2020年9月号
  リレー随筆 「鮭っ子物語」  No.204



<私のidentityを想う>


 中国武漢から始まったと言われる、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響は計り知れない、恐らくこの文章が掲載される頃でも収束の道筋は中々見えていないと思われます。
そのような中にあって、郷里村上に帰省することも、憚られるこの頃です。
 高校を卒業して早半世紀になろうとしています。その間、年末年始、お盆などに、出来る限り帰省し家人や親戚、友人、町内の方々に近況報告がてら、訪問させて頂いております。そんな時「はよ帰ってこい」とか「いつ帰ってくるんけ?」「帰ってこねばだめらっせ」などと村上弁であちらこちらで声を掛けられ、もう少しもう少し等と言っている間に永い月日になっていました。有難いことに私と村上とを繋いでくれているものがあります、私の出生地は、上片町です、町内会の幹事の方が毎月、「上片町だより」を送ってくれています。今月の予定行事や出来事、祝儀・不祝儀まで、毎号俳句の記載もあります、編集・発送作業が大変では、と何時も乍ら感心、感謝しております。
 さて昨年5月末に会社のOB会の親睦旅行を<新年号令和元年に相応しく新皇后雅子さま所縁の地、越後村上を訪ね、宿泊は瀬波温泉、日本海に沈む夕日を満喫する旅>と称し有志13名を引き連れ幹事として、案内させて頂きました。5月下旬としては、真夏を思わせる天候のなか、上越新幹線「とき」、新潟駅で特急「いなほ」に乗り次、JR村上駅でお迎えは、「鯉のぼり」ではなく「鮭のぼり」の歓迎、予約していた昼食時には、特産塩引き鮭と地酒で乾杯。おいしい、うまい、の連発で全員満足。
 その後、村上観光ガイド(ボランティア)の会長・板垣氏の案内で、塩引き鮭で、有名な「越後村上うおや」・「千年鮭きっかわ」の店舗を訪問、次に「三の丸スポット」に回り「おしゃぎり会館」では、村上の職人技の集大成豪華絢爛の山車(おしゃぎり)にうっとり、重要文化財「若林家住宅」では、藩政時代の中級武士の生活を体験、さらに「黒塀通り、寺町界隈」を散策、盛り沢山の内容で、一日目の観光、見学は終了、宿泊の瀬波温泉・「夕映えの宿 汐見荘」に向かい、掛け流しの温泉に疲れた体を浸し癒したのち、宴会となりました。日頃の参加者の善行が功を奏し、宴会中、丁度正に夕日が凪の日本海へと沈むすばらしい絶景を鑑賞、暫く宴会も中断を余儀なくされる程でした。
 翌日、日本初の鮭の博物館「イヨボヤ会館」を見学(イヨボヤとは、村上地方の方言で鮭の意味)。鮭の生態や、村上の鮭文化、歴史に触れることができました。
 その後、昨年創業200年を迎えた「〆張鶴」で有名な醸造蔵元宮尾酒造㈱に酒造りの見学、見学等はおこなっていないとのことでしたが、特別と言うより無理にお願いし実現。酒蔵の説明等を丁寧にしていただきました。村上といえば、堆朱、堆黒も有名ですが、伝統的なものから現代的なものまで、チャレンジしている、「URUSHI OHTAKI」にも訪問いたしました。参加者の多くが記念に買い求められておりました。昼食は、「割烹 善蔵」にて村上のこの時期の産品をふんだんに使った昼食を頂き、腹一杯になったところで帰宅の途につきました。
 まだまだ、見てもらいたいところはいっぱいあったのですが、時間の限られた中での観光・見学・体験とせわしい旅ではありましたが、参加者から「もう一度ゆっくり家族、友人と訪れたい」、「いいところだね」等とお褒めの言葉を頂きました。
 村上を離れた今でも想いは、村上にあり、上片町にあり、わが家にあり、しみじみと村上に生まれ、育った事の嬉しさ、誇らしさを感じると同時に、山、河、海、水、空気、情け、お祭り、七夕祭り、お城山、三面川・山辺里川、鮎、鮭、酒、等など、数限りなく脳裏に浮かび、心情は正真正銘「村上人」と想っております。

コロナ禍のなかで、日々戦々恐々としながらも、盆唄曰く、急けども今この見れば、時節待つより、他はなし、の心境で、会社勤めをしているこの頃です。



高橋 初雄
村上小学校、村上中学校、
村上高等学校、専修大学卒
村上高等学校同窓会関東支部副会長

















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リレー随筆「鮭っ子物語」は、村上市・岩船郡にゆかりのある方々にリレー式に随筆を書いていただき、ふるさと村上・岩船の発展に資する協力者の輪を広げていくことを目的としています。 (編集部)
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