村上広域情報誌2001 リレー随筆「鮭っ子物語」

　　　　リレー随筆 「鮭っ子物語」　 No．266（最終回）

令和7年12月発行

「鮭っ子物語」最終号に寄せて
～戦後80年と戦争花嫁さんたちのこと～

はじめに
　今から約25年前に月刊デジタル情報誌の「村上広域情報誌」として筆者と村上高校同期の安沢孝雄氏が発刊し、リレー随筆の「鮭っ子物語」も今号で266号となりました。これまでに「鮭っ子物語」に執筆してくださった多くの方に敬意と感謝を表します。
　発行人の安沢さんによると2026年からは「村上広域情報誌」の編集方針もガラリと変えて、それに伴い「鮭っ子物語」も今号を最終号としたいとのことです。過去8年くらい執筆者探しと執筆のご依頼をしてきた筆者自身も安沢さんと同じ意見を持っていたために、今号を最終号とすることにしました。そして最終号は筆者に書いて欲しいとのご依頼を受けましたので快諾いたしました。
　
　筆者にとってのこの一年
　今年は戦後80年。その事もあって戦争花嫁（＝戦後、進駐軍兵士と結婚して海を渡った40,000人から50,000人と言われる日本人女性。現在の平均年齢は90歳前後）の研究をライフワークとしている私にとっては戦後の「朝鮮戦争特需」のような形の「戦後80年、特需」とも言うべきことで、戦争花嫁関連の事で大変忙しい1年となりました。
　ここ数年、TBSから依頼を受けて戦争花嫁についての番組制作などで協力してきました。この１年を振り返ると、1月下旬にはTBSの「Team War Bride」として女優の奈緒さん、彼女のマネージャーとヘアーメイクの方、TBSプロデューサー、カメラマン、そして　筆者の6人が米国のシアトルとオハイオ州に1週間強、取材旅行をしました。奈緒さんはTVドラマなどでもご活躍の女優さんで、数社からのTVのコマーシャルにも出演なさっている方です。（お茶のCMは京都の秋をバックに撮影されています。「奈緒、伊右衛門、秋」の検索語で検索できます。
https://www.youtube.com/watch?v=NXw0wkhJIJU）
　取材旅行後は旅行中に撮影した映像の編集作業をプロデューサー、カメラマン、脚本家の方などと一緒にTBSで行いました。また、昨年から引き続き、オンラインで在米の4人の戦争花嫁さんやその関係者との打ち合わせを行いました。更に終戦記念日の8月15日前後までに、読売新聞、新潟日報（「日報抄」で後日紹介された）、そして月刊誌の『致知』（10月号）などからの取材を受けたり執筆したりしました。奈緒さんが主演でウエンツ瑛士さんなどが出演した舞台「WAR BRIDE ：アメリカと日本の架け橋桂子・ハーン」（東京での約１か月間の上演のほか神戸と福岡県久留米市でも上演）のプログラムに掲載するエッセイの執筆など大変忙しくも充実した毎日を送りました。
　奈緒さんは非常に気さくで素敵な女優さんで、取材旅行中に色々なお話をしました。神戸での公演後には、1月の取材旅行でお世話になった戦争花嫁さんご夫婦が来日した日程に合わせて、奈緒さんたちとそのご夫婦を囲んで一緒に会食をしました。奈緒さんの舞台公演の前に、TBSの夜のニュース番組で放送された映像がYou Tubeにアップされていますのでご紹介します。（「奈緒、News23、You Tube」の検索語で検索できます。
https://www.youtube.com/watch?v=nQVfVBj_51o ）
　8月24日（日）にはTBSの早朝の番組「TBSレビュー」にプロデューサーと二人で出演して10月5日深夜放送のTBSドキュメンタリー番組の「解放区」での「War Bride２：奈緒と4人の戦争花嫁」の放送のこと、奈緒さんの舞台のこと、私が戦争花嫁研究を始めたいきさつなどについてもお話をしました。なお、TBSのドキュメンタリー番組は今年1月に取材旅行をした映像をもとに制作された約50分の番組でした。ドキュメンタリー番組放送後は来年3月に予定されているTBS映画祭で今年10月に放送したテレビ番組版を約30分、尺を伸ばした80分の映画版として上映します。その為の映像を現在編集中で、映画「War Bride２：奈緒と4人の戦争花嫁」の見出しのキャッチ・コピーと作品紹介の文言についても意見交換を行っています。

おわりに
　リレー随筆「鮭っ子物語」の最終号の稿を閉じるにあたって、戦中・戦後の時代の荒波にもまれながらも必死に、そしてたくましく生き抜いてきた方たちのことをこれまでに「鮭っ子物語」の多くの執筆者の方たちが執筆してくださったことに感謝申し上げます。
　今年の10月号には村上高校同窓会関東支部の元会長であり、東京村上市郷友会の会長でもある佐藤勝さんが、戦後の混乱期に満州からのご自身を含めご一家で引き揚げてこられたことを執筆なさりました。戦後80年の今こそ、私たちが忘れてはならない歴史と平和の尊さを思い起こさせてくれる珠玉のエッセイでした。
　その佐藤勝さんが数日前の11月27日に逝去なさったという残念なお知らせを受けました。非常に温厚なお人柄で郷里・村上をこよなく愛した偉大な先輩でした。謹んでご冥福をお祈りします。合掌
　　　　　　　　　　　　　　

安富　成良
（やすとみ　しげよし）

1948年生まれ。
埼玉県狭山市在住。
嘉悦（かえつ）大学を2014年3月に定年退職後は①ライフワークの戦争花嫁研究、②狭山市での国際交流活動（とりわけ姉妹都市の米国オハイオ州Worthington市との交流と狭山市在住の外国人への支援活動）、そして③趣味の音楽を楽しむことを3本柱にして生活しています。
グローカル（グローバルであり且つローカル）な視点で物事を見る大切さを痛感しています。

8月24日に放送された「TBSレビュー」より司会者、TBSプロデューサートと筆者

「TBSレビュー」の番組で司会者からの質問に答える筆者

シアトルからの便のトランジットでアトランタ空港で昼食をとる奈緒さん達と筆者

戦争花嫁のSpuck Marikoさんたちのピアノ伴奏をする筆者

戦争花嫁のTsuchino Forresterご夫婦を囲んで

東京村上市郷友会ホームページ　リンク

リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。　（編集部）

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