2015年7月号 | |||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.169 |
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私の好きな城下町村上へのタイムスリップ |
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わー、まだ こんなけ荒物屋さんあったー! こんなりっぱになってしもてわからねかった。 よう買いにいったパンダやきの店、もは、ねえろねえ。 わあわ、うそだろ、カトレア(喫茶店)がまだあるてば。 この農道、よう走った、こうえかったなあ。 普段使うこともなくなった村上弁が口をついて出たひとりごと。 3年前の夏の日、ひさしぶりに帰省した私は、かねてから思い描いていた村上市の懐かしい場所をめぐる旅、センチメンタルジャーニーを決行しました。 あえて車ではなく懐かしい通学路や袋小路をくまなく巡ってみたいと思っていたので自転車を一台購入し、意気揚々と真夏の市街地に繰り出したのです。 下片町で生まれ、高校一年で緑町に引っ越した私の自転車で回れる範囲の懐かしスポットは、遊び場所だった山辺里橋のたもとから土手づたいに瀬波、お滝様、岩ヶ崎のあたりまで幅広く、感動するごとに、自転車を止めて、河原に降りたり、境内に入ったり公園のブランコに乗ってみたりしているものですから存外に時間がかかります。 母校の村上小学校を真ん中として半日ずつ二日がかりで満喫しました。 片町から集団登校やラジオ体操で集まった庚申堂、(おこしんさまと呼んでいました) 見つからなかった市営グラウンド(シーグランドだと思いこんでいました) 暗くなるまで遊んだ石原の児童公園(なぜか遊園地!と呼んでいました) 杉原から掘方にかけての通学路(小さいころは果てしなく長かった道があっという間) 中学校から瀬波鉄橋にかけてのランニングロード(友人たちとの会話まで蘇ってきます) 従姉や友人と登ったお城山(登山道がきれいになってびっくり) 都会と違って自転車人口が少ない中、真夏の昼下がりに観光スポットでもない場所で、ままちゃりを止めてタイムスリップしている姿はかなり怪しかったかもしれませんが、住んでいたころは、何とも思わなかったひとつひとつの場所がたまらなく愛おしく感じられるのです。 幼少期から22歳まで過ごした町並みは変わりつつも、住む人も山も木も海も自分を待っていてくれる温かいふるさとなのだと感じずにはいられません。 若いころは、趣のある街並み、金色の田園、美しい山河さえもありふれたものに思え、まだ見ぬ都会に行きたくてたまりませんでしたが、今は不思議なことに生まれ故郷村上への愛情は年々強まってきました。 上京して気がつけば、もはや村上にいるときよりも首都圏での生活が長くなってしまいましたが、ふるさとへの思いは日々の暮らしのうるおいやエンジンになっています。 現在は仕事で各地を訪れる機会も多いのですが土地の自然や人々の温かさや方言に触れるたび、同時に村上を想い出しています。 嬉しいことに村上市を知っている方や訪ねたことがあるという方が増えてきた実感があります。 これからも、離れてこそ知る村上の本当の良さを身近な人たちに伝え、様々なかたちで少しでもふるさとに恩返ししていきたいと思っています。 |
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