20世紀からの伝言 |
北越後の里山 3 日 本 国(にほんこく)
日本国。不思議な山名である。日本一の鷹を捕った将軍の話や日本とエゾ国の国境の山とか、山名の由来はいろいろである。しかしミもフタもない話になるが私は「二本」 から「日本」と書きかえられていったような気がしてならない。新潟と山形の県境にあるこの山は近年有名になってきた。珍しい山名で、しかもハイキングには、手頃な山なのである。 1985年頃に山北町日本国を愛する会が登山口に休憩所を建設し、町が登山道を整備した。 毎年5月5日には町が主催して「日本国征服登山」が行われる。また登山口の小俣集落は出羽街道にあり古い街なみを復活させようという地元の熱意で「小俣宿」として観光的にも活性化してきた。 登山道は、集落はずれの小俣小学校附近にある。道は立派に整備されていて、2時間たらずで2等三角点のある頂上に立つことができる。山頂には小屋や、砦(とりで)の櫓(やぐら)のような展望台も建設されている。
私がこの山名を知ったのは1960年代の中頃である。中条町の登山家五十嵐力氏(中条山の会)が1966年山北町雷(いかずち)峠から日本国を越えて山形県鼠ヶ関の海岸までの15Kの県境を踏査されたのである。その報告書に五十嵐氏は、山北町民が安く楽しく湯治できる山北温泉の掘さくと日本国登山道の開発を提言されていた。 これにはおまけがついていた。新潟県の資料にある極北が北緯38度38分01秒とあるのは33分の誤りであることを発見された。大もとが県の資料であるためすべての丈献が誤まった数字で使われていた。 原因は数字の「8」と「3」の誤植であった。1966年以降にはこれが改められた。県北が9Kも北にずれていたのである。登山家五十嵐力氏の功績は大きい。あれから30数年。 この町でしか買えない吟醸タイプの地酒「日本国」(大洋酒造)も有名になってきた。
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