2015年10月号 | |||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.172 |
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村上の御菓子 |
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今年の夏は冷夏の予報が連日、全国的に猛暑が続いた暑い日に、郷友会と村高同窓会で御世話になっている方より、村上の事か、何かを書いて下さいとの事。私は代々の御菓子屋に生れ、育ったものですから、御菓子の事しか書けませんがペンを取りました。 私の生家は二百数十年前の江戸時代、山形の酒田より来まして、以来酒田やとして、和菓子の製造販売を連綿として続けて来ました。 村上は中世より城下町でしたが、江戸時代に入ると、御殿様の参勤交代が京、大阪、特に江戸の文化を運んで来て色々な事にそれが色濃く残っていますし、影響が見られます。 御菓子も同様で先日も学校の生徒さんより村上で永く続いている御菓子はと聞れ、米と砂糖のらくがん、村上茶を使った最中、羊羹、山ぶどう使用のぶどう羹等々が有ります。無くなってしまったものもあります。「おこし」です。これは東京浅草の雷おこしの影響が大きく明治、大正のころ村上祭りによく作ったとの事です。 御盆に旧村上町の人々が家庭で作ってるミソ付け団子があります。これは京都若宮神社前で売られている、甘ミソ付あぶり餅がルーツと思われます。今年の御盆も食べる事になりますし、精霊流しに付きものです。 弊店では六月に入ると八月末まで、夏の生菓子として、笹麸万頭を製造販売してまして、好評を頂いています。 麩万頭を初めて製造したのは、京都西洞院堪木町に店をかまえる「麩嘉」という麩屋さんで、代々禁裏(皇室)の御用を務める所で、先々代さんが御所へお出入りしていて、何か変った麩をと言うことで、こし餡を包んだ万頭麩を思いつかれたとの事です。 私が初めて、麩万頭に出会ったのは三十才頃、東京でのことで、学生時代の友人に料理屋さんに連れて行かれた時で、夏のデザートに出されたもので、それまでは話には聞いていましたが食べるのは初めてでした。その時以来、弊店でも夏の生菓子として、村上の人々に紹介したいものと、試作をくりかえして何とか作りました。何しろ、麩屋さんのもので、菓子屋諸先輩、そして菓子仲間で製造を知っている人は無かったわけです。それでも村上には岩船麩が有りますので、麩の事を聞いた所、生麩は小麦粉に塩を少々入れ、水で練りにねって、水で洗うとグルテン(麩質)が残る。今は粉末グルテンが有ると言うので、材料問屋さんの協力もありまして、何とか作れる様になりました。ただ、形ばかりでは似非「エセ」になるので、より本物にと努力をして、現在の笹麩万頭になったわけです。 弊店の麩万頭は青のり(川のり)を入れた養老麩で自家製焼塩入りのこし餡を包み、ゆがいて、冷水で洗ったものです。 夏の生菓子の逸品と思います。 御賞味頂けたら幸いです。 酒田屋HP http://sakataya-yajiemonn.com/ |
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