新潟動物ネットワーク No.103 |
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「新潟県動物愛護センター見学記」 |
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待望の「新潟県動物愛護センター」が今年4月1日にオープンし、5月13日、NDNスタッフ総勢20人で施設の見学に行ってきました。前日の12日には、泉田新潟県知事をはじめ関係者約70人が出席して開所式が行われたそうです。 「新潟県動物愛護センター」は中越と県央・魚沼の3つの動物保護管理センターが併合される形で長岡市関原の県立歴史博物館向かいにできた施設です。敷地面積7,346㎡、建物の延床面積1,415㎡で、犬52頭、猫126匹が収容可能となっています。 民間企業のノウハウを活用したPFI事業というのが特徴で、事業経営(センターの業務)を「新潟県(県生活衛生課の現場事務所の扱い)」が行い、施設の維持管理(清掃、餌やり、散歩など)を民間の「株式会社アニマルサポート長岡」が行っているとの事です。 まずは玄関を入って受付の奥に「啓発展示室」があります。動物の適正飼育や中越大震災のパネル、図書、DVDビデオが流されていました。中庭に面していて大きな明るい窓があり、県内産の木材を使用したとても素敵な施設です。 通路を挟んで斜め向かいに、しつけ方教室の実技講習を行うとても広いスペース「しつけ体験室」があります。今後は学校の生徒さんなど大人数の子供たちと動物の「ふれあい体験」にも活用されるそうです。 その奥に「ふれあい体験室」があります。長椅子が置いてあり現在は引き取り希望者さんと動物との相性をみるマッチングなどに使用しているとの説明でした。 これらの部屋からは外の芝生広場へONリードで連れ出すことも出来ます。(見学時は芝養生中で立入不可でした) 「ふれあい体験室」の前には「研修室」があり、しつけ方教室などの講習会が開催される予定だそうです。(研修室に動物は入室できません) そしてさらに奥の部屋が新しい飼い主さんを待っている犬・猫・小動物のいる「動物飼育室」です。入室する際は、足下を消毒用タオルで消毒してから入ります。13日には奥の観察室に収容されている動物とあわせて犬10頭、猫56匹、小動物はモルモットのみ2匹いました。 施設は夜間は無人になりますが、空気清浄機やエアコンで適温に管理されていました。 <センター収容・譲渡の流れ> 迷子犬は、大体は各保健所等経由でセンターに収容されます。まずは写真を撮り観察室に入れ、公示手続きをします。公示期間は2日間。市町村の掲示板などで公示します。その後HPに載せ、フィラリア検査、混合ワクチンを接種し、ケースバイケースで外部寄生虫の駆除、血液検査、必要があれば治療室を備えているので治療も行い、少なくとも20日間から1ヶ月位は様子を見て収容するとの事です。 迷子の返還率は7割程度で、散歩も短時間ですが1日2回フェンスに囲まれたスペースで行っているとのお話しでした。脱走防止のため、出入り口は二重扉になっています。 引き取り犬の場合でも簡単に受け入れず、終生飼養を啓発した上で相談し、やむを得ない事情がある時に限り引き取っているそうです。 迷子猫は各保健所や警察に引き取りに行き、HPに載せ、その後適性チェックをし、ワクチンを打ち譲渡となります。 収容は仔猫が多く、所有者不明仔猫(ノラが産んだ仔猫)の場合、生まれたばかりだと生存率が低いので母猫の母乳で育ててもらうようにお願いして1ヶ月は待ってもらうそうです。また飼い猫が産んだからと仔猫を持ち込んでくる方には、親猫の避妊手術を条件に1回だけ受け取り、2度3度は受け付けないようにしているとのお話しでした。 現在は設備が整い治療も出来るので、成猫を長期にセンターで飼えるようになり成猫の譲渡がすすんできたそうです。 猫部屋は防音(犬の鳴き声が聞こえにくい)で、さらにケージには左右、上下に穴がついていて自由に複数のボックスをつなげられる「キャットコンド」が特徴となっています。 犬も猫も新しい飼い主さんを待つケージの前に、その仔のニックネームと性格・特徴が書かれたカードが掲げられ、とても判り易く良いアイディアだと思いました。例えば「ニックネームはポッキー・人が好きで、とにかく気の良い優しい子です。」といった具合です。スタッフの優しい気遣いが感じられますね。 センターでの譲渡に年齢制限などの基準は設けず、実際にお世話をしてみて適正をチェックし、譲渡出来る仔はなるべく新しい飼い主さんを見付けてあげられるよう頑張っているそうです。 今回の見学会では通常立ち入れないバックヤードも見せて頂き、大変充実した設備に驚きました。 病理解剖・感染症検査などを行う「検査・治療室」には、隔離室・処置室・レントゲン室そして手術台など治療体勢も整っていました。またグルーミング室も完備され、収容動物がトリミングされ清潔な状態で保護されていました。 新潟県では平成20年に「新潟県動物愛護管理推進計画」を策定しました。「殺処分ゼロ」を目指し、10年後には処分数を半減させる目標を掲げています。 命を大切にする社会を作るため、終生飼養や適正飼育の普及啓発にも積極的に取り組んでいます。「人と動物が共生するこころ豊かな社会」の実現に向けた新潟県の意欲を感じた見学会でした。 |
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新潟動物ネットワーク犬班スタッフ 富所千津子 |
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平成24年8月1日掲載 | |||||||||||||
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