新潟動物ネットワーク No.209 |
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野良猫はなつかない?成猫から飼うのは難しい? ~まぁちゃんの3年間~ |
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NDNで猫の譲渡活動に携わっていると、里親希望者さまから「こんな猫を飼いたい」という様々な希望条件を伺います。 ・子猫がいい ・人馴れしている猫がいい ・健康な猫がいい 多く寄せられる希望条件はこの3つです。飼い主さんから見れば至極当然な条件ですし、このような保護猫たちが先に貰われていくのも事実です。 子猫が可愛いのは世界共通の認識ですし、甘えてくる猫を撫でる喜びは何物にも代えがたいものがあります。 私も今から里親になるのであればその3つを挙げるでしょう。 しかし、3年前我が家にやってきたのは、その3条件とは180度違う猫でした。 きっかけはとある猫相談から、身寄りのない子猫がいるからと代理保護を引き受けたことでした。 最初に対面して思ったことは ・子猫じゃない! ・全然人馴れしてない! ・き、汚い…く、臭い! そう、やってきたのは当時すでに9か月、生粋の野良、栄養失調&風邪&結膜炎でズタボロの猫だったのです。 |
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我が家に来て1日目 ケージへの引越しに失敗し米びつの裏に隠れていました |
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その日から猫vs私の攻防戦が始まりました。 飲み薬は吐き出し、飲んだと思ったら今度は下痢、何をしてもシャーシャー威嚇され、ごはんを差し出せば皿ごとひっくり返され、目薬をさそうとすれば噛みつかれ、流血しながらお世話をする数か月でした。 でも、今思えば当たり前の反応です。知らない場所にいきなり連れてこられ、自分より何十倍も大きな得体の知れない生き物が近づいてきて、訳のわからない言語で話しかけられる…人間で例えると、ある日から突然異国の地でゴジラに世話されるようなものです。恐怖でしかありませんね。 こんな調子だったので、里親探しもまた一苦労。 NDNでは月2~3回のペースで譲渡会を開催していますが、この猫が参加したのは1年間でたった2回。 ストレスで涙が出てしまう体質もあり、ポロポロ泣きながら嫌がる姿を見て、譲渡会参加や通院を断念したことが何度もありました。 保護から1年が経ったころ、私はこの猫の里親探しをやめました。 風邪も結膜炎もすっかり治り、顔も体もふっくらした猫を「まぁちゃん」と名づけ我が家の飼い猫として正式に迎えることにしたのです。 里親探しを続ける道も残されていたのですが、1年間、試行錯誤しながらこの得体の知れない生き物(私)との生活に順応しようと努力したまぁちゃんとお別れすることが考えられなくなったからです。 |
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保護から1年経ったころ 脚を投げ出して寝るようになりました |
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この6月でまぁちゃんが我が家に来てから丸3年になりますが、彼女は見違えるほどに成長しました。 今では名前を呼ぶと返事をして来てくれるようになり、撫でられることが大好きです。 禁止事項(キッチンに登らない、ゴミを漁らないなど)は必ず守り、他の飼い猫と同じように「ごはんちょうだい!」の要求鳴き、ゴロンと横になり「あそぼう!」の誘いもできるようになりました。 抱っこはまだ練習中ですし、こたつ以外では一緒に寝てくれませんが、それを差し置いても彼女には良いところがたくさんあります。 |
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飼育2年目 野良の頃は知らなかったタブレットで動画鑑賞 |
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飼育2年目 夏場のフローリングは最高! |
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逆の視点から考えると、たったこれだけのことに3年もかかったと言えるでしょう。 NDNに登録されている保護猫の中には、人馴れが難しくなかなか里親希望の声がかからなかったり、せっかく声がかかっても残念ながら出戻ってしまうケースが多くあります。 どんな見た目のどんな性格の子も皆、それぞれの家庭で愛され幸せに暮らしてくれることを願っています。 これから猫をお迎えしようか考えている方 こんな猫もいるとご理解いただき、ぜひ候補の一つに入れていただければ嬉しいです。 また、飼った猫が人馴れせず悩んでいる方 NDNでは飼育に関するアドバイスを行っておりますので、お気軽にご相談ください。 ぜひ一緒に学びましょう。 |
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