吉川真嗣・美貴の二人旅 No.7
京都の祇園祭りと
屏風祭り 1
京都市
旧暦の七夕祭りも過ぎた頃より、朝夕に涼やかな風の吹き過ぎる、今日この頃となりました。早くも9月に入り、今月の10日から30日まで、村上の旧町人町一帯において「町屋の屏風まつり」が開催されます。(ご存じの方も多いと思いますが)、京都では祇園祭りの際に屏風まつりが同時開催されており、村上の屏風に参考になることもあるかと、偵察見物に行って参りました。10日からの催しの前奏曲として、今月は祇園祭りを「小さな旅」とさせて頂きます。
うだるような盆地独特の猛暑の中、早朝から下京区・中京区の山鉾が巡行する一帯を、地図を片手に歩き回る。山鉾があちこちに空高く、まさに年に一度の晴姿で格調高く、組まれている。町屋の2階部分の格子をはずして山鉾の2階部分とハシをかけて渡れるようにしてあるものもあり、山鉾の中が見学できる。巡行の経路やその周辺一帯には、露天がずらりと並び、今も昔も変わらぬどこか懐かしい風景だ。
露天が切れる所々の町屋も、やはりお祭り。入り口には家紋の入った垂れ幕に大きなひも房がかけられ、玄関をはさんで左右に提灯が飾られている所もある。「京都人に夏に用事は頼むな。」という格言をふと思い起こさせられたが、お祭りの準備に気もそぞろで他の用事になど、かまってられぬ、という意味だそうである。
なるほど、新年を迎える1年の始まりとも違った、町全体が粋に装う、気の入った時節であることが窺える。
いつもは格子で外界と遮断された町屋の数軒は、この時期格子を取り外し、その家に伝わる屏風を飾り、道行く人々に披露している。屏風だけでなく、家々により、その前にお生花を飾ったり、鎧兜だったり、お琴だったり様々であるが、余計な物は一切引っ込め、シンプルにすっきりと空間を演出しているのが印象的である。ほんの少しお宝を飾り、ごてごて見せないあたりに、京都人の美意識の高さが光る。
要予約という所も多いが、外からだけでなく中まで入れてもらえる所も7、8軒あり、杉本家・紫織庵・無名舎等、見学させてもらう。さすがに中は立派な古い日本建築であり、洋間を取り込んだモダンな造りのものもあり、建築そのものが十二分に楽しめる。屏風も実に様々の画風のものが展示されており、一日見ていても飽きない楽しさである。それに加え、京都の町屋でこの度、静かな感動に浸ったのが、屏風もさることながら坪庭の美しさであった。軒を連ねる建築の構造上、通風と採光の為に坪庭を組み入れる。左右を坪庭に挟まれた一間に座り、ご主人が片方の坪庭に水を打つと、上昇気流が起こって空気が動き、片方からもう片方にすうっと風が流れるのが分かる。風鈴と風にのってくる太鼓や笛の音以外極めて静かな空間の中にあって、少しでも暑さを和らげる為にと自然光のみの薄暗い中、くっきりと陽に照らし出された苔むす石と竹やシュロの木が美しく映える。室内の薄暗さと相まって、幽玄の美の世界である。
祇園祭りを背景にした、町屋の空間と屏風、町中の賑わい、すべてが圧巻であった。
所変わって、村上の屏風まつりですが、京都の格調高さにはかなわなくも、生活の香が漂う佇まいが残る町屋にすべて無料でお入り頂け(京都は入場は有料です)、しかも三週間もの長期にわたって、六〇軒以上が参加するという数の面においても、決してひけはとらぬと確信して帰って参りました。しかも私が京都でちょっぴり、物足りなさを感じた、そこに住まう人とのふれあいという面では、村上の屏風まつりは一押しです。
地元の方も村上再発見の絶好の機会です。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
つづく
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祇園まつりの京都の町屋 |
おすすめ食事処
会津名産
本ぼうだら煮
にしん山椒漬
福島県会津若松市相生町
Tel 0242-22-2274 |
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美しい京都の坪庭 |
祇園祭りは別名屏風祭りと言われている |
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