新潟動物ネットワーク  
No.219


北海道・農場訪問報告
 
昨年、AW(アニマルウェルフェア)班スタッフが北海道の生産農場を訪問し、普段なかなか聞けない生産者としてのストーリーや動物たちへの思いを伺ってきました。たくさんの方に知っていただきたい5つの農場をご紹介いたします。各農場の想いがぎっしり詰まったHPやSNS・オンラインショップなどもぜひご覧いただければと思います。


1 『牛と共に歩む!妹背牛牧場』

わたしたち人間のために働く畜産動物として、どうしたら能力を発揮しつつ充実した生涯を送れるか、ということを常に牛ファーストで考える牧場です。牧場の方はAWという言葉は使わないのですが、AWの基本「5つの自由」を意識してみてみると
 ・たくさん触れて育て、人へのストレスを感じさせない(恐怖やストレスからの自由)
 ・いつでも餌が満たされているよう餌寄せロボットを導入(飢えと渇きからの自由)
 ・牛と同じ場所に座ってみて、過ごしにくくないか、暑さ寒さなどから守る工夫をする(不快からの自由)
 ・ロボット導入で省力化した分を牛の観察に充て、異変を見逃さない(ケガや病気からの自由)
 ・フリーストールの牛同士の相性や性格を見分け、過ごしやすい群に分ける配慮をする(自然な行動をする自由)
というように、乳牛という家畜が得られる最大限の愛情と配慮を与えられていると感じました。
そして牛たちの快適や幸せは”突出した生産成績”という結果として表れているそうです。
妹背牛牧場のSNSはすごい発信頻度でとても楽しく勉強になるので、ぜひ検索してみてください。








 2 『AW畜産協会認証農場 クリーマリー農夢』

ご夫婦ふたりで6頭の牛を家族のように慈しみ、あふれるほどの愛情で酪農と乳製品加工を行う農場です。「生き物を機械と同じように扱っていいのかな?」 豊かな感情で愛に応える牛たちに触れれば、工業化されてしまった畜産に対して疑問がわくのが普通なのかもしれません。名前を呼ばれてブラッシングをしてほしくて人に寄り添ってくる牛たち。その牛たちがかわいくて仕方なく、ずっと触れながら話しかけるご夫婦。こんな酪農の形もあるんだなぁ、とあたたかい気持ちに包まれる農場でした。


 


 3 『AWFC会員農場 エルパソ牧場』

「どろぶた」のネーミングで知られ、生産から加工・出荷までを一貫して行う北海道らしいスケールの牧場です。こちらは肥育期間中の放牧はもちろんのこと、母豚を通常の(身動きの取れない)ストールに入れない工夫もしています。ストールは通常の3倍の大きさがあり歩くことも可能です。家畜として命を頂く相手だからこそ、できる限りの配慮と幸せを与えたいというお考えで放牧養豚に取組んでいるそうです。


 





 4 『ひよこから育てる卵ラン農場ムラタ』

ご夫婦で30年以上、自然養鶏ひとすじのムラタさん。その卵は平成20年の洞爺湖サミットで各国首脳も口にしたのだそう。炊き立てご飯とともに振舞っていただいた卵は、びっくりする甘さと味わいでした。ムラタ農場が「ひよこから育てる」のは、身体は食べているものと環境で作られるというお考えからです。鶏も、その鶏の卵を食べる私たちも。餌はほぼ地元産のものを与え、ひよこのうちから胃腸を健康に保ち、薬に頼らないことも大切にしておられます。美味しくて安全なものは、鶏たちの心身の健康無しでは得られないことをしっかりと教わりました。


    


 5 『AW畜産協会認証農場 あすなろファーミング』

伺った2021年12月で30周年。現在は動物と環境に配慮したリサイクル農業とAWに取組んでいらっしゃいますが、会長が酪農を始めた当時はAWのことはご存じなく、一般的な方法で酪農をしつつ”牛の美人コンテスト”でよい成績をとることを目標にされていたそうです。AWを知ってからは、海外研修に行かれて飼料や環境について学ぶなど、好奇心と探求心にあふれる長いご経験を経て、現在のように健康な牛たちと大地を育てています。健康な家畜を育むには、大地への配慮も欠かせないのですね。
帰りに、農場から車で1分ほどの場所にある直売店でお土産をたくさん買いました。お客様がAWという言葉を知らなくても、おいしさでファンが増えるのに納得です。


 





どの農場でも、5つの自由を満たすのに留まらず、畜産動物として暮らしていく上で、生産能力を引き出しながらもより快適であるように配慮されていました。生産者の皆さんの動物たちに向ける優しい表情と言葉が、印象に残っています。その命を頂く家畜だから、出来る限りの配慮と工夫を考える。なぜかと言えば動物たちの幸せが自分たちの幸せであり、それでこそ本当の「美味しい」や「安心安全」な食べ物が得られることをご存じだからなのだろうと思いました。それはいただく側のわたしたち消費者にもいえるのかなと思います。畜産動物たちと、命の恩恵を届けてくれる生産者の皆さんに、心からの感謝を感じられる旅になりました。

それぞれの農場の詳しい報告はブログに掲載していますので、どうぞご覧ください。
https://ameblo.jp/ndn-joutokai/theme-10113044130.html


新潟動物ネットワーク/AW班
佐藤由希子
令和4年4月1日


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