新潟動物ネットワーク  
No.167


   NDNフェスティバル2017
      「944 殺処分ゼロに向けて~」
               開催のご報告


 11月5日(日)に、年に1度のNDN主催イベント「NDNフェスティバル2017」が開催されました。
昨年度、新潟県内の殺処分数はついに1,000匹を切り、来年度は動物愛護法改正も控えていることから、今回は「944 殺処分ゼロに向けて」をテーマに、動物愛護をより多くの人に広め、人と動物の共生する社会について改めて考えていただく機会として開催しました。





 第1部は、2年前にお招きした(公財)動物環境・福祉協会Eva・女優の杉本彩さんを招いての特別講演会、第2部には特別ゲストに米山隆一県知事、篠田昭新潟市長、新潟市動物愛護協会長 永松亮一先生も加わりトークセッションを開催しました。


 第1部杉本さんの講演会では、現行の動物愛護法の課題や改正のポイントから始まり、移動販売、繁殖屋、引き取り屋などのペットビジネスの闇、多頭飼育崩壊、移動動物園など多岐に渡りました。



 講演の中では、様々な環境で人間の犠牲になっている動物たちが紹介されました。
 収容センターで最期の日を迎える犬たち。繁殖屋の元で大量生産のための繁殖道具として劣悪な環境で飼育される、ペットショップに並ぶ子猫や子犬のお父さんお母さん。生まれて間もなく親や兄妹と引き離され、売れ残れば親と同じような末路を辿る子ども達。適正な飼い方をされず、ストレスや病気を抱えるペット動物。身動きも取れない程狭い透明の食品パックに詰め込まれ、一日中明るい照明を当てられ展示販売されるエキゾチックアニマル。両脚を縛られ自由に飛ぶことができない状態で展示されているフクロウ。ショッピングモールの人ごみの中で狭い展示ケースに入れられ展示される移動動物園のライオン・・・

 杉本さんは、これらは動物の問題ではなく、全て人間の問題だとおっしゃっていました。減り続けている全国の殺処分数のグラフを前に、数字もグラフも動物にとっては関係のないこと、ひとつひとつが世界でたったひとつの命。当たり前に見えていること、常識だと思っていることが本当に「正しい」ことなのか、立ち止まって考えて欲しい。動物に優しくない社会は人間にも優しい社会ではないと訴えていました。



 今回の講演を通して、動物を取り巻く環境は人が作り出していること、そしてこれは他人事ではなく、責任は私たち一人ひとりにあると改めて感じました。たくさんの人にこの事実を知って、伝えていただくことで少しずつでも今在る社会の常識が変わっていくことを願います。



 第2部のトークセッションでは、殺処分ゼロへ向けて、県、市、獣医師会それぞれの分野での近年の取組みの紹介と共に、多頭飼育崩壊やペット防災などの社会問題に触れながら、多くの動物問題の解決のためには行政、民間各組織団体の連携や企業、個人相互の働きかけや助け合いが大切だということ。またそれが地域力となり、人と動物が共生する優しい社会に繋がることだと皆さんおっしゃっていました。



 そして、ペット動物以外の実験動物、畜産動物などの「動物福祉」についても触れ、人間が生活できているのは動物の命や恩恵を受けているからこそだということ、そしてその動物達の幸せについて、改めて深く考える機会となりました。

 米山県知事は「動物に愛情を持って労力やコストをかけること、それが結果、動物を通じて支えあう助け合いの社会に繋がる」と、篠田市長は新潟市での子ども達への食育や農業体験事業の取組みも紹介しながら、「新潟が動物と最も仲良く、動物を大切にしている社会になるようにしたい」と前向きな言葉をおっしゃってくださいました。



 イベント終了後、杉本さんが特に強く訴えていた「生体販売の禁止」について、新潟県の現状を踏まえてさらに伺ってみました。
 新潟県では、犬に関してはこの10年ほどでかなり状況が改善し、愛護センターに子犬や若い犬が持ち込まれることはほとんどなくなりました。そのため、犬を飼いたくても愛護センターから譲り受けることが難しく、結果的に(悪質な)激安ペットショップのビジネスチャンスになってしまっています。この問題にどう対処するべきか伺ってみました。

 対策としては、なによりも「ペットはきちんとしたブリーダーから迎える」ことが大事とのことでした。新潟県では「不妊手術」や「放し飼いにしない」などの飼い方に関する意識はかなり高まっていますが、「正しい飼い始め方」についてはまだまだ知られていない事が多いと思います。NDNとしても、このような「殺処分ゼロの次に来る問題」についても啓発を進めていく必要があると思いました。

 また、生体販売の禁止を訴えることは、ペットの繁殖業者など経済活動として行っている人たちにメスを入れることになるので、そのような人たちから圧力を受けることはないのかと伺いました。今までのところ、そのようなことは無かったそうですが、それは知名度があるからかもしれませんとのことでした。また、もしそんなことがあれば、杉本さんの知名度を活かして、あらためてそのような人たちの悪質性を訴える機会になるとおっしゃっていました。



 今回のフェスティバルでは500名もの参加者、また多くの企業団体個人の方々から多大なご支援をいただきました。関わってくださった全ての方に感謝し、これからの活動に繋げていきたいと思います。



新潟動物ネットワーク/イベント班
皆川 綾子
平成29年12月1日掲載

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