結局、その猫と顔を合わせたのは出会った日を入れて4回だけ。知らない人間に捕まったと思った当の猫はどんなに心細かったことかと思います。大人の野良猫を家に連れてくるなんてと猛反対していた家族も、私の頑張りに理解を示してくれるようになり、現在、猫はわが家で暮らしています。 今では家での生活にもすっかり慣れ、私や家族に甘えたりするようにもなりました。ただ前から家にいた猫たちはいつでものびのびしていますが、この子は、今でもちょっとビクビクしているところがあります。「あ〜、あったかくて幸せだな〜」と思っているようにも見えながら、反面「この幸せはいつ壊れるんだろう?」とでも思っているように見える時があって、あらためて野良生活の大変さを思います。この子がうつらうつら寝ていてTVから聞こえてきたトンビの「ピ〜ヒョロロ〜」という鳴き声に目を覚まし、不思議そうに天井をキョロキョロ眺めたことがありました。きっと山で毎日のように聞いていた声だったのでしょう。何を思いながら、空を眺めていたのでしょうか・・・。「もう大丈夫だよ。ここからもうどこへもやらないよ」と頭をなでてやると、安心したように目を閉じたものでした。 山にいた時は目つきも険しく、周囲に警戒を怠らなかったこの子の顔つきが、柔らかく穏やかになるのと同時に心の傷がゆっくり癒えていく様子に私も心を添わせながら、これからもずっと一緒に暮らしていこうと思っています。 この子との出会いはそのままNDNとの出会いにもなりました。入会してから知ったたくさんの現実。犬や猫の保健所での処分数の多いこと、飼い主による保健所への持ち込み、野良猫の悲惨な暮らし等々・・・。野良猫も元は捨て猫から始まっています。猫に限らず「捨てられた」動物はすぐその日から命の危機にさらされるのです。 この社会は人間が作っているのは事実ですが、純真な心を持った動物たちが悲惨な目に合わないような、人間も動物も同じ命だと実感できるような、そんな社会に早くなって欲しいと思います。 |
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新潟動物ネットワーク 滝沢 幸子 平成18年12月1日掲載 |
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新潟動物ネットワーク 090-2844-4881 メールndn-land2@picot.ne.jp http://ndn-land2.picot.ne.jp/NDN_HP.html 新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。 もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・ ※里親になってくださる方はこちらから※ http://www17.plala.or.jp/ndn/ |
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