新潟動物ネットワーク  
No.197



アニマルウェルフェアとヴィーガン


 アニマルウェルフェアという言葉を教えていただいたのは
一年半ほど前、NDNのスタッフの方たちに初めてお会いした時のことです。

「動物福祉」または「家畜福祉」。
言葉としては初めてだったけれど
いつも食事のたびに頭のどこかで、心の奥の方で、常にまとわりつくように
存在しているものを形にしてもらえたような思いでした。

食品の生産や販売に関わる仕事柄、畜産物として食べるために育てられた命が
常に身近に感じられていたはずなのに、
その命の扱い方について考えようとしたことがなかった・・・
逆に言えば、そんなことは考えないのが普通だと思い込もうとしていたのだと思います。
正直なところ、知りたくない事実があるということも薄々感じていました。
そして自分たち人間の食事や暮らしのために
どれだけの動物たちを苦しめ犠牲にしているのかを知り愕然としました。
同時に、あえて知ろうとしてこなかった自分がとても恥ずかしくなりました。

まずは知ることから始めようとアニマルウェルフェアについて調べ始めると
否応なしに、ひどい扱いを受けている動物たちに注目してしまい、
今日から何を食べれば生き物や環境を傷つけずに済むのだろう・・・と
絶望感というか、自己嫌悪感でいっぱいになってしまいました。
(畜産動物に大きな愛で接し、努力している生産者さんも沢山いらっしゃいます!)

さらに調べると『ヴィーガン』という食事スタイルがあることが分かりました。
聞きなれない言葉でしたが、欧米を中心として、動物愛護の観点からはもちろん
環境への配慮からもそういう食事スタイルを実践する人が増えているそうです。
もともと食べることは大好きなので、
ヴィーガンという食事スタイルに俄然、興味がわきました。


       


本当は一口に言えないのですがあえてざっくり説明すると  

◇ベジタリアンは、食事において肉や魚を食べない菜食中心の食生活。
◇ヴィーガンは、食事において肉・魚・卵・乳製品・はちみつなど動物性の食物の摂取をしないことに加え、衣類などでも動物から搾取した物(毛皮や革製品)を身につけない。

実際はベジタリアンもヴィーガンも、もっと細かく分類されています。
ベジタリアンというと宗教や健康上の理由からが多いようなのですが、
ヴィーガンは“食生活”というより、環境や動植物に負担をかけない“ライフスタイル”
という感じでしょうか。
食べることも含めて私たちが生きていく上で、環境や動植物に影響しない関係のない
ことなど無いのだ、ということだと思うのです。


昨年、都内に訪れる機会が何度かあったのでヴィーガンレストラン巡りをしました。
さすが都内には回りきれないほどの数の店がありますが、中でも老舗的なところと
共感できるコンセプトのお店を選び、訪れました。


 
 

   
     


ヴィーガンやベジタリアンの食事は質素で物足りない・・・という漠然と抱いていた
イメージは180度変わりました。ボリュームとスパイスなどの複雑な味付けや、
盛り付けなども色鮮やかで目に楽しいものばかり。
素材の生産や使用の根拠、環境への配慮があることや、
「なぜこういう食事スタイルを選ぶことが動物や環境、自分たち人間にも“良い”のか」を
考えながら食事することが出来て、食事のたびにひとつずつ学べるようで
とても楽しめて、普段の外食よりずっと大満足でした。

   

何より、心からなんの曇りもなく「美味しい!」と食事を楽しめることが
こんなに晴れやかな気分だということをたくさんの人に教えたい!とも思いました。
毎日毎食、そういう食事をすることはなかなか難しいと思いますが
最近ではスーパーやコンビニでもヴィーガン対応食品を見かけることがあります。
未体験の方はぜひお試しください!


2020年5月現在、新型コロナウィルスの影響で「食」にも大きな影響が生じています。
でもそんな状況だからこそ、食や環境について見つめ直すよい機会と捉えることもできるのではないでしょうか。
「新しい生活様式」に加えて「新しい食生活」を実践してみるのはいかがでしょうか?
アニマルウェルフェアに配慮して生産された畜産物を選ぶ、
週に一度ベジタリアンやヴィーガンスタイルの食事をする、
地産地消・旬の物を意識して食べる、どのように生産されているのか調べる、
必要以上に買わない(捨てない!)、など。
和・洋・中・ヴィーガン・・・みたいに、新しい食事の選択肢を加えてみることで
私たち人間の「食」に関わる動物たちへの思いやりが
さらに深まるのではないかなぁと思います。

消費者が食べ物の背景を知り、ひとつずつ意識して消費を変えることで、
生産者もアニマルウェルフェアに取り組みやすい状況が生まれます。
生産者と消費者をつなぐ仕事に誇りを持てるよう、またいち消費者としても、
畜産動物たちの状況が一日も早く良くなるように、莫大な生産と消費ばかりでない
本当の意味で豊かな食生活について、出来ることを考えていきたいと思います。


NDNの見学会などに参加し、動物や自然とやさしく向き合う方たちの取り組みを
見せてもらいお話を聞かせていただく中で、そう思えるようになりました。

NDNと出会い、アニマルウェルフェアという言葉を
知ることが出来たのは、自分にとって大きな出来事でした。
4月にスタッフに加えていただいたばかりですが、ペット動物以外にもたくさんの動物たちと向き合うNDNの一員として、たくさん学び、動物たちに少しでも良いことをしてあげられるようになりたいです。


新潟動物ネットワーク/イベント班
佐藤 由希子
令和元年6月1日掲載


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