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新潟動物ネットワーク No.139
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NDNフェスティバル2015
〜ゼロアクションNIIGATA〜
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7月5日(日)から9日(木)の5日間、毎年恒例のNDNフェスティバルをNST本社で開催し、多くの方々にご来場いただきました。今回のフェスティバルでは、新潟の殺処分ゼロを目指し、私たちにできることを来場者のみなさんと一緒に考えました。豪華ゲストをお招きしてのトークセッションや講演、絵画展や獣医師さんによる相談コーナーと盛りだくさんのイベントとなりました。
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5日間通して行われたイベントは絵画展「震災で消えた小さな命展3」でした。「震災で消えた小さな命展」は、震災で亡くなったペットを国内外のアーティストが描いた作品の巡回展で、今回はその第三弾です。展示された作品は最後に飼い主さんの元へと帰ります。
命展の代表をされている絵本作家うささんの講演では、命展で描かれているペットのお話とともに、小さな命の重さや“ペット同伴避難”の大切さについて訴えられ、そのお話に聴衆の多くが涙していました。
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うささんは講演で「動物が好きな人もいれば嫌いな人もいる。また、動物好きの中でも、無意識に好きな動物とそれ以外の動物を線引きしている方も多い。だが、どんな生き物も一つの命として考えてほしい、命に優劣はない」と訴えられました。また、「最低でも3日分のペットフードを用意し、自分の行く避難所の決まりを事前に確認しておいてほしい」とも。うささんの呼びかけに応えるように、来場者からは「あらためて災害の悲惨さ、災害時の対応の大切さを思いました。」「災害時におけるペットのあり方を考えなければと感じました。」という声をいただきました。
講演後は多くの方が余韻に浸りつつ、「震災で消えた小さな命展3」のひとつひとつの絵に描かれている子のことを思いながら観覧されていました。
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午後からは、女優でありながら動物愛護にも精力的に取り組んでいらっしゃる杉本彩さんが、殺処分の現実や華々しいペット産業を取り巻く裏の問題をわかりやすく私たちに伝えてくださいました。
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今回のNDNフェスティバルのテーマでもある殺処分の問題については、「殺処分という制度が存在していること自体に違和感がある。処分される子にとっては処分数が一頭でも何千頭でも関係ない」とおっしゃられ、殺処分ゼロを訴えられました。また、行政の方も決してこの作業に慣れているわけではなく、杉本さんがある行政職員さんの前でこの話をしたら、「その通りだ」と涙ながらに訴えられたそうです。「殺処分は動物にとっても人間にとっても幸せになれるものではない。」と訴えました。
動物愛護先進国では、犬や猫を飼いはじめる時には動物愛護団体から身寄りのない子を引き取ったり、優良ブリーダーと直接やりとりをすることが一般的だそうです。杉本さんは簡単に命が買えてしまう日本の生体販売システムも、殺処分数が減らない要因なのではないかと訴えています。「パピーミル」と呼ばれる利益のみを重視した悪質な繁殖所が日本には数多くあるそうでその問題についてもお話してくださいました。
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杉本さんは講演で動物虐待についても触れられました。日本でも動物の虐待や遺棄は懲役や罰金に処せられる犯罪行為です。しかし日本の法律では飼い主の所有権が強いため、虐待をする飼い主の元から引き離すことができないのが現状だと杉本さんはおっしゃいます。他国では「アニマルポリス」というものがあり、虐待を受けている動物を保護し里親探しをすることができるのだそうです。
その他にも杉本さんが携わってきた地域猫活動(野良猫を不妊手術して給餌やトイレのお世話をし、一代限りの命として見守ること)についてもお話ししてくださいました。今回の杉本さんの講演は「初めて知ることが多く、とてもためになった」と好評で、「小さな子どもたちにも大きくなる前に知ってほしい」という声もありました。また、女優であり知名度が高い杉本彩さんの講演ということで、普段はあまり動物愛護に興味がない方にも、動物に関する問題を知っていただく機会になったのではないかと思います。
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トークセッションには、泉田裕彦新潟知事、篠田昭新潟市長、杉本彩さん、うささん、永松亮一先生(新潟市動物愛護協会会長、獣医師)といった豪華ゲストが参加しました。コーディネーターは、NDNの岡田代表がつとめ、新潟の殺処分とペット防災について意見を交わしました。
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現在新潟県では年間約2000頭の犬猫が殺処分されています。その内訳の多くを猫が占めていることから、トークセッションは猫に関する議論が中心になりました。
猫は繁殖力が強く、不妊手術をせずに野良猫に餌だけをあげているとあっという間に頭数が増えてしまいます。新潟市では野良猫の不妊手術への助成制度がありますが、「助成金がでるなら野良猫の不妊手術をやろう」という人が増えれば、さらに予算を増やすことも考えると篠田市長がおっしゃってくださいました!
猫の処分数が多い要因として、多くの動物を飼育して結果的に飼いきれなくなる「多頭飼育の崩壊」も議題にのぼりました。NDNもこれまでに何件か関わってきましたが、一人の飼い主が10頭以上も処分して欲しいと行政に持ち込んでくるケースです。これについて市長は、「多頭崩壊を招く要因として孤独感など飼い主さんの心の問題が関わっていることもある」とし、「今後は飼い主さんが相談できる場を設けるなど対応していけたら」とおっしゃっていました。
また、長岡市にある県の動物愛護センターでは積極的に譲渡活動を行い、全都道府県の中でも高い譲渡数を誇っています。泉田知事はアニマルセラピーのような効果を期待し、福祉施設や学校などにも譲渡してさらに譲渡数を増やすことを考えているそうです。
ペット防災については、新潟は全国でも最も進んでいる県ですが、全国的に見るとガイドラインに「ペット同行避難」の文字が入っているだけで、いざという時に機能しないところもあると、うささんが指摘されました。新潟県だけが良くても、今回の東日本大震災のように県外に避難することもあるかもしれません。そこが同行避難ができず、避難所で私たちの家族であるペットと一緒にいられない可能性もあります。ペット同行避難が全ての自治体で周知徹底されるようになればと思います。
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そのほか、獣医師さんをお招きしての相談コーナーも開催しました。開催時間が講演やトークセッションと重なってしまいましたが、それにもかかわらず多くの方が相談コーナーに訪れ、日ごろの悩みを相談されていました。またNDNの譲渡会などでお馴染の物販コーナーも大変好評で多くの方にお買い求めいただきました。
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最後になりましたが、ご来場くださいました皆様ありがとうございました。
参加できなかった方に向けて、準備ができ次第YouTube配信やブログで詳細をお伝えいたしますので楽しみにお待ちください! |
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新潟動物ネットワーク/イベント班・ブログ担当
計良 愛奈
平成27年8月1日掲載 |
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