吉川真嗣・美貴の二人旅 No.22 小さな旅 〜栃木県栃木市〜 先日とある用事で3度目の栃木市に向かった。巴波(うづま)川沿いに突然現れる時代劇のセットさながらの景観は、今や栃木の歴史のシンボルとも言えるものである。川沿いにゆるやかにうねって先に伸び行く景色に、風にそよぐ柳の緑が風情を添える。塚田記念館を中心とするこの一帯は栃木の一番の見所ではあるが、「蔵の町 栃木」とうたうだけあって、気分にまかせて広範囲に散策すれば、それこそそこここに蔵、蔵、蔵である。 ところでこの度は栃木の知人と久しくゆったり話す機会があり、栃木独特の風習、食の習慣に新たで興味のひかれることがあったので、今月はそんなことを少しご紹介してみたい。 夕食に出された1品、その名は「しもつかれ」である。いつごろから作られるようになったのかは知る由もないが、何分鮭の頭と大根のおろし、にんじん、大豆、酒粕をクタクタになるまで何時間も煮込んでできるものだそうである。ほのかな酸味と甘味が程よく、一見してこれは身体に良さそうだと感じる。聞けばなるほど、このしもつかれを食べておけば二日酔いしないとか、更にはこの地方一帯では各家庭で作られるゆえ、7つ別々の橋を渡ったそれぞれの家でこのしもつかれをご馳走になると、その冬は風邪をひかないとかいろいろに言伝えがあるようである。伝統的には初午(はつうま)のお稲荷さんのおまつりの時に作られたものだそうな。均質化画一化がますます進む今日にあってなお、その地域独特の風習・文化が残っているのは貴重な財産である。 その他、栃木ではこのしもつかれ以外にも元旦の晩に枕の下に宝船などの絵を入れて眠る「はつえ」と呼ばれる習慣や「えびす講」の風習がいまだに残っているというから面白い。いやはや、3度目にして全く古くて新たな栃木を発見して感動しきりの私である。 ところでこの栃木、町作りでは村上の大先輩にあたる土地だが、昨年より村上の「町屋の人形さま巡り」に続けと、「お蔵のお人形さん巡り」を開催し出した。栃木ではその昔から秋にも虫干しの為にお雛様を出す習慣があったことから10月中旬から11月中旬にかけて開催されたが、当村上では今月から第4回目の「町屋の人形さま巡り」がスタートしている。 来月4月3日までの期間中、どうぞ皆様村上にお越し下さい。60軒の町屋あげてお待ち申し上げております。 |
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