「人生は出会い」と言いますが、まさにその通りだと思います。
村上の皆様との出会いは私の人生にとって大きな宝物となりました。
　私と東京村上市郷友会との出会いは、山辺里ご出身の奥村初穂先生からのお声がけでした。
　奥村先生は多くの門下生を抱える小唄の師匠、２００８年春に四ッ谷で開催された郷友会の定期総会で小唄に箏を入れさせて頂いたことで、多くの村上出身の方と出会うことができました。私の父は新潟県出雲崎の出身で、母も幼い頃から新潟育ち、私自身は東京生まれではありますが、新潟の情景と香りは子供の頃から身体に染み付いていましたから、郷友会との出会いはどこか故郷に帰って来た感覚でした。何より、郷友会の方々が優しく東京出身の私を受け入れて下さったことが嬉しく、これを機に「鮎を食べる会」「鮭を食べる会」には毎回出席、いつの間にかこの２大イベントは私の大切な年中行事になっていました。そして同時に「いつか村上を訪れたい！」との想いが膨らんでいったのでした。
　そんな私の熱い想いより先に村上を訪問したのは私の長男でした。当時東工大の大学院で建築学を学んでいた彼は「町家作り」の建築に興味を持ち、修士論文執筆の参考にと村上調査旅行を決意したようです。現地の観光協会からの地元の建築家をご紹介頂き、建築のことのみならず町家再生プロジェクトから村上の歴史まで事細かくご説明頂いたとのことで、村上の持つ数々の素晴らしい魅力に触れることができたと感激していました。ご丁寧に対応して下さった地元の皆様に感謝致します。
　息子に先を越されてしまった私ですが、私にも村上訪問の機会が訪れたのは昨年の秋。
　「参加者４千人突破記念、第４４回歌声・村上」の記念特別ゲストとして箏コンサートを開いて頂けることになったのです。このような形で村上訪問の夢が叶うなんて信じられない思いでした。コンサート開催日は２０１４年１０月１２日（日）、会場は村上市教育情報センター。心強い賛助出演は、村上出身のピアノ奏者安冨成良先生、そして声楽愛好家の田所和子さんと決まりました。
　胸をときめかせながらの曲決め、編曲等の準備開始、３人での練習も数回行い、いよいよコンサート前日の朝、郷友会会員の平原三男さんの車で、田所さんと共に東京を発ち、一路村上へと出発。５時間後には憧れの村上に到着！
　今回更に幸運だったのは「宵の竹灯籠まつり」の開催日と重なったことです。想像通りの幻想的な幽玄の世界、勇壮な潮太鼓の演奏から始まり、村上在住の方による手作りのイベントはどれも心暖まるものでした。
「村上、すごい！」と改めて感じた瞬間でもありました。
　そして、いよいよコンサート本番当日、今でもはっきりと思い出せるのは、会場の皆様の暖かな空気感。トークの最初に出た言葉は「あ〜、やっぱり村上って素敵！」素直に出た言葉でした。
安冨先生の素晴らしいピアノが加わり、田所さんの美しい歌声が華を添えて下さり、無事にコンサートが終了。幸せなひと時でした。
　沢山の方にお世話になり実現した憧れの村上でのコンサート、感謝の思いは言葉になりません。
　翌日、三面川を滑る秋の風と、遠くにそびえる臥牛山の美しい風景を背に一路東京に向かいました。
「きっとまた訪れます！」と心にささやきながら。