2016年9月号 | ||||||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.183 |
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夏が来れば思い出す |
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夏が来れば思い出すのは、はるかな尾瀬でもなければ、遠い空でもない。夏休みに遊んだ三面川の石亀であり、お城山の洞穴探検、瀬波温泉や岩ヶ崎の海水浴や魚釣りだ。山紫水明の地「村上」は、子どもたちにとって、(大人にとっても)まさしく夏の楽園と呼ぶにふさわしい。 そして、この大自然がもたらす新鮮な山海の幸も絶品。清らかな水で育まれる米や地酒も最高クラスであることは、言わずもがなである。さらに伝統の祭りや行事など城下町としての歴史が人々の暮らしに溶け込み、情緒あふれる風情を醸し出している。 帰郷して早10年、歳を重ねるにつけ、この恵まれた大自然や歴史、伝統に郷愁を強く覚えるのは筆者だけではないはずだ。まして生まれ育った村上を離れて暮らす人にとってはなおさらだろう。 今、村上でも少子化の波が押し寄せ、歯止めがかからない状況が続いている。二分化したとはいえ、50年前に約2000人いた村上小学校の全校生徒数は現在、約300人。大先輩に聞くと「あの広かった第一講堂で全体朝礼を行うと、入りきれない児童が外に溢れ、ステージで訓辞を述べる校長先生の顔がかすんで見えた」というのはまんざら冗談でもなさそうだ。 全校生徒が村小のグラウンドに集まって行ったラジオ体操や櫓を囲んで二重にも三重にも輪になっておどった盆踊り大会は圧巻。何千の市民が繰り出す夏の風物詩になっていたことを思いだす。 将来を担う子どもたちが、半世紀でここまで減少するとはだれもが思ってもみなかったはずだ。今、村上大祭のおしゃぎりで鉦や太鼓を奏でる乗り子を確保するのも困難になってきているという。小学校に参加者を呼びかけたり、区内出身者のつてを頼りに、祭りの役員らは奔走している。 今年度、村上大祭は、国の重要無形民俗文化財に指定される見通しだ。地域文化財の価値を高め、継承していくことは、郷里への愛着と誇りを醸成するとともに、世代を超えた多くの人々の交流を促し、地域活性化にも重要な役割を果たすものだと確信している。 人の交流が盛んになり定住人口が増加。少子化に歯止めがかかり、福祉、子育て、観光、産業にも光がさし、ひいては村上全体が生き生きした町に生まれ変わることを願ってやまない。 |
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