2010年11月号 | ||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.113 |
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「ふるさとは市の南玄関口」 |
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僕のふるさとは胎内市と隣接する、3年連続水質日本一を誇る清流荒川が日本海に注ぐ平坦で肥沃な土地に広がる田園に恵まれた農業を中心の集落です。交通の便は悪く最寄りの駅(JR坂町)まで徒歩50分、交通の手段は徒歩か自転車でしたので子供心に不便と駅より遠いと感じていました。近年日本海東北道が開通し近くに荒川胎内インターチェンジが出来、国道7号、113号、345号が縦横に走る、交通の要所に時代と共に変わりました。 「自然」清流荒川に沿って吹く「荒川だし」と言われている局地風があります。この風は両岸を山で囲まれた川筋に沿って内陸から日本海に吹く強風です。旧荒川町(荒川)では東よりの強風(だしの風)の吹くことが多い、同様に阿賀野川には「安田おろし」言う局地風があります。祖父の話では「*だしの風」が吹くと体調を壊す人が多く、特に頭痛で農繁期でも区長の判断で連絡網にて集落一斉に農作業を休んだ「ふれ休み」が存在していました。現在この制度はありません。 「伝統芸能」伝統芸は正確に受けつぐことが大切と考えていますが、昨年13年ぶりお盆に帰省した時目に映った光景に唖然としました。夏の風物である盆踊りがダラダラと締りがなく力ない踊りでした。少子化時代、農業人口の減少、原因は色々とありますが集落特有の文化は確実に引き継ぎする役割を感じ、ふるさとの有志と相談し動き始めました。歌、笛、太鼓、囃子は現在有志より後継者を育成していますので成果をあげています。徳島の阿波踊りでは男踊り、女踊りの区別は見てはっきりしていますが、ふるさとの盆踊りも男・女踊りの区別はありますが、現在は男・女ともつかぬ踊りです。男子は力強く女子はしなやかさを表現し男女の区別を意識して踊れば盆踊りが締まり周囲で見ている人も自然に踊りの輪に入り踊る楽しみを持てる姿にしたいです。 「風景」田園の農道は舗装され野草は道の端に、子供の頃泥鰌鮒を掬った田園の用水路の小川はなく、現在は区画整理で用水、排水の2系統に分割され、用水は金属のパイプを各田圃に配管しバルブ開閉で水を入れ、排水は従来の用水路にコンクリートのU字溝を取付け排水します。この現状は僕も先日知ったばかりです。このこと一つからも自然の恵みや自然から学ぶ色々の知識を知ることが出来なくなったのは残念です。家の前に立ち隣の集落の松・杉に囲まれたお寺、民家が見えた懐かしい景観は集落と集落の中央に高速道路が開通し隣の集落は視界から消えた、ふるさとの景観も様変わりしました。何とも言えない心境です。 ふるさとは遠くにありて思うもの、という言葉があります。しかしめまぐるしく移り変る社会情勢の中で、とかく昔のことが忘れ去られようとしている今日、もう一度ふるさとを考え直すことも大切と思います。 *集落の言葉ではだしの風と話しています。 |
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