2013年12月号 | ||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.150 |
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ふるさとは もの・ひと・こと |
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「うまい~!!」 村上の塩引きを焼いて口に入れると、独特の香りと甘しょっぱいしかも油ののった味が広がる。小さい頃、父親は仕事の関係で、秋になると鮭を5,6本もらってきた。母親は決まったように鍋(切り身はもちろん、はらこや背骨の血合も入っている)や塩引きを作る。粗塩をうろこの間に擦り込み、桶に1週間位入れておき、その後洗って尻尾を荒縄で縛ってつるして干す。何日かすると、鮭の鼻の先からにじみ出てきた油がたれる。毎年食べていたので、塩引きが体に染みついているようなものだ。両親が仙台に引っ越してからも、何年か塩引きをいただいていた。今は、村上から買って食べている。「やっぱりうま~い!」 村上小、中、高と通った。中学校時代、夏休みに海でキャンプをするのが楽しみだった。笹川流れに行った。その頃テントなどなかったので、学校の運動会などで使うテントを借りたくて、先生方を3人誘ったら、4人参加してくださった。汽車を降りて笹川流れまで、荷物を持って隧道をいくつかくぐらなくてはならない。ひと一人が通れるくらいの大きさだった。(今でも1部残っている)テントを張って、海に潜って魚を捕ったり、サザエをとったり、飯盒でご飯を炊いてみんなで食べた。夜は流木を集めてキャンプファイヤー。先生方もワイワイ一緒に楽しんでくれた。テントで横になっていると、砂浜の波の音と波打ち際の花崗岩の砂のこすれる音が何とも心地よかった。高校に入っても何回かキャンプに出かけた。その頃の友達とは、今でも毎年集まっておしゃべりを楽しんでいる。笹川流れは、今では車で行けるが、砂浜も海もあの頃のきれいさはない。 今年の村上大祭を楽しむ会に、企画力の優れた同級生が声をかけてくれた。もちろん参加。村上駅に5台集まるというので駅前で待っていた。次々と集まって来た。あの笛、鉦の音、太鼓の音、そしておしゃぎり、みな昔のままだった。50年以上ぶりで、感動し涙があふれた。小学生の頃、本祭りの日は出席をとってあとは放課(これが大事)。露天を巡って歩き、ハッカパイプを買って首からぶら下げて、スースー吸いながらおしゃぎりを見ていた。後祭りの日は普段通りの授業。「あ~ぁ。がっかりだなあ」徒然草の吉田兼好の気持ちと一緒。祭りのある村上で育ってよかったと思う。祭りはふるさと意識を育んでくれる。 仙台の小学校の教員になった。授業中、村上弁が出ることが多々あり、子供たちに首をかしげられることがあった。今ではすっかり仙台弁になったが、村上に行くと、すーっと扉が開くように村上弁が出る。日本語の中のバイリンガルか。 ふるさとは、私にとって幼少から多感な時代に、知らず知らずに身についてしみ込んだ。村上の生活の長さより現在のほうがはるかに長く生活しているが、「あなたのふるさとは?」と、聞かれると間違いなく「村上!!」と答える。今年、古希を迎えた。更にふるさとのよさを再認識して、また村上へ行って思いっきり村上の、もの・ひと・ことを満喫してきたい。 おまけ。企画力の優れた同級生から、生岩ノリで巻いたおにぎりがうまいと言われ、食べてみた。磯の香りとシャキシャキ感が何とも言えず本当にうまい。村上駅前の「味作」。1個680円。市内に扱っている店が他にもあるとのこと。 |
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