吉川真嗣・美貴の二人旅  No.11

 小京都・村田町・
    蔵の町ひなめぐり 


             宮城県柴田郡村田町



 1・2・3月は一年の中でも特に早く過ぎる、という意味の諺があるが、気付けば早、2月である。
   この時期になると、外は吹雪きでも、少しずつ春支度に心そぞろになるのは、私だけであろうか。「春支度?」とけげんに思われる向きもあろうと思うが、その代表的なのは、何を隠そう、お雛さま巡りの心密かな遊びの計画である。
  全国たくさんのお雛さま行事がある中で、今回は「小京都・村田町・蔵の町ひなめぐり」と銘打って、町おこしにも熱心な、宮城県は柴田郡の村田町をほんの少しご紹介したい。

  古くから山形と仙台を結ぶ城下町として栄えてきた村田町は、一口に言うと、豪壮な土蔵群と立派な門構えが印象的な重厚感のある町である。代表的な蔵の一つ、やましょう記念館周辺一帯に特に往時をしのばせる風情が残っている。
   特に観光客の一人として私が目を見張ったのは、蔵の内部の梁の並々ならぬ太さであった。普段は外からしか眺められない所が多いが、私たちが訪れた昨年10月19日は特別企画の大陶器市の開催中で、各蔵を公開、陶器の窯元を40軒以上も招いてのイベントであったため、大半の蔵の中まで見学できた。


陶器市

  蔵づくりの中で商品を並べる昔ながらの手法は、今や全国津々浦々まで見られる光景だが、この時の村田は、力強い梁に支えられた構造に、各窯元の焼きの個性が調和し、人を見に来たかと見まがう程の賑わいとあいまって、非常に見ごたえがあった。
  もう一点、村田ならではと印象的だったのが、前述の門構えである。古く代々住まわれている家はどことも、家老屋敷の門にひけをとらないような立派さで、門灯の上を飾る彫りの見事さは、昔の人の贅沢なこだわりを感じる。家の門をくぐれば細長く奥まで続く純和風の庭園が片側に続き、もう半分が家屋という造りで、お庭、家屋も門に負けない豪勢な調和を見せている。その昔紅花で栄えた面影を見ることができる。
  歴史のある城下町のこと、見所・伝説には事欠ない、奥の深い町ではあるが、足早に見所だけを見て回るのでなく、そこに実際に住んでいる人がいる、古いたたずまいというのは、何とも味のあるもので、ひとときその空気に溶け込みたいものである。
  来月3月には、お雛さまが、ここ村田のあちこちで公開されるそう。1年に一度の、雛の待つ蔵へお出かけあれ。



  
 
    


文・写真
      吉川 真嗣・美貴

   

村田町の蔵と門



おすすめ食事処
会津名産
 本ぼうだら煮
 にしん山椒漬

 
福島県会津若松市相生町
 Tel 0242-22-2274



彫りの見事な門



村田町の町並み


蔵が陶器市の会場に




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