http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001
  
 新潟動物ネットワーク  
No.153


『僕は猫好きじゃない』



 私、猫好きですが、猫バカではありません。そもそも、私と猫の出会いは、全く予期しないものでした。
 昔々、まだ20代の頃、最初の勤務校で、帰り間際の4年生の女の子がひょっこりと保健室に顔を出し、「先生、猫好き?」と聞いてきたので、「うん、好きだよ」と何気なく答えました。好きかと聞かれれば好きと答える程度の、たぶん猫嫌いの人以外はたいていの人が感じているくらいの猫好き度でした。
 翌日の放課後、その子が小さな紙袋を持って現れました。「これ」と言って手渡された紙袋の中に、初代猫ニャン太がいました。これが、人生で初めて猫と暮らすことになったきっかけです。




「僕は猫好きじゃない」
歌川たいじ著
http://www.utagawa.net/
 それほど猫好きでもなかった私ですが、初代猫ニャン太と一人と一匹暮らしをし、色々、色々なことがありました。ニャン太を子育てが始まった頃に亡くし、その後、猫が飼えない住環境になったため、死ぬまでに叶えたい三つの夢の一つが『猫と暮らすこと』になりました。
 猫は何も言ってくれませんが、いつもそばにいてくれました。あの毛並みを撫でていると、どうしてあんなに心が和むのか。もう一度、猫を飼って、あの心和む心地よさを味わいたい。これは猫を飼った人しかわからない特権でしょうし、猫を飼った人なら病み付きになる心地よさでしょう。

 猫と暮らす心地よさをニャン太から教えてもらい、猫好き度が向上した私ですが、それでも普通の人より少し好きくらいだったと思います。そんな私がどうしてNDN(新潟動物ネットワーク)に入れていただいたかというと、その少し前、したいことはいくつかあるのだけれど、本当にしたいことは何なのだろうかというモンモン状態に陥っていました。そんな状態に終止符を打ちたいとある方に相談したところ、「明日、死ぬとしたら何がしたい?」と聞かれ、色々なことが頭の中を駆け巡っていた中で、フッと浮かんだのが動物の殺処分問題でした。
 人間が行動を起こす理由は、大きく二種類あると言われています。一つは“快を求めること”、もう一つは“不快を避けること”。したいことの中にはその両方がいくつかあったのですが、明日、死ぬとしたらやりたいことは、私の心が痛いと感じる不快を何とかしたいということでした。
 自分の中の問い「どうして野良として生きているだけで、殺処分されなければならないのか!?」に、私は答えを出すことができませんでした。動物に対して寛容でない社会は、人間に対しても寛容性の低い社会なのではないかとも思います。「排泄物、鳴き声などの諸問題があるかもしれないが、簡単に命を奪うほどの問題だろうか?」、このことを考えるといつも胸が痛くなります。
 私は、自分の心が痛いと感じることを減らしていければいいなという想いで行動していますが、NDNに入れていただき、猫の問題は人の問題でもあるということを実感しつつあります。ならば、猫の問題を考えていけば、人間の問題も何とかなっていくということです。私が、私の心の痛いに素直に従うことで、人間の問題が少しでも解決していくなら、それはそれでとてもうれしいことだとも思うのです。
 
 スタッフになってみて、NDNのスタッフの方々の活動の凄さを目の当たりにしています。私もスタッフの一人ではありますが、猫好きではあるが一番猫バカではない人だと思います。先ほども書きましたが、たぶん、猫好き度は普通の人より少し多い程度でしょう。ですが、この程度の熱さの私が保護活動をすることも、また意味があるのではないかと思っています。
 私の愛読書ベスト3に入るだろう本に、この原稿の表題である歌川たいじさんの『僕は猫好きじゃない』があります。特に猫好きではない歌川さんが書いた猫の本ですが、猫だけでなく、人間に対しても愛とは何なのかを考えさせられる本です。漫画なのですぐに読めます。興味がある方はぜひ! 最後に、本の中からの二文を・・。

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愛には何を返すべきでしょう‥‥
『理解』、そんな言葉がふと頭に浮かんだのでした。


「猫を飼ってみればいいのに。猫以外のものが、きっと育つから。」

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死ぬまでにしたい三つのことに、最近、もう一つ加わりました。それは『譲渡型猫の茶の間』を作ること。誰もが来られて、本を読んだり、仕事をしたり、おしゃべりをしたり、お茶を飲んだりと茶の間のようなゆるい場所。周りには猫がノソノソしていたり、寝ていたり、アクビをしていたり‥‥。
この茶の間はまた、猫と伴侶猫を探している人が出会える場でもあります。たくさんの人に、猫以外のものが育ちますように‥‥



右:二晩泣き続け、目も開いてないような160gで拾い主様に拾われ、うちにもらわれて来た二代目猫わさび。生きたいって必死に泣いてたんだね。今ではもうりっぱな青年猫に育ちました。
左:昼間留守になるので、わさびが一匹では寂しいだろうともらい受けた三代目猫のきなこ。一日一回は顔を忘れられて逃げられるかわいそうな飼い主の私です。







新潟動物ネットワーク/猫班
佐藤真奈美
平成28年10月1日掲載

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