ふなくぼ農園見学会
~人にやさしく、自然にやさしく~ |
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2/11 田上町にあるふなくぼ農園さんの見学に行ってきました。
ふなくぼ農園さんは、自然栽培のお米と野菜、
平飼い卵を作っている農家さんです
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生き物大好き、人、自然にやさしい、
人柄の素敵なご夫婦で、
子どもの頃に食べた平飼いの卵がおいしくて、
みんなにおいしい卵を食べてもらいたい、
と平飼い卵を始められたそうです。
鶏たちはストレスを感じることなく、
深い愛情をもって大切に育てられていました
5m×12mの鶏舎が2つ、
黄斑プリマスロックが90羽ずつ合計で約200羽飼育しています
鶏達のストレスを考慮して、
一般的な平飼いに比べると面積あたりの羽数は約半分です
黄斑プリマスロックを選んだのは卵も肉もおいしい、
そして見た目がかわいいから!(ふなくぼさんらしい )
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鶏たちは年齢に応じて鶏舎を分けていて、
メス45羽に対してオス1匹程度でした
広々した鶏舎では嘴で土をつついたり(嘴は切っていません)、
自由に動きまわり、のびのび過ごしていて、
巣箱にはのれんのような目隠しが施してあり、
暗いところで落ち着いて卵を産めるように工夫しています
昨年末に見学した宮尾農園さんと同じく
ふなくぼ農園さんも養鶏場特有の臭いは全くありませんでした
そして、鶏たちが人懐っこい~~!
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餌はぬかと玄米を発酵させたものや
煮た鮭、煮た豆などを与えていて、
加工されたものは与えていないそうです。
たんぱく質を与えるために、ミミズの養殖も考えていると。
給餌の回数は基本朝1回で、
お昼や夕方に追加であげることもあるそうです
鶏たちが健康に育つように、ゆっくりと時間をかけて育てているため、
卵を産み始めるまで10か月ほどかかり、
成長してからは、10日で6個くらい産むそうです
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と畜は年1回
卵を産まなくなった3年目の鶏たちを30羽ほど自家食用にされるそうです
(衛生面、感染症の問題から許可を得たと殺場以外でのお肉は
法律上、販売が禁止されています)
今回はしばらく前から卵を産まなくなり、ほとんど
ペット化している鶏たち26羽をと畜しました
魚とは違い、体温のある生き物の命を絶つのはつらく、
と畜の3日前くらいから気持ちが重いそうです
ここからは実際にと畜の流れになります
卵を食べる以上は決して切り離すことができないと畜の現実
目を背けたくなることではありますが、
ふなくぼさんのと畜には鶏への尊厳と感謝がしっかりあります
最後まで読んでいただけたらうれしいです
(写真は最後にまとめましたので、見たくない方は文章だけ読んでください)
事前準備
●と畜の2日前からごはんなし
●と畜の前日の夜もしくは当日の朝、足を縛っておく
●包丁を研いでおく
と殺
●他の鶏たちからは見えない所で行います。
●抱きかかえて鳥の顔を背け、目を手で覆い、
頸動脈の位置をよく確認後、頸動脈を包丁で切って失血死させる
(意識のある状態で行われる)
切るときの痛みはあるが、放血とともに意識は薄れていく
世話をしてくれた人に抱きかかえられ、
お別れの時を悟っているのか、大きく暴れることも
鳴き声を上げることもありません。
●鶏が目を閉じ、体の力が抜け、動かなくなり、
完全に絶命したことを確認してから、逆さまに吊るす
毛抜き
●お湯を沸かしたドラム缶の中に絶命した鶏を浸ける
少し浸けたら湯から出して皮手袋で鶏の体をこすると
毛がスルッと抜ける
毛が取れにくくなってきたら、またお湯に浸けて、を繰り返す
皮の白い状態になると、生き物→お肉になった瞬間でした。
●洗う
水で洗いながら、細かい毛を取り除いていく
奥に入っている毛も結構残っているため、
1匹ずつきれいにするのにはかなり手間がかかる
解体
●首や背中、おしりなど、必要箇所に切り込みを入れ、
内臓を取り出しやすくする
●鶏のおしりの方から体の中に手を入れて内臓を取り出す
内臓が破けて肉に付くと臭いがつき、食べられなくなるので慎重に
●取り出した内臓を見て、鶏の健康状態を確認
●お肉の部位ごとにカットしていく
肉の油がすごく、手が滑り、カットする作業もかなり大変
鶏たちの苦しみが少しでも軽減されるように、
今後も勉強会などで学んでいきたい
鶏たちに良いことはどんどん取り入れていこうという
ふなくぼさんの前向きな姿勢に、
そして、「この子たち」と声をかける様子に、
ここの鶏たちは、愛されていて幸せだと思いました
意識あるまま機械に逆さまに吊るされる通常の
と畜とは、大きな大きな違いがあります!
ふなくぼさんのと畜は生態系の流れの中のひとつとして
自然に存在していて、命を奪うのではなく、
命をいただくのだと感じました。
それは命に真摯に向き合って、飼育、
と畜が行われているからこそ自然なのであって、
動物をないがしろにした畜産は不自然だということ
そこには大きな違いがある
命にやさしい消費者が増えれば、
不自然な畜産は淘汰されていくと考えます
まずは一人でも多くの人が、
畜産の現実を知ることが大事です
お忙しい中、見学のために時間を作っていただき
ありがとうございました
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新潟動物ネットワーク/総務・猫班
伊藤 典子
令和2年5月1日掲載 |