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 お店紹介  村上町屋商人会 NO.1
                  
                   きっかわ
                              新潟県村上市大町1-20     
                                 Tel 0254-53-2213

みなさまへ
 平成13年の今冬は本当によく雪が降りました。軒先には太くて長いつららがつり下がり、光が当たると実に美しい輝きを見せてくれ、北国の長くて辛い冬にもこんな身近でふとした所に天地自然の祝福が満ち満ちてていることを、実感させてくれました。
 雪帽子をかぶったきっかわのお店は雪の白に包まれ、清められ、春支度までのしばしの時を静寂のうちに過ごしました。今月3月は「町屋の人形さま巡り」。雪に囲まれた1月2月は、全国から大勢のお客様を迎えるための再生のひとときだったと言えるかも知れません。


設計の工夫
 たまたま前を通りかかって「何屋さんだろう?」と不思議に感じられて恐る恐る戸障子を開ける方が多いのが、きっかわのお店の特徴です。これは外観設計時の思い入れにまさに応えてもらった例で、きっかわのお店は非常に人の好奇心をくすぐる造りにしてあります。戸障子の江戸文字や大きなのれん、張り出したゲヤや漆喰の白壁、風雪に耐えた障子や古い瓦が人々の心奥深くに眠る、遠い日々の原風景を呼び覚まします。店内には江戸時代の座売りが姿を現し、帳場格子に「やろう畳」、竹ざるに盛られた品々が所狭しと並べられ、昭和初期の筆書きの帳簿に興味深気に見入る人もいます。現在の私たちの日常から消え去った、先祖のライフスタイルに思いを馳せる瞬間をお持ち頂けたら・・・私たち(きっかわ)もしあわせです。
また店内ではお買い物だけでなく、ゆっくり村上でのひとときを憩って頂くために、休憩スペースも設けております。臼にガラスをのせてテーブル仕様にしたものや、昔のこたつに小さな畳をのせて椅子仕様にしたもの、と言ってもピンとこられない方も大勢いらっしゃることでしょう。そんな方はぜひきっかわにお越しください。電気の配線が昔なつかしいガイシだったり、天井に丸い穴があいてそこからこたつのお尻が見えていたり、むかしの米倉だった奥の部分は壁にねずみがかじった跡が残っていたりと、建物自体にかつての日常の年輪が感じられ、自由自在に過去と未来にタイムスリップしながら、想像の空間で遊べます。
 大きなどっしりとした箱階段と、実際に漁で使われていた8メートルに及ぶ川船が皆様を共にお迎えし、ほんのひととき、懐かしくて温かい木のぬくもりに満ちた、異空間を提供させて頂いております。きっかわでいっぷくなさりながら、ほんのしばし自分の中の心の声に、耳を傾けてみて下さい。季節季節のお花を飾って、今日も番茶をご用意してあなた様のお越しをお待ち致しております。


資材調達の苦労話
 骨組みはもともとあった、110数年前のものを活かし、外観については2年前に写真のような昔ながらの町屋スタイルのお店に改装しました。格子や障子戸、瓦の一部や梁(はり)は、古い家屋を壊すという情報を聞きつけては、そこに訪ねて行き、活かせる材料を頂けるようお願いして集めてきたものです。貴重な材料を頂くことを思えば、苦労話という程のものではありませんが、遠くは喜多方(福島県)あたりまで何度も足を運んだことが思い出されます。意外と古材ががまたこんなふうに新しく蘇るということをご存じ無い方も多く、価値の無いガラクタと思われている人も多いのが現状です。古材を再び活かされることは完全リサイクル型社会促進の貴重な一例であります。

お客様の反応
 きっかわのお客様の一番の特徴はお店での滞在時間が長いことです。
ゆっくりお買い物されたり、また社員が村上の鮭の歴史や製造の工程を説明したり、郷土話をしたりする、ということもありますが、年配の方は古き懐かしいものとの再会という印象をもたれるようで、若い方は逆に古くて新しいという感じを受けられるようです。いずれにしてもやはり本物の古材と骨組みを活かしたことによる効果であり、新建材ではなかなか出せない味であることは確かなようです。昔のかたちに改装してから、お客様がのれんの前や店内の箱階段の前などで記念撮影をして行かれるようになりました。


主な商品
 鮭の酒びたし(33g1000円)・塩引き鮭(1切れ1000円、1本ものもあります)・鮭のどんがら煮(1袋150g入り800円)・鮭の焼漬(3切れ入り650円)・鮭の昆布巻き(2本入り850円)・いくらの醤油漬け等多種品揃えあります。


21世紀への希望
 毎年春と秋に新潟市内の中学生の歴史巡見の課授業の受け入れを、きっかわでは行っております。村上を代表する、鮭の文化をより広く知ってもらい理解を深めてもらうと共に、都会の生活で見られない、昔の面影を残すたたずまいの中で、実際の町屋を見てもらい、その中に隠された先人たちの知恵や工夫をお伝えすることも、大きな役割のひとつです。次世代の子どもたちの五感に、どう響いているのでしょうか。忘れてはならない、伝えてゆくべき日本人のこころを鮭文化や町屋をとおしてこれからも語り続けてゆきたいとおもっていおります。

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