新潟動物ネットワーク  
No.198



動物との共生~動物福祉




皆さんは「アニマルウェルフェア」、「アニマルライツ」を聞いたことはありますか?

1)「アニマルウェルフェア」=動物福祉
動物を利用することは否定しないが飼育下、人間により制限された環境に置かれる動物がいかに苦痛を受けずに快適に幸せに生きられる様にする責任と義務があります。つまりアニマルウェルフェアでは最大多数最大幸福を目的にしています。(幸福と精神的、肉体的にも苦痛や痛みがないこと)

2)「アニマルライツ」=動物の権利
人間に権利があるなら動物にも権利があり制限された自由が必要であるといわれます。動物の権利とは思いやりと優しさを持ち接し扱うことです。また「動物の権利の根拠」を主張した哲学者のトム・リーガンは【動物も人間と同じく生きる権利があり痛みや苦しみを感じる たとえ痛み苦しみを与えなくとも殺傷してはならない】と唱えています。海外ではこのような考え方が先に立って(菜食主義者=ヴィーガン)の人が見受けられます。

基本的な考えは同じですが、捉え方に違いがあります。簡単に言うと
「アニマルウェルフェア」は動物利用は否定しないが生きている間は生きるための幸せを与え「アニマルライツ」は人間と同様に生命を与えられているのだから殺傷や動物利用は反対をしています。


新潟動物ネットワークでは「アニマルウェルフェア」の活動にも取り組み始めていますので、「アニマルウェルフェア」について書かせていただきます。
皆さんは、身近な動物だと何を思い浮かべますか? たぶん猫や犬、小動物等だと思います。
では畜産動物である牛、豚、鶏…は? 一般的に家畜と言われ肉や卵として我々の食卓に当然の如く並んでいますね。やはり身近な動物だと思います。
しかしながら、畜産動物である牛、豚、鶏がどんな一生を送り終えるか認知は低いと思います。

鶏は食肉と鶏卵があります。その中で鶏卵の生産では卵の大量生産の問題があります。鶏は卵の大量生産のため「バタリーゲージ」(金属製の籠で一連の装置)に入れられ、ただ、ただ…ひたすらに卵を産むためだけに自由を奪われ生涯を終えます。本来、鶏は朝起きて羽ばたき羽繕いをし、地面を引っかいて餌探し、砂浴びで体表を洗います。しかし自由を奪われたことで地面を引っかくことも出来ず爪は伸び、砂浴びも出来ないので体表は汚れ外部寄生虫が増え、運動不足や強制換羽で寿命が短命になります。

牛では子牛肉の生産があります。雄の子牛は生後5~6ヶ月で木枠の囲いに入れ母牛の母乳のみで育て、その後母牛、仲間と餌の競合することなく…上質な肉の生産のため屠殺されます。この頃の子牛は社会化期であり母牛に甘え、仲間と走り回り、頭を擦り合わせ遊びます。なのに子牛は上質な肉の生産のために自然に生きることさえも奪われてしまいます。

この立場が人間であったら…怖いですよね。昨今ではコロナウィルスで自由を制限されています。

そこで苛酷で悲惨な家畜の状況を変えるため【動物の五つの自由】が生まれました。
飢え渇きからの自由、苦痛からの自由、不快からの自由、恐怖や抑圧からの自由、自然に行動できる自由です。(近年では畜産動物のみならずペットや実験動物などあらゆる人間の飼養下に置かれる動物の福祉の基本として世界で認知されています)この【5つの自由】を軸に「アニマルウェルフェア」が生まれました。
では私たち人間が出来ることとは?

1)生産者は動物が苦痛やストレスを感じず快適に生きられる環境の構築と動物たちの適正な育生(飼養)の確立をすること

2)消費者は鶏卵や食肉の大量消費を減らし、動物(牛、豚、鶏)の命を無駄にする消費を控える。そして動物の命に感謝すること

私たちは、動物により生きるための利益を与えられています。私たち人間も動物が生涯最期まで幸せに生きられるように対価として考慮し与えていかなくてはならないと考えます。

人も現在はコロナウィルスが原因で行動を制限され、更には新しい生活までも求められ世知辛い毎日ですが…。これを機会に「アニマルウェルフェア」、「アニマルライツ」と皆さんなりの考え方に立って様々な動物に対する福祉を考えていきませんか?
人間と動物が共生できる豊かな社会のためにも。


新潟動物ネットワーク/猫班
小柳 祐司
令和2年7月1日掲載


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