新潟動物ネットワーク No.154 |
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未来に向けて |
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我が家は昔から代々犬を飼っています。 家族全員犬が大好きです。 僕自身はもう社会人ですが、 今現在の飼い犬が家族の一員になったのは16年も前で、僕がまだ小学生だった時です。 そんな大昔からかけがえのないパートナーです。 変なイタズラを仕掛けてきたり、 車に乗せて遠くまで散歩にでかけたり、 思い出は数え切れないほどあります。 家に帰るたびに出迎えてくれるその姿に毎回癒されています。 言葉は通じなくても心はいつも通じ合っていました。 つらいことや悲しいことをいくつも乗り越えられたのは彼のおかげです。 高校を卒業して、そんな彼としばらく離れて暮らすことになります。 僕は大学時代の4年間青森で、 仕事の都合で卒業後の4年間を岩手で過ごすことになりました。 そしてその中で東日本大震災を経験します。 北東北の被害は甚大でした。 知り合いも多くの方が被災されました。 しかし東北の人々は想像を絶するほど強い心を持っていました。 そしてどんな苦しい状況でも互いを助け合う精神を決して忘れていませんでした。 当時ちょうど就職活動の時期であり、 復興支援の手伝いにあまり尽力できなかったことを今でも後悔しています。 今回考えてほしいのは被災地の動物たちについてです。 よく知る方もいるとは思いますが、 被災地、特に原発付近の農場の動物たちや住人に飼われていたペット達に、 救いの手が差し伸べられない状況が起こりました。 未曽有の大災害のため仕方ないと思う方もいるかもしれません。 でも僕は仕方ないとなんて思ってほしくはないです。 災害時に人命が優先されるのは当然だという意見が多いでしょう。 ですが、動物を飼っている住民にとって、犬や猫たちはかけがえのない存在です。 動物が好きな人も、そうでない人もそのことだけは忘れないでください。 不幸中の幸い、心ある人たちのおかげで保護された動物たちが多いのも事実ですが、 いろいろな事情で飼い主といまだに離れ離れになっている動物たちもいます。 家族と会えないことがどれだけつらいことか、多くの人は知っていると思います。 犬や猫にも、人間と同じで心があります。 飼い主といっしょにいられないことは大きなストレスになります。 もっと多くの人にこの事実を知ってもらい、 動物たちの権利をもっと考えてほしいです。 複雑な状況のため難しいかもしれませんが、 被災された方々とその犬や猫たちが一組でも多く、またいっしょに暮らせることを、 心から祈っています。 犬や猫たちの目はいつも輝いています。 未来を信じている目です。 過ぎてしまった過去は変えることができません。 でも失敗から学んで、未来は変えていくことができます! 震災によって不遇な扱いを受けた動物たちが多くいる事実を知り、 動物たち一匹一匹が、 この世に一種類しかないDNAをもって生まれてきたかけがえのない存在であることを、 もっと多くの人に知ってもらい、それぞれが行動に移すことができれば、 本当に居心地のいい社会が成り立つと思います。 今東北地方では希望を捨てないで、 過去を乗り越えて復興に向けて必死に努力している人たちがいます。 僕たちも、多くの場面でその姿を見習わなければいけません。 僕は、 震災のときに苦しんでいる人や動物たちに対してあまり行動を起こせなかった罪悪感から、 新潟へ帰省した後、NDNの活動に参加するようになりました。 NDNでは、被災地を含め、いろいろな場所からたくさんの動物たちを保護しています。 事情はそれぞれですが、つらいことをいくつも乗り越えてきた強い犬や猫たちです 家族として受け入れて深い愛情を注げば、 必ずかけがえのないパートナーになってくれるでしょう。 最近のブームに影響されてペットを飼うことを考えているあなた。 ペットショップへ行くのが普通だと考えているかもしれませんが、 新しい飼い主に巡り合うことを心から待ち望んでいる動物たちがまだまだいます。 保健所や愛護団体から引き取るという選択肢もあることを忘れないでください。 僕自身の経験から言うと、どんな動物を飼うにせよ 楽ではないし、つらいこともたくさんあります。 決して軽い気持ちで飼い始めるようなことはしてほしくありません。 しかし、責任と愛情をもって育ててくれた人に対して見返りはとても大きいです。 動物たちは本当にたくさんのことを教えてくれます。 |
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新潟動物ネットワーク/学校啓発班 阿部 武史 平成28年11月1日掲載 |
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