http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001 2007年7月号

  リレー随筆 「鮭っ子物語」  No.73

お城山のシヤガに寄せて
本間 健志
(ほんま けんじ)
桑川小学校 昭和28年卒
平成16年6月東洋製織グループ関連会社 東洋石油梶i現、幸商事梶j常務取締役,大阪営業所長役職定年 
現在飯能にて新生活心待ち待遇






春のお城山







春のお城山





おしゃぎり伝説(東京駅)
平成16年5月22・23日




おしゃぎり伝説(東京駅)
平成16年5月22・23日
″城山は行けども行けどもシヤガの花
75歳で亡くなった母の俳句ですが、私にとっての故郷村上は母抜きには語れません。生まれ育った故郷村上を愛しながら、晩年は娘二人の住む新潟石山で過し、ときおり六斎市に出向いてはお城山に登ったりしていたようです。俳句、短歌を嗜み「文芸にいがた」に投句して入選すると、私のところへうれしそうに電話してきてその情景を説明してくれたものです。
そんな作品の中に村上の風景を題材にした作品が多くあり、又随筆などもあった事から母の没後作品を取りまとめて小冊子にして生前お世話になった方々に差し上げました。今でも故郷を思い起す良きアイテムで、たまに引っ張り出しては読み返しています。
私も退職後は、いよぼやのように生まれ故郷に帰って晩年をと思い、何度か村上に足を運び友人まで煩わせたりして家を探したのですが、気に入った家を見つける事が出来ずに、この6月から奥武蔵丘陵を見渡せ、晴れた空気の澄んだ日には、富士山も見える埼玉県は飯能に住まいすることになりました。
しかし、故郷忘れがたし、そんな折に高校の同級生である細井さんからの誘いもあり、郷友会に出席したところ、早速一筆をと赤見会長始め皆さんからの薦めもあり、思いつくままに書かせて頂きました。
″鮭っこ。はともかく、私は村上上町で生まれ、本町学校ぼろ学校など塀越しにからかわれた小学校が併合された翌年に、父の実家である桑川小学校から下海府中学に、そして高校は上町の叔母さんの家でお世話になり卒業後上京、東京勤務を果て、大阪に転勤、大阪で役職定年を迎え、住まいの在る東京練馬に戻ったのですが、この土地で余生を送る気分になれずに転居を決意した次第。
冒頭のシヤガの花は、私も思いがあり幾度となく登ったお城山の風景の一つで、よその土地に行った時に、シヤガの群生を見かけると草花の大好きだった母、そしてお城山、村上と思い出します。生前の母の希望もあり菩提寺は、長楽寺としたことで何かしらに託けては帰省しています。
過日の郷友会での席上、村上の人口は3万を切っているのではなんて話したところ、今度合併で七万を超えるとの事。しかし純増でではないので寂しい限りです。

一昨年だったと思いますが、大阪より東京に戻った時、東京駅に降り立ち雑踏の通路を歩いていると、聞き覚えのあるお囃子が聞こえてくるではありませんか。心躍らせ、聞こえてくるイベントホールに行くと、上町のおしやぎりがあり二度びっくり。そんな事で、その年の祭りに妹達と連れ立って祭り見物、村上祭りには珍しく良いお天気で、暑い日照りの中、片町から肴町まで写真を撮りながら、おしやぎりの追っかけをやりました。上町のおしやぎりがこけたりのハプニングもありましたが、そんな道すがら考えた事は、道路が広がりきれいになるのは良いのですが、広がるだけでは城下町の風情を壊すだけで、魅力の無い町になってしまうのではと。お人形様巡り、屏風祭り、宵の竹灯篭祭りとイベントの企画実行にはすばらしいと思います。しかし道が広がるだけでは、イベントが無くとも散策するに魅力の乏しい街になってしまうのではと、危惧するのは私だけでしょうか。
木陰が無い、食べ物やさんが無い、お茶するところが無い、料亭でなく、ちょっとした魅力ある食べ物やさんがあると良いのですが、イベントの無い普段に行くと、街中で食事やお茶するところを探すのに本当に困ってしまう。周りの自然環境に恵まれていただけでは人口減少の歯止めが利かないのでは。村上は地方都市にしては思いのほか家賃が高く、これでは若い人達が住まうとは考えられないと、自分が家探しをして思ったものです。人々が集い、定住人口が増えてこそ活気のある街と言えると思います、イベントで訪れる人達がこの町に住んでみたいと思うような、魅力在る街作りを是非考えてほしいものです。
きれいな水を守る会もあるとか。どのような活動をしているのか知りませんが、もっと水を積極的に利用できないでしょうか。東京でさえ「東京水」を売り出しています。中身は高度処理の水道水ですけど。昔、町の中を用水が流れていましたが、今はどうなっているのでしょうか。農業用水としてでなく、町の中に引き込んで水路をめぐらせるとか、散策できる並木道で、観光施設やお店を結ぶなど散策できる並木道と一休みできる木陰がほしい。そして城下町らしいしやれたお店や、お茶やさんで和菓子など食べながら一休み、そしてお寺など巡れたら楽しいと思います。イベントが無くとも、散策してみたい吸引力の在る新しい町の顔になってほしいものです。
リピート人気ナンバーワンの九州の黒川温泉だって木を植え続け自然景観を創り上げての、日本一の露天風呂巡りだけではないのです。長野県の小布施、岡山の倉敷など街の中に、木陰があり、人々が集い寛げる揚があり安らぎがあります。合併で埋没しないように、ガンバレ村上とエールを送ります。
水はもっとも大切なエネルギー資源です。地球温暖化が叫ばれ、自然環境が益々大切になっていきます。是非、恵まれた自然環境と水を有効に活かしてほしいものです。
平成19年6月25日 飯能にて


リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。 (編集部)

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