http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001
  
 新潟動物ネットワーク  
No.103

東北地方太平洋沖地震 被災地応援ボード 
~ペットを飼っている被災者のみなさまへ~
http://ndn2001.com/ndn/animal-support/index.html


「新潟県動物愛護センター見学記」

 待望の「新潟県動物愛護センター」が今年4月1日にオープンし、5月13日、NDNスタッフ総勢20人で施設の見学に行ってきました。前日の12日には、泉田新潟県知事をはじめ関係者約70人が出席して開所式が行われたそうです。

 「新潟県動物愛護センター」は中越と県央・魚沼の3つの動物保護管理センターが併合される形で長岡市関原の県立歴史博物館向かいにできた施設です。敷地面積7,346㎡、建物の延床面積1,415㎡で、犬52頭、猫126匹が収容可能となっています。
 民間企業のノウハウを活用したPFI事業というのが特徴で、事業経営(センターの業務)を「新潟県(県生活衛生課の現場事務所の扱い)」が行い、施設の維持管理(清掃、餌やり、散歩など)を民間の「株式会社アニマルサポート長岡」が行っているとの事です。

 まずは玄関を入って受付の奥に「啓発展示室」があります。動物の適正飼育や中越大震災のパネル、図書、DVDビデオが流されていました。中庭に面していて大きな明るい窓があり、県内産の木材を使用したとても素敵な施設です。
 通路を挟んで斜め向かいに、しつけ方教室の実技講習を行うとても広いスペース「しつけ体験室」があります。今後は学校の生徒さんなど大人数の子供たちと動物の「ふれあい体験」にも活用されるそうです。
 その奥に「ふれあい体験室」があります。長椅子が置いてあり現在は引き取り希望者さんと動物との相性をみるマッチングなどに使用しているとの説明でした。
 これらの部屋からは外の芝生広場へONリードで連れ出すことも出来ます。(見学時は芝養生中で立入不可でした)
 「ふれあい体験室」の前には「研修室」があり、しつけ方教室などの講習会が開催される予定だそうです。(研修室に動物は入室できません)
 そしてさらに奥の部屋が新しい飼い主さんを待っている犬・猫・小動物のいる「動物飼育室」です。入室する際は、足下を消毒用タオルで消毒してから入ります。13日には奥の観察室に収容されている動物とあわせて犬10頭、猫56匹、小動物はモルモットのみ2匹いました。
 施設は夜間は無人になりますが、空気清浄機やエアコンで適温に管理されていました。

<センター収容・譲渡の流れ>
 迷子犬は、大体は各保健所等経由でセンターに収容されます。まずは写真を撮り観察室に入れ、公示手続きをします。公示期間は2日間。市町村の掲示板などで公示します。その後HPに載せ、フィラリア検査、混合ワクチンを接種し、ケースバイケースで外部寄生虫の駆除、血液検査、必要があれば治療室を備えているので治療も行い、少なくとも20日間から1ヶ月位は様子を見て収容するとの事です。
 迷子の返還率は7割程度で、散歩も短時間ですが1日2回フェンスに囲まれたスペースで行っているとのお話しでした。脱走防止のため、出入り口は二重扉になっています。
 引き取り犬の場合でも簡単に受け入れず、終生飼養を啓発した上で相談し、やむを得ない事情がある時に限り引き取っているそうです。

 迷子猫は各保健所や警察に引き取りに行き、HPに載せ、その後適性チェックをし、ワクチンを打ち譲渡となります。
 収容は仔猫が多く、所有者不明仔猫(ノラが産んだ仔猫)の場合、生まれたばかりだと生存率が低いので母猫の母乳で育ててもらうようにお願いして1ヶ月は待ってもらうそうです。また飼い猫が産んだからと仔猫を持ち込んでくる方には、親猫の避妊手術を条件に1回だけ受け取り、2度3度は受け付けないようにしているとのお話しでした。
 現在は設備が整い治療も出来るので、成猫を長期にセンターで飼えるようになり成猫の譲渡がすすんできたそうです。
 猫部屋は防音(犬の鳴き声が聞こえにくい)で、さらにケージには左右、上下に穴がついていて自由に複数のボックスをつなげられる「キャットコンド」が特徴となっています。

 犬も猫も新しい飼い主さんを待つケージの前に、その仔のニックネームと性格・特徴が書かれたカードが掲げられ、とても判り易く良いアイディアだと思いました。例えば「ニックネームはポッキー・人が好きで、とにかく気の良い優しい子です。」といった具合です。スタッフの優しい気遣いが感じられますね。
 センターでの譲渡に年齢制限などの基準は設けず、実際にお世話をしてみて適正をチェックし、譲渡出来る仔はなるべく新しい飼い主さんを見付けてあげられるよう頑張っているそうです。

 今回の見学会では通常立ち入れないバックヤードも見せて頂き、大変充実した設備に驚きました。
 病理解剖・感染症検査などを行う「検査・治療室」には、隔離室・処置室・レントゲン室そして手術台など治療体勢も整っていました。またグルーミング室も完備され、収容動物がトリミングされ清潔な状態で保護されていました。

 新潟県では平成20年に「新潟県動物愛護管理推進計画」を策定しました。「殺処分ゼロ」を目指し、10年後には処分数を半減させる目標を掲げています。
 命を大切にする社会を作るため、終生飼養や適正飼育の普及啓発にも積極的に取り組んでいます。「人と動物が共生するこころ豊かな社会」の実現に向けた新潟県の意欲を感じた見学会でした。
 

センター外観

芝生広場

入口に足洗い場 センター内はペットも入場可

ふれあい体験、マッチングルーム

しつけ体験室

キャットコンド(上下、左右、自在につなぎあわせることが可 能)

1匹ずつの紹介文

さまざまな部屋があり入口に説明板が設置

ホールには現在飼 育中の犬猫の写真が掲示されています

医療管理もこ細やかに

収容動物への配慮も随所に

他県の愛護センターと大きく違うのは
譲渡可能な犬猫の保護室に一般の方 が入れることです

新潟動物ネットワーク犬班スタッフ
富所千津子 
平成24年8月1日掲載

新潟動物ネットワーク  バックナンバー
1 里親探しています。 2 なぜ、のら猫になるの?(その1)
3 なぜ、のら猫になるの?(その2) 4 なぜ、のら猫になるの?(最終回)
5 「馬」のこと 6 犬班の譲渡活動について
7 学校啓発班の活動 8 多頭飼育班の活動について
9 フリマの活動について 10 動物虐待を考える
11 レクレーション活動について 12 中越地震における新潟動物ネットワークの対応
13 「お礼状発送係り」を担当して 14 2004年度会報作成を担当して
15 携帯当番を担当して 16 ボランティア活動とお金
17 “動物好き”に翻弄される動物たち 18 「生きる使命を与えられた動物たち」
    ~猫の一時保護を通して~
19 パネル展と講演会のお知らせ 20 一時保護で変わる犬の運命
21 動物たちを考えるパネル展 22 外国人の目から見た日本の動物たち
23 猫の飼主探しから、素敵な出合い 24 村上東中学校で「命の大切さについて」
25 「動物たちへ少しのお手伝い」 26 「冬の野良猫」
27 小さな命を救いたい 28 うさぎとラビットファー
29 捨て猫しゅんすけと新潟動物ネットワーク 30 リニューアルしました
31 今年は写真展とトークショー 32 優しい出会い
33 小さな命の移動販売 34 クーちゃんと暮らして
35 山に捨てられた猫 36 こどもたちに「命の大切さ」を伝える活動
37 ある犬の繁殖場 38 ある繁殖業者の廃業
39 愛犬からのメッセージ 40 聴導ねこ誕生!?
41 新潟動物ネットワークに参加して 42 気になっている事
43 中越沖地震 44 NDNフェスティバル「身近な動物問題に目を向けて」
45 NDNフェスティバル
 「身近な動物問題に目を向けて」を終えて
46 猫の譲渡会をします
 47  動物との係わり合いとアクシデント 48  NDN カレンダー
 49 雑感・携帯当番 50 犬の一時保護活動を通じて
51 ホームページのリニューアル 52 大平森林公園での犬の譲渡会を終えて
53  犬と猫の譲渡会 54 子猫を拾ってしまった
55  今年のフェスティバルは盛り沢山 56 進化していくNDNフェスティバル
57  譲渡会を終えて思う事(犬班) 58 「わんにゃんカーニバルIN朱鷺メッセ」を視察して
59 子猫を拾って  60 カレンダー送付係を担当して
61 猫の譲渡会での出会い 62 高齢猫「ぽっつ」
63 新潟動物ネットワーク(NDN)のスタッフとして 64 犬好きおばさんの話
65 気になる季節になりました 66 ゴールデンルール
67 新潟市で猫の不妊手術の助成金制度 68 今年もNDNフェスティバル2009開催!!
69 犬たちの暑い夏 70 「猫にピアス」
71 えほんのよみきかせ 72 犬の譲渡にまつわる思い
73 新年の始まりの交流 74 ホメオパシー勉強会
75 トラちゃんとミケちゃん 76 黄色いエンヤコラ
77 にょろ松イリュージョン 78 切なる夢
79 NDNフェスティバル2010 80 NDNフェスティバル2010
81 小さな命 82 赤い首輪
83 見果てぬ猫の楽園 84 継続は力なり
85 ペットショップに行く前に
        …ぜひ犬猫譲渡会へ!
86 雪の日に保健所を訪ねて
87 全ての尊い命 88 大震災に思うこと
89 恒例!
  NDNフェスティバル 2011のお知らせ
90 猫算(ねこざん)恐るべし!!
91 インターネットと現実
~ボランティアに保護されている犬猫は福島県だけで1300匹以上いる~
92 『同伴避難』~
~家族だからずっと一緒~~児玉小枝著~~出版に寄せて
93 「たくさんの想い」 94 新潟県動物保護管理センターにおける保護動物の譲渡活動について
95 NDNの活動を振り返って 96 新潟県のみなさまのお蔭で。
97 子供達と考えるペットの命〜 学校訪問活動 98 今年も猫の季節が近づいてきました
99 NDNのボランティアとして参加してみて 100 6月24日開催
 ★NDNフェスティバル2012「震災を考える」(1)
 〜新潟県初
  「太田康介氏・のこされた動物たち写真展」開催〜
101 6月24日開催
★NDNフェスティバル2012「震災を考える」(2)
〜新潟県は「ペット同伴避難訓練発祥の地」です〜
102 NDNフェスティバル「震災を考える」を終えて

新潟県動物ネットワークさんから、切実なメッセージを戴きました。
   もう一度ペットとはを考えてみませんか・・・・
新潟動物ネットワーク 090-2844-4881  メールndn2@ndn2001.com
  http://ndn2001.com
※里親になってくださる方はこちらから(H23.1 リンク変更)
  http://ndn2001.com/owner/index.htm
表 紙 | WEB情報 | サイトマップ | バックナンバー | 検索・リンク 
発行:デジタルショップ村上
新潟県村上市・岩船郡7市町村 月刊デジタル情報誌 2001年1月1日創刊 ムラカミ21ドットコム
(c)2001~murakami21.com All rights reserved
Produce by Takao Yasuzawa