2022年7月号 | ||||||||||||||||
リレー随筆 「鮭っ子物語」 No.225 |
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ふるさと村上軸での出会いのあれこれ |
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2008年、平成の大合併の一環で私のふるさと旧山北町は村上市になった。 村上の北の府屋である。山あり川あり海あり…山紫水明の地。 村上に三面川が流れるように府屋には大川の清流に鮭と鮎と人情を培ってきた。 嘗て山林から伐り出す木材も産業の一つだった。 私もふるさとを誇りに思い、愛し、心の糧に70有余年生きてきた。平成の大合併の頃から「故郷は村上。」と言えば事足りる。その一言で大抵の人は「ああ…あの鮭の有名な町ね!」村上という言葉へのノスタルジアは鮭ではじまる。 府屋と言ってもわからない。「羽越本線の日本海に面した新潟県と山形県の県境よ…」と言うのである。メディアに取りざたされることもない静かな町だったが3年前のコロナ禍に地震の被害を受けた。怪我人も出て全国に放映された。自治会長も同級生でたびたびテレビに顔をだした。故郷はブルーシートに覆われた。コロナ禍故、帰郷して見舞いも侭ならない。過疎地で生活し日常の不便さを厭わず守ってくれる人々がいるからこそ故郷と誇りをもって言えるのである。日々励まされ生かされている自分がいる。 ふるさと軸はありがたい…。 出会いの一つ目:2007年.娘が結婚した。婚家のご親戚に村上にご縁のある方がおられた。関西出身のご一家なのに奇遇である。旧姓服部さんという方である。旧村上藩の武家をご先祖に菩提寺は宝光寺。毎年お墓参りに村上を訪れている…という。私の帰郷の折りに連絡を頂きご先祖のお墓参りに来られた三姉弟と瀬波温泉で一泊。楽しいひと時をご一緒した。吉岡ご夫妻(奥様は旧服部さん)の主催されたタスマニアツアーに参加させていただいたりご親族の懇親会にもお誘い下さりありがたい交流が今も続いている。 出会いの二つ目:俳句結社あかざ主宰の飯村寿美子師に俳句に誘われた。60歳の時であった。時間と心の隙間を埋めるために断る理由もなく誘われるままに結社に所属した。月1回の句会は新鮮そのもの…。学ぶことが数多くある。句作は思うように行かないことの連続で未だに四苦八苦である。そんな中 俳人「池田澄子」氏を知ることとなる。なんと村上に関わる方だったのだ。鮭っこリレー随筆に寄稿していただきたい!と思いつつ温めつつ何年か過ぎた。やっと昨年12月村高同期の安富成良氏のお蔭で願いが叶った。池田先生にはお目にかかっていないが何度かメールを交換した。先生はお子さんが幼稚園卒園までわたしの最寄り駅沿線にお住まいだったというお話を伺い嬉しさも一入。心が温まった。 俳句結社の副主宰が一度村上にいってみたい…芭蕉翁の奥の細道を辿る旅を…と。 奥様同伴で村上を訪ねてくださった。 五月の緑さす時期がよいとお勧めしたのにあえて時雨れ来る10月下旬に訪問された。鮭にも会いたかったのかもしれない。鹿児島出身の副主宰は日本酒が大好きな方で〆張鶴も大洋盛も絶賛してくださったのである。これも嬉しいことであった。 出会いの三つ目:自宅から車で10分のところに都岡脳神経外科がある。この年になると一度は訪れる病院である。親しい友人が病院の理事をしていて院長交代の席上「先生のご出身は新潟だとお聴きしていますが村上高校ですか?」「えつ!村上高校ご存じですか?」「親しい友人の出身校です。」そんな会話がなされたと聴いてびっくりした。院長は村高35期の鈴木明氏である。秋田大学医学部脳神経外科と横浜都岡脳神経外科を行ったり来たりのお忙しい日常である。患者さんが溢れる中私も受診していただいている。 近くに頼れるお医者さんがいてくれることはありがたく心強い。ふるさと軸の賜物である。 東京・赤羽に一人暮らしをしている息子に「僕の故郷は此処だよ…かあさんが府屋を故郷と思っているのと同じだよ!」 私のこどもたちにとってのふるさとは横浜である。 開港記念日や横浜市歌(森鴎外作詞)を歌って育った。私と同じように揺るぎない誇れるふるさととして息子は横浜の素晴らしさを披露していると思う。 東京・中野に7年。横浜に49年。思えば故郷を後にして56年。人生の折り返し点を遠く過ぎた。 ふるさと軸での出会いはこれからも続いてほしい…と願っている。 |
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