新潟動物ネットワーク  
No.226


よく考えて



私は昨年の12月に新潟動物ネットワークのボランティアスタッフに登録しました。
日々、テレビやSNS等で目にする、動物虐待、犬猫の多頭飼育崩壊、悪徳ブリーダー、野良猫問題。今の自分に何かできる事はないかと思い、まずスタートラインとして、NDNのボランティアスタッフに登録しました。


私は新潟市で2005年からわんちゃんのトリミングのお店をしています。トリミングの仕事に携わって25年ほどになります。
そこで私が日々感じている事、思っていることをお話ししたいと思います。


わんちゃんを家族として迎え入れるご家族が、わんちゃんの事をよく知らないまま飼おうとしている事です。
わんちゃんは生き物です。ただかわいいとか、まわりが飼っているからと安易な考えだけで飼ってはいけないんです。
生き物を飼うにはお金も時間も手間もかかるんです。汚い事も、時には悲しい事もあります。
わんちゃんの種類によっては、寒さが苦手な子、暑さが苦手な子、毛がすごく抜ける子、毛がのびる子…様々な特徴があります。
なのにそんな事を何も事前に知ろうとする事もなく、かわいいから、子供が欲しがるからと飼う方がいます。
わかります。
だってわんちゃんはかわいくて、温かくて、ふわふわで、癒しですから。


トリミングにいらっしゃるお客様からも
「こんなに大きくなくなるとは思わなかった」
「こんなに毛が抜けるとは知らなかった」
という言葉をたまに聞きます。
そんな時はそのわんちゃんの特徴やお手入れ方法についてお話しします。
ですが、そんな事も知らずにわんちゃんを迎え入れているなんて、と悲しい気持ちにもなります。
それに売る側、譲渡する側の人がそんな事も説明しないのかと腹立たしくなります。
わんちゃんにもご家族にも幸せになってほしいんです。


先日、買い物ついでにどんなわんちゃんグッズがあるかなぁとペットコーナーに立ち寄った事がありました。今は様々な生活グッズ、お手入れグッズがあるんだなぁと勉強になりました。
今では仔犬販売をしているお店は徐々に減りつつあります。そのお店では、仔犬販売もしていました。
そこで、えっ!! と耳を疑う事がありました。
仔犬を見ているお客様がスタッフさんに
「このわんちゃんは毛が伸びるんですか? どんなお手入れが必要ですか?」
それに対して聞かれたスタッフさんは
「どーなんですかねぇ?」って!!!
私は驚き、とても腹立たしかったです。
仔犬販売をしているスタッフさんがこれでは絶対ダメです。


私のお店にトリミングに来るわんちゃんは差がありますが、多くの子が毛玉がある状態です。
毛玉があるという事は常に皮ふが引っ張られているという事です。引っ張られながら、日々遊んだり、眠ったり、ご飯食べたり、お散歩したりしています。
トリミングの際にはわんちゃんになるべく負担がかからないように、ひどい毛玉の場合は切って短くします。毛玉を引っ張ったりして痛くしたくないですからね。
毛玉を作ってしまうのは、お手入れ方法が間違っていたり、トリミングに出す間隔が長くなってしまったりだと思います。お手入れ方法についてはお客様にアドバイスしています。
なかには、こちらもせつなくなってしまうほどの毛玉で来るわんちゃんもいます。忙しかった、都合が合わなかったと、飼い主様の都合です。
私は、ひどい毛玉=虐待 と考えています。皆さんが想像する以上にひどいんです。過去に一度だけ、あまりにもひどい状態で来たわんちゃんの飼い主様に対して、「かわいがってるのはわかりますが、これは虐待です!!」と、はっきり伝えた事があります。


トリミングの仕事はわんちゃんをお預かりして、キレイにしてお返しします。
命を預かる仕事です。
私達トリマーは刃物を扱う仕事です。
常に緊張感をもち、わんちゃんの安心・安全を第一に考えてしています。
生き物を扱うなら責任感が伴わなくてはなりません。


最近ではテレビでもよく耳にするようになった保護犬、保護猫と呼ばれる犬猫がいます。
去勢手術や不妊手術をしないで異常に増えてしまって手に負えなくなった多頭飼育崩壊。
一度は飼ったが様々な理由で飼えなくなった。
ペットショップやブリーダーで赤ちゃんを産んでいた繁殖犬や猫。
そんな子たちを家族に迎え入れるご家庭も増えています。


我が家では様々なわんちゃんを家族にしてきました。
たくさん赤ちゃんを産んできた子。赤ちゃんが産めない子。未熟児で産まれてきて、長く生きないと言われた子。
今まで8匹迎えてきました。ある程度年齢がいったわんちゃんたちばかりです。
ちなみに未熟児で生きないと言われた子は13才まで生きました。


今の我が家には13才のシーズーの「はなよ」がいます。繁殖犬でした。2年半前に私達の家族になりました。
はなよは穏やかで、いいこで、とにかくかわいいんです。トイレトレーニングなんてしていないのに、ちゃんとトイレでしてくれるんです。
うっとおしがられる位、私たち家族の『はなよ愛』はすごいんです。
はなよが眠っている姿に癒やされ、ただいてくれるだけで私たちの心は温かくなります。





はなよを迎え入れる時には家族で話し合いました。みんなの気持ちはどうか。お世話のお手伝いはしてくれるか。お金の事、お手入れの事。
家族みんなの賛成を得て、はなよは我が家の家族になりました。

わんちゃんとの生活は大変な事や心配な事があったり、お金もかかりますが、幸せで温かくて素晴らしいものです。

まわりでわんちゃんを飼いたいという人がいれば、必ず伝える事があります。
家族でよーく相談して
よく考えて。

不幸なわんちゃんねこちゃんが減りますように。
一匹でも多くのわんちゃん、ねこちゃんが幸せになれますように。


    


新潟動物ネットワーク/猫班
沼沢 愛
令和4年11月1日


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