http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001
  
 新潟動物ネットワーク  
No.146

東北地方太平洋沖地震 被災地応援ボード 
〜ペットを飼っている被災者のみなさまへ〜
http://ndn2001.com/ndn/animal-support/index.html


見つめ合う日々


現在犬2匹、猫2匹と暮らしている。

思えば幼い頃より動物が好きな子供だった。
ゲームよりも、近所の『懐かない』と評判の犬と友達になる為に時間を割く子供だった。


そんなわたしが「保護した猫が出産し、子猫の里親を探している」との情報に「ねこか〜、俺犬派なんだけど〜」と渋る息子を道連れに早速見に行ったのはもはや当然、いや必然の事。
当時(平成25年11月)犬2匹を飼っており、猫の飼育経験がほとんど無かったわたしは「可愛いね〜!」と迫り子猫をびびらせた。

子犬とはやっぱり違うな〜と思いながら保護主さんの話を聞いたところ、
母猫は県外の高速のパーキングに置き去りにされ(犯罪ですよ)、「ここ数日ウロウロしている」と売店の人から聞き、見かねて連れ帰ったとの事。(ケージも無かったのにおとなしく車に乗っていたらしい)
そんな事をする人間がいるのかとやるせない思いでいると、「デブだと思ったら子猫が生まれて」
…なるほど、病院へは連れていかなかったという事ですね…で、この子たちは? 8月生まれ…病院にはやはり連れて行ってない…なるほど…。

子猫は雌2匹、雄3匹の5匹生まれたらしいが、4匹しか見えない。みんな柄も顔立ちも母親似で美形の雉トラ。
チビ雉トラ軍団は窓のヘリに代わる代わる飛び移ってなかなかの運動神経の良さ、元気いっぱいだ。

保護主さんが1匹1匹よく顔を見せてくれる中、特にかわいい顔の女の子が気になった。
「この子は器量が良いから“べっぴん”って呼んでるの。あれ?“ぶーちゃん”がいない」
保護主さんが覆いをかけてあるカラーボックスの布をめくり「こんな所にいたの〜」と見せてくれた子猫は、母にも他の子にもまったく似ていない白黒はちわれ柄の大きな雄…。
え? 本当に兄妹? お母さん(美形・小柄・スレンダー)とあんまり大きさ変わらない…お顔も大きいような気が…「ちょっとビビり君なの」とすぐに布を下ろしてにっこりと保護主さんは言った。「デブちゃんだからぶーちゃん。一番最初に出てきたから長男で、すごい食欲なの。他の子のも食べちゃう。」
…なるほど…。

その後30分ほど保護主さんと色々お話し、「本当に連れて行くの〜? お父さんに言ってないから怒られるよ〜」と横から口を出す息子(正しい事を言っています)をさらっと無視して、ほぼ“べっぴん”ちゃんに心が決まったその時…
ポテポテポテ…とカラーボックスから“ぶーちゃん”が真っ直ぐわたしの方へ歩いてきて、目の前でお腹を出してゴロゴロし始め、他の子は全く近づかないのに(最初に驚かせたから〜)あろう事かわたしの膝に乗ってきて丸くなった。
か、可愛いじゃないか〜!! 牛柄だけど、3か月の子猫には全く見えないけど、なんか思っていた子猫とは違うけど〜!!
息子にも「どの子がいい?」と聞くと「この子」とわたしの膝の上を指した。


その後「ふく」と改名された子猫は現在2歳、立派な若猫になった。
連れて帰った日に「猫〜?駄目だよ〜、だってワン’Sもいるしさ〜……わあ〜! 大福みたいで可愛いな〜!」
と瞬殺でノックアウトされた旦那さんは「初めから俺は猫派だ!」とのたまい、
息子は、わたしが「あんた犬派だって言ってたじゃない」と言うと「え〜?」としらばっくれる程可愛がっている。
もちろん一番メロメロなのはわたしだ。
犬とも仲良くうまく付き合い、ちょっとどんくさく多少ビビりだけど、毎日わたしの腕枕で寝るこの子が可愛くて仕方ない。
「おはよう」と布団で見つめ合う日々は、得も言われぬ程の幸福感をくれる。
ふくのおかげで外の猫たちの現状にも心が向くようになった。
我が家は、その後雌猫をもう1匹家族に迎え沢山の癒しをもらっている。

        

様々な事情や人間の勝手で外で生活する子たちがいる。
センターに収容される子たちがいる。
同じ命を授かり、生まれた彼らの生きる権利を奪うことなど誰にもできない。
せめて暖かい寝床や食事、そして愛情に溢れた眼差しで見つめ合う相手と出会えるようにと心から願わずにはいられない。

* * * * * *

体験記に加え、最後に、わたしなりの想いをいくつか挙げさせていただきます。
現在動物飼育をされている方、これから新しい家族を迎える予定の方など、感じていただける事があれば幸いです。

愛玩動物の遺棄は犯罪です! 命は捨てられるものではありません。

犬派も猫派も鳥もうさぎも関係ないのです。家族に迎えたなら最期の時まで暖かい眼差しを交わして下さい。
万が一の事態の際には家族でいられる策を熟考し、それでも叶わない時には…彼らがもう一度暖かく見つめ合える相手を見つけてあげるのが、命を預かる者の最低限の務めだとわたしは思っています。

文中わたしは旦那さんに内緒で子猫を引き取りましたが、本来はご家族皆さんの同意の上で新しい家族を迎えるべきだと思っています(反省すべき点ですね)。もちろん瞬殺想定内でした。

彼らが生きている以上、確実にお金がかかります。堅苦しくならないようにラフな文章の為、安易に家族を増やしたように思われるかもしれませんが、住居環境・家族構成・先住の子・経済状態・自身の年齢他…考慮した結果4匹を家族に迎えました。正直子供が1人でなければ、我が家では4匹の飼育は金銭・時間の点においても厳しかったと思います。

家族に迎える際は獣医さんの検診を受けていただきたいです。今回のような予期せぬ出産や疾患等対処できると思います。ふくはお腹に回虫がいました。先住の子や人間にうつる場合もあるのですぐ受診して良かったです。

意外と盲点なのは、成長につれ疾患などが出るかもしれない事です。ふくは生後半年を過ぎてから穀物アレルギーを発症しました。食べるのが大好きなふくですが食べ物の規制がありますし、フードは種類も少なく高めです。

ご自身の健康にも留意下さい。わたしはこの子達は必ず自身が神様にお返ししようと思っていますので、健康診断をきちんと受けるつもりです。

脱走防止策に配慮下さい。「うちの子は大丈夫」はありえません。わずかな過信で取り返しのつかない事態に陥らないように、少しの工夫をしてみませんか?


好みの毛色や顔立ち・種類・性別…もちろん器量良しに越した事はありませんよね。でも、動物は見た目だけでは判断できません。姿かたちよりも、「うちに合っている子か」どうかを判断いただくとその後のトラブルも軽減されるかもしれません。ふくが優しく穏やかな性質のおかげで、犬や後から来た猫とも問題なく馴染み、今では全体の調和をとってくれる存在です。あの日ふくがわたしを選んでくれて本当に良かったと思います。


みなさま、どうぞ楽しく暖かいペットライフをお過ごし下さいね!



新潟動物ネットワーク/猫班 曽根 幸依子
平成28年3月1日掲載

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