新潟動物ネットワーク  
No.207



   私たちの暮らしを支える動物たち


皆さんは動物というと何を思い浮かべますか?
ペットの犬猫でしょうか?それとも動物園などで見られる展示動物たちでしょうか?

 数多くの動物の中で実験動物を挙げた人はそう多くないかもしれません。私自身、今の仕事に就いていなければ想像もしなかっただろうと思います。普段身近に感じることはないかもしれませんが、実験動物は私たちの暮らしに欠かせない大切な存在です。今回は少しでも多くの人に彼らのことを知ってほしいという思いから日頃私が関わっている実験動物についてご紹介したいと思います。

 そもそも実験動物とは動物実験に用いられる動物のことを言い、薬の開発や研究に欠かせない存在となっています。マウス、ラット、モルモットなどの種類がありますが、どの動物を使うかは実験の目的によって変わってきます。私が仕事で関わっているマウスを例にあげますと、実験用のマウスは野ネズミと違って専門の生産場で厳しい衛生管理の下、繁殖・育てられ、専門の業者を経て実験施設にやってきます。届いたマウスは新鮮な水と餌を与えられ(いつでも自由に飲食することが可能)床敷が敷かれたケージへ移されます。輸送の際のストレスを癒すためすぐに実験に使われることはありません。ケージに入れられたマウスは温湿度、換気、照明等の室内環境が一定に保たれた環境で実験を終える日まで過ごします。

 ここで少し話はそれますが、もう10年以上も前に動物福祉の講義を受けたことがきっかけで、ペット以外の動物にも目を向けた考え方に感銘を受け、以後動物福祉の考え方は自分の信念の一つとして大切にしてきました。その考え方は実験動物に対しても等しくあります。代表的なものに3Rの原則というものがあり、これは
Replacement(代替):「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」、Reduction(削減)「できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること」、Refinement(改善):「できる限り動物に苦痛を与えないこと」の3つの頭文字をとったもので、動物実験を行う上での世界的な基準となる理念です(動物愛護法にも盛り込まれています)。実験に携わる者として最低限のルールと言っても良いのではないでしょうか。実験動物は実験が終わると原則的に安楽死させられます。これは3つ目の原則に当てはまり、苦痛状態にある動物や回復の見込みのない動物を生かしておくよりも安楽死によってその苦しみから解放させてやることの方が動物にとって良いとされているからです。
 私が扱っている実験動物の一生は短く半年も満たないものがほとんどです(動物種や実験の内容によって異なります)。マウスを受け取ったその日からその生涯を終えるまで出来る限り痛みや恐怖といったストレスのない平穏な日々を過ごしてもらえるよう心がけています。

 最後になりますが、現在の医療の技術も進歩も彼らなくしては成し得なかったものです。その大切な命を捧げてくれた彼らに心からの感謝と敬意、そして哀悼の意を込めて年に一度、動物慰霊祭が行われます。1年間を振り返り動物福祉の理念を守れていたか反省し、より一層の技術の向上を目指して決意を新たにする機会でもあると思っています。私たちの豊かな暮らしの影にはこういった動物たちがいるということを忘れてはなりません。


新潟動物ネットワーク/猫班
計良 妙
令和3年4月1日掲載
 
 


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