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新潟動物ネットワーク No.142
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私がNDNに入った理由
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今年の4月に、うちの猫が死にました。
うちに来てから、17年生きました。
17年前のある夏の日に、突然どこからともなく現れて
あまりにもガリガリに痩せた姿が不憫だったので
餌をやっているうちに、気がついたら家族の一員になっていました。
しかしその頃は、私は仕事に子育てに只々忙しく、
遊んでやった記憶がほとんどありません。
とにかくいつも時間に追われ、バタバタしていました。
一方、猫の方は、風邪ひとつ引かず、お腹を壊したこともなく、
いつも一匹 まったりとして、全く手がかからない子でした。
特に何をするでも、してやるでもありませんでした。
そこにいるのが当たり前の、よく言う「空気のような存在」でした。
ところがとうとう、年のせいなのか
今年に入ってから急に具合が悪くなりました。
心不全が原因で肺の膜に水が溜まるようになり、
お医者さん通いの毎日でした。
最後の数週間は、かなり呼吸も荒くなり、相当苦しかった筈なのに、
死ぬ直前までも自力でトイレに行き、
最期は私たち家族全員が帰って来るのを待っていたかのように、
全員に看取られて息を引き取りました。
その後は当然、家中どこを見渡しても、当たり前にいた
その姿はありません。いつも私が帰って来ると、
玄関まで出迎えてくれた、いつもの姿もなくなりました。
なんと、死んでしまってから、やっとその存在の大きかったことに
気付いたのでした。
これが「心にぽっかり穴が開く」という事なのか、と思いました。
更にもう一つ、供養していただいた住職の方と思い出話をする時に、
うちの猫が、今迄いつも、どうやって一日を過ごしていたのか、
何一つと言っていいほど、はっきりと思い出せなかったのです。
何だか、とっても愕然としました。
猫に対して、とても申し訳ない気持ちになりました。
ところが、その事を住職さんに正直にお話したところ、
「猫って、そういう存在なんですよね。」
とおっしゃったのです。
特に何をするでも何を要求するでもないんだけど、
私たちの事をいつも見ていて、
多分、いろいろと考えていて、私たちはそういう姿に
いつも癒してもらっている。そしていつの間にか、
人間にとってのかけがえのない存在になっている。
猫って、すごいですよね、と。
死んで悲しいことがとても辛く、もう絶対に猫は飼うまい、
そう思っていた私の心に、それから変化が起きました。
ただ何となく一緒に暮らすようになったうちの猫が、私達にとって、
大いにその存在感を持っていた、その生きていた意味を、
死んでからも持たせてあげたいと思うようになりました。
うちの猫も野良だった、
でも運命的にうちに来て、私達に大きな影響を与えた、
それなら全ての猫に、そういう運命、力がある、
そんなすごい存在になりうる猫たちが、
一匹だって、棄てられたり殺されたりしていいはずがない、
理不尽な経過をたどる猫たちが減ることに関わる事がしたい、
きっとうちの子もそれを望んでいるだろうと
思うようになりました。
そしてNDNの存在をインターネットで知り、
皆さんに色々教えて頂きながら、まだまだ日は浅いですが、
今に至っています。
恥ずかしながら、今迄はこのような団体がある事を知らず、
また知ろうとすらしなかったのですが、自分がその中に入ってみると、
活動している皆さんのその情熱と行動力に、只々頭が下がるばかりです。
保護したての猫の警戒心の強さに驚き、
小さい体で必死に生きようとする姿に感動し、
でも引っ掻かれて流血した時はくじけそうになったり、
保護していた猫に里親さんが見つかり引き渡す時の寂しさが
想像を超えるほどで涙が出たり、とにかく、先輩の皆さんからしたら
まだまだ甘いですが、私なりに奮闘しています。
私もいつか、うちの猫に対して、胸を張って
頑張ってるよ と言えるようになれたらいいなと思います。
あの世で、まさかこんな活動をすることになるなんて、
今迄なら考えられないね、でもどうか、一匹でも多くの
私達の仲間を救ってね、そう言っているかもしれません。
そういう行動を行うように導いてくれた、猫のパワーに
改めて感謝しています。
そして、一人でも多くの方が動物の持つ力を実感し、
NDNの活動に協力していただけることを強く希望しています。
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死んだうちの猫「はなび」です。
家の前で花火をしていたら突然現れたので、
何となく思いつきで名付けました。
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新潟動物ネットワーク/猫班
高橋小百合
平成27年11月1日掲載 |
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