新潟動物ネットワーク No.77 |
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にょろ松イリュージョン |
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多頭班のチーフに「猫の保護先を探している」と連絡をもらったのは、去年の秋のことでした。ちょうど保護部屋(私の自室)が空いていたので、「人馴れしている子なら、いいですよ」と謹んで名乗りを上げました。 チーフの「実は私も、どんな子か分からないんだよね…」という恐ろしい台詞を耳にしながら、衰弱状態で入院中の猫を迎えに行った私たちが見たもの。それは、“凶暴な動物補てい用”の手袋をした看護士さんに両手足を押さえつけられながら、先生に牙を向く猫の姿でした…。 「こっ、こわい…」思わず本音を口走った私でしたが、自宅へ連れて帰りケージでの保護生活が始まりました。「マンソン条虫がいたから、『にょろ松さん』」というなんともお気の毒な命名をされた猫は、推定10才超のハチワレ柄オス猫です。 最初こそは怖がって用意していたベッドにもぐりこんだ生活をしていましたが、状況に慣れてきたにょろ松さんはだんだんと、私に対して攻撃性を出すようになったのです。フードの出し入れに怒って襲いかかり、トイレの出し入れに怒って襲いかかり…まさに毎日が命がけの死闘です。マタタビをしこたま買い込み、にょろ松さんに向かって振りかけすぎて怒られたことも(涙)。ついに私はサファリパークのライオン担当者よろしく、一本の棒でにょろ松さんを押さえつけながら、もう一本の棒で皿やトイレを出し入れするという超絶技を習得するのでした。 顔も満足に見られず、触れ合えず、里親さん探しなんて夢のまた夢。そんな生活に疲れ果てた私が「家の周りにリリースして、外猫としてお世話してゆこう…」というネガティブな結論を出すのに、そう時間はかかりませんでした。慣れてくれない猫との生活。途中、家族の入院もありかなり滅入っていたと思います。 そんなにょろ松さんに変化の兆しが見えたのは、年が明けて少し経った頃でしょうか。フードの出し入れをしても、「ポン」という優しい感じの攻撃になっているのです。まずはサファリ方式の給餌をやめて、素手であげるようにしてみました。しつこく触ろうとすると容赦ない鉄拳が飛んでくるので、徐々に徐々に…。その頃から、目を見て話しかけるようにもしました。(筆者、30代独身。すこぶる痛い光景です。) にょろ松さんは、人間を怖くないものだと認識し始めてくれたようです。一度心が通じ合った私とにょろ松さんの関係は、そこから昼ドラの男女のように一気に濃密になっていったのでした。 今では、私+愛犬と一緒に寝ることもできるにょろ松さん。母の胸で、「魅惑の熟女抱っこ」に恍惚とするにょろ松さん。愛情あまって、私の膝にかぶりつくにょろ松さん。野良だったとは思えないほどの可愛い姿に癒されています。 私は今まで、「慣れていない猫は手術後リリースする」というスタンスでした。しかしながら、今回の「にょろ松イリュージョン」を経験して、時間と愛情を惜しみなくかければ、どんな子でも必ず心を開くのではないかと思うようになりました。10年以上野良生活をしながらもここまで人に慣れてくれる姿を見ると、猫との暮らしは本当に奥が深いと思うのです。 現在、NDNのHP(http://www.ndn2001.com/)では、顔がほころんでしまうほど愛くるしい子猫たちが里親さんを募集しています。そんな中で一匹だけ異彩を放つにょろ松さんですが、成猫には成猫の飼いやすさ、味わいがあります。特技はお喋り、年齢にそぐわぬスィートな声と、プリプリお尻が可愛いにょろ松さんの魅力にハマってくれる通な里親さんを、大・大募集中です! ※にょろ松さんとの生活の様子は、ブログ「らぶひな日記」(http://labhina.cocolog-nifty.com/blog/)でも。 |
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新潟動物ネットワーク/多頭飼育現場改善班 長谷川 淳子 |
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平成22年6月3日掲載 | ||
新潟動物ネットワーク 090-2844-4881 メールndn2@ndn2001.com http://ndn2001.com 新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。 もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・ ※里親になってくださる方はこちらから※ http://www17.plala.or.jp/ndn/ |
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