2012年2月号 | ||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.128 |
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伝えること繋げることの大切さ |
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まずはじめに、昨年東北地方の未曾有の大震災で犠牲になられた方々に対し、お悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々に対し、一刻も早い復旧復興をお祈り申し上げます。 鮭は、生まれた川から大海に出ていろいろな楽しいこと苦しいこと、正に荒波を乗り越え成長し遡上して子孫を残し一生を終える。 人間も生まれ育った故郷から都会に出て錦を飾ろうと夢と希望を持って大海に出て、社会の荒波にもまれ成長し、結婚し子供を育て、家を建て、そして一生懸命働いて子育ても終わり、気が付いたら家には女房と二人っきり、そんな時、故郷を思い懐かしく感じ、そして、故郷に帰りたくなる。そんなことを想うのは私だけでしょうか、また、年齢(とし)のせいでしょうか。 私は、人間形成に大切な時期と言われている4歳・10歳・14歳を旧朝日村の塩野町で、高校卒業の18歳まで過ごしました。 今、何不自由なく生活できていられるのも、故郷で育てていただいたお陰と感謝しています。少年時代ですので遊びや食べ物の思い出が強く心に残っておりますので、そのことについて書きたいと思います。 私の育った時代は、遊びにお金は、ほとんど必要ありませんでした。5円・10円の小遣いをもらって足りていました。遊び道具は、買うものでほなく、自分で作るものでした。 神社で紙芝居を見たり、稲刈の終わった田んぼで野球をしたり、裏山で、サングラスをかけ風呂敷を背中に怪傑ハリマオを真似てチャンバラごっこをやったり、パッチ(メンコ)、釘打ち、かるた、トランプなど、多くの遊びがありました。また、近くの川で沢蟹(さわがに)、うなぎ、鮎、鰍(かじか)を獲ったり、いなご獲り等々遊びに事欠きませんでした。 食べ物といえば、ボン菓子(ドン菓子)、アイスキャンディー、家の裏の畑で桑の実、西瓜、イチゴ、まくわ(メロン)、梨、柿、葡萄(赤・白)を採ったり、土手に生えたスカスカを食べたり、自家製の納豆、味噌、カルメ焼き、水飴など子供心に美味しく食べた記憶があります。 現在も、ぜんまい、こしあぶら、わらび、たらの芽、うるい、胡桃、ふき、みず、かくま、こごみ、なめこ、椎茸等々を実家から送ってもらい、美味しくいただいております。 定年後は、暇ができたことから、故郷のことを想う時間が増え、帰省する回数も増えました。高速道路が近くまでできるなど、私の子供の頃とは、見違えるほど変わっていました。 ふるさとに少しでも協力できたらと思い、昨年は、ふるさと農園の畑を一年間契約させていただきました。また、故郷の関係する会には、なるべく係わりたいと思い、関東在住の故郷の先輩方が築いてくれた、村上市郷友会・村上市朝日ふるさと会など、様々な会にも積極的に参加させていただいております。 特に大震災の後は、「絆」ということが強く言われ、その通りだと思っております。何処に住んでいても、一生故郷との絆は、切れるものではないと思っております。一つ一つの集まりは、小さなものかもしれませんが、いざという時、国民が力を合わせたら大きな力となり、それは、故郷にも繋がることと思います。 蛇口をひねると水が出て、水洗トイレのレバーを引くと水が流れる。 電気のスイッチを入れると点灯し、ガスのスイッチを押すと点火する。また、自動ドアは、ドアの前に立っと自然に開くなど、我々は、戦後の復興を成し遂げてくれた、先人達のお陰で便利な生活をしております。 しかし、便利な反面、いざ災害が発生し、システム障害が発生すると全てが機能不全となってしまう。このことは、大震災で証明されました。 今だからこそ我々の年代の人間は、故郷に想いを寄せ、原点に返り「もったいない」の心を持ち、絆を大切にし、子や孫にいざという時の生きる知恵を伝え、繋げていく使命があるのではないでしょうか。震災は我々に何を教えてくれたか、あらためて生命(いのち)の大切さ、また、一個のおにぎりを二人で分け合って食べたとの報道に涙するとともに、食べ物はじめ、物の大切さ、そして絆、助け合いの精神を教えてくれたと思います。 災害は、忘れた頃にやってくる、明日はわが身、いつ何処で大きな災害が発生するかもしれません。 絆を強く、困っている人を助けてあげる、そんな気持を忘れず故郷と係わっていこうではありませんか。 |
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