村上広域情報誌2001 リレー随筆「鮭っ子物語」

2012年3月号

　　リレー随筆 「鮭っ子物語」　 No．129

「安全・安心都市、村上に来てくれっしゃー」

瀬下　江二
　（せした　こうじ）

村上小学校　昭和３８年卒業
村上中学校　昭和４１年卒業
村上高校　昭和４４年卒業
三鷹市土地開発公社勤務

退職記念旅行（筆者）

昨年より加入した還暦野球

　３月１１日が近付いてきました。あの未曾有の東日本大震災から１年が経とうとしています。地震による大津波により亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、仮設住宅で不便な生活を余儀なくされている方たちに心からお見舞い申し上げます。東京電力福島第一原子力発電所の事故により故郷を出ざるを得なかった人達の胸中は如何ばかりか、察するに余りあります。月並みではありますが、一日も早い復興と帰郷ができますよう強く祈らずにはいられません。今や我々の生活に無くてはならない電力について、もう一度原点に立ち返って考える必要があるように思います。
　私が１８歳まで生活した村上で経験した災害といいますと、中学２年の時に起こった新潟地震と、高校２年時の羽越豪雨が鮮明に記憶に残っています。
　新潟地震は、昭和３９年６月１６日の午後１時ちょっと過ぎに起きました。新潟国体が終わってほっとした何日か後に、地震が襲ってきたのです。そのとき、私は体育館に向かって歩いていたのですが、２階の窓がガタガタいうので掃除でもしているのかと思った瞬間、もの凄い横揺れが起き慌てて外に飛び出しました。とても立っていられないくらいの揺れで、近くを流れている農業用水がパシャパシャと音を立ててぶつかり合い、２～３メートルの高さまで上がっていました。隣にあった村上小学校の校舎全体が、まるでおもちゃみたいにミシミシ音を立てて横に揺れており、揺れが収まった後も反動でしばらく揺れていました。岩船などでは、漁船が津波により打ち上げられるなど、被害が出たと聞きました。新潟では、昭和石油の施設が何日間かにわたって燃え、お城山から見ると、空が一面、黒い煙で覆われたものでした。
　羽越豪雨は、昭和４２年８月２８日でした。早朝から凄い雨が降り、各地に大きな被害を及ぼしました。近隣では荒川が氾濫し、かなりの方が亡くなる大きな災害となりました。三面川などでは田んぼが水を被りましたが、亡くなった方は確かいなかったと思います。学校が１週間くらい臨時休校となりましたので、同級生４人で関川村から通学していた４人のクラスメートの安否を確認するためと、救援物資を持って自転車で出かけました。桃川峠を越え女川を通り、荒川に架かる橋の手前にあった小学校に自転車を置き、歩いて回りました。湯沢では、基礎部分しか残っていない家が何軒かありました。高瀬から下関、下川口の家を回りましたが、同級生のうち１軒は流されてしまい、他は床上・床下浸水という状況でした。１人の家は、高台にある集落で無傷だったため、そこで泊めてもらい翌日帰りました。
　このような地震や豪雨においても、村上は被災する程度が比較的少なく、安全・安心の都市であると言うことが出来るのではないでしょうか。東日本大震災では、古代から現代まで何回も大津波に襲われたということが地層や文献から明らかになっています。しかし、私の知識不足かもしれませんが、村上が過去に三面川が度々氾濫をしたということはあるにしても、大勢の方が亡くなるような大氾濫を起こしたとは聞いておりません。もし災害に見舞われたにしても、地域のコミュニテイ（絆）が濃厚で、自助、共助が強固に出来ているし、公助の面でも市が地域防災計画をしっかり立てていると思われます。
　村上・瀬波・岩船の大祭、七夕祭り、むらかみ町屋再生プロジェクトの活動、町屋の人形めぐり、屏風まつり、宵の竹灯篭まつり、村上トライアスロンなど村上の売りはいっぱいありますが、緑と自然、伝統、歴史、文化、風俗習慣、塩引き鮭を始めとした食文化などとともに、安全・安心都市としての村上をもっと強力に発信してもよいのではないかと思うのです。そして、観光客を始め、企業にも、移住を考えている人達にも、大挙して村上に来てほしいと望んでいます。私も微力ながら、育ててもらった村上のことを出来る限り発信して行こうと心に決めております。

リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。　（編集部）

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服部　芳朗