http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001 2005年6月号

   リレー随筆 「鮭っ子物語」  No.49

「加賀の国からの便り」

 私が住んでいるところは、石川県の南に位置しています。JR北陸線小松駅下車、車で20分、田舎の丘陵地帯に開発された“緑が丘”という名前の団地の一画に住居を構えて30年の月日が経ちました。
 遠くには2702メートルの白山が白銀に埋もれた姿を眺めることができます。周囲は自然に恵まれ、冬はスキー、春は山菜採り、秋はキノコ採りと野山を歩き、毎日、日曜日を楽しんできました。振り返れば郷里村上を離れてからは、名古屋、三島、石川と転勤し、この地辰口が私の人生の終焉の地となるようです。
 これまでは、郷里村上の歴史に全く無関心でしたが、辰口ふるさと研究会の方々から、城下町村上に研修旅行に行きたいので是非案内して欲しいとの依頼があり、なぜ村上なのかと質問したところ、村上初代藩主“村上頼勝”は小松から入城して村上の城下町としての基礎を築いたのだと伺い驚きました。
 それではとコースを企画、岩船神社−武家屋敷−オシャギリ会館−瀬波温泉宿泊と一行十四人を案内しました。ちょうど岩船は、船霊祭でお祭一色、周辺は神事にかかる人々と屋台車巡行を待つ人波でごった返していました。この船霊祭は千三百年の伝統があり、真っ赤な旗と船体の神明丸の船屋台を先頭に見事な白馬の白駒台、本当に伝統の重みを受け継いでいる光景を目の当たりにし、感動しました。北前船の風待ち港だった港には、大漁旗を掲げる漁船が、海面に浮かび祭りを盛り上げていました。
 イヨボヤ会館では村上藩の貴重な財源となった鮭を育てる事業を紹介したパネルを見学しました。昔父が育養所に勤めていたこともあり、子供の頃の三面川で目にした鮭漁を思い出す貴重な時間を過ごすことができました。
 村上の町を散策して、町屋を眺めたり、精巧な木彫り堆朱を見て、美味しい鮭料理を堪能し、一行のみなさんにはとても好評を頂いた旅行となりました。
 私もこれを機会に郷里の歴史等にも、目をむけ改めて、心の支柱にしたいと思います。

  げにや目出度き神代の昔
  蜻蛉州に宮始まりて
  縁起詳しく尋ねて聞けば
  言うも愚かや辱なくも
  天の水罔の御神とかや
  天の磐船波間に浮かべ
  藍の艫網 柱の舵に
  瑠璃の帆柱 瑠璃の艪櫂
  綾や錦の帆を捲き上げて
  これの渚へ漕ぎ寄せ給い
  四方の景色を御眺められ
  並びあらざるこれ一なりと
  ここに鎮まりしますとかや
  今に残りし一つの岩も
  世世に朽ちせぬ御船の形
  すぐに栄いし所の名をも
  動き揺るがぬ岩船町の
  四方のかまどの末広がりて
  四海波風治まる御世は
  枝を鳴らさぬ竹も年栄え



鷲田 守夫
(わしだ もりお)

勤務会社 東レKK







御獄山頂上にて筆者















岩船大祭(写真提供:オシャギリ会館)







岩船大祭(写真提供:オシャギリ会館)








岩船大祭(写真提供:オシャギリ会館)
リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。 (編集部)

「鮭っ子物語」バックナンバー

次回予告
富樫利男
(とがし としお)
昭和 年3月小学校卒業 


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