http://www.murakami21.com 村上広域情報誌2001

故郷の偉人 NO.2



大正末期頃、日本青年館において、女子中等学校音楽連盟、毎日新聞社後援による、春季音楽大会出演前、コーラスのリハーサル風景
大和田 愛羅 (オオワダ アイラ)         
      (音楽家)(1886〜1962) 「汽車」の作曲者
資料提供(敬称略)      
大和田 浩(長男)
桂  幸子(孫)

「今は山中 今は浜」で始まる唱歌「汽車」の作曲者 大和田愛羅は、村上市塩町の安泰寺に眠っています。

毎日夕方5時、村上市内中に「汽車」のメロディーが流れています。村上駅では列車到着時に、岩船広域地域では、巡回図書館車で流れています。

大和田愛羅は、明治19年3月24日(1886)、東京都牛込区(現新宿区)下宮北町に、大和田虎太郎の長男として生まれる。

祖父大和田清春は村上藩士で、村上市本町1657番地(現庄内町)に住んでいた。明治維新後は医業を生業としており、その頃来港したイギリス人宣教医パームの影響を受け、熱心なキリスト教信者となる。医療活動と伝尊活動に従事し、その後新潟に移り住み、東仲通教会の牧師であり医師として教会病院に勤務していた。
父虎太郎は、清春の長男であり新潟医学校を卒業後、父を助け医療に従事していた。その後軍医として仙台に赴任したが、28歳で病死した。

その時、愛羅5歳であり、母カツと3人の妹と共に新潟の祖父清春のもとにひきとられた。

愛羅は、新潟師範学校付属小学校から、新潟県中学校(現 県立新潟高校)に入学。明治38年3月卒業(1905)。東京音楽学校(現 東京芸術大学)本科声楽科に入学、更に研究所に進み、同44年3月卒業。東京府立女子師範学校兼府立第二高等女学校の教諭となる。

昭和18年4月(1943)、東京第一師範学校教授に任じられたが、傍ら同士と四部合唱団を作り、音楽の普及に尽瘁する。
戦後は、東京芸術大学に奉職し、一方、関東合唱連盟顧問や全国学校合唱コンクールの審査員を務める。

昭和26年退官、上野学園大学の教授となり、また明治大学、慈恵医大、国立音楽学校、東洋音楽学校その他いくつかの学校の音楽の指導にあたった。
昭和37年(1962)8月11日没。享年76歳

作曲した曲
 校歌を含めると約150曲。
   村上尋常高等小学校校歌
         作詞 相馬御風
   新潟中学校校歌
         作詞 相馬御風
   新潟高等学校校歌 
         作詞 堀口大学
   新潟商業高校校歌
          作詞 相馬御風
親しまれている曲
   白帆    作詞 西条八十
   汽車    文部省唱歌
   沼べり   作詞 北原白秋
著書
  「中等教育女子新音楽」 
    昭和8年 盛林堂書店
  「新進音楽教本」 
    昭和13年 盛林堂書店
  その他  
趣味
 狩猟、投網
特に投網は、毎年千葉県外房の浪花海岸で、家族と一緒に、夏の40日間家を借り、網をうっていた。

孫 幸子さんの思い出
 コーラスの指導は、よくしていました。人情家で、いつも大勢の集まる事を好んでおり、筋骨隆々として、青白き音楽家ではなかった。



恩師 吉丸一昌先生
国文学者
大分県臼杵市出身
「早春譜」の作詞者
東京音楽学校時代の恩師
愛羅の仲人
文部省「尋常小学唱歌」編集委員
「新作唱歌」の著者
   「めくら鬼」 大和田愛羅作曲
   「荷車」       同上
   「飛行機の夢」   同上
   「蟹と海鼡」     同上
吉丸日記より
「12月2日、大和田愛羅の仲人に依頼されており、結婚式を3日後に控え、大和田の母来たりて、その打ち合わせをする。」
「10月5日 大和田、梁田両生来賀、夜中山生来宅東京の奉職口の話ある故、中山晋平に問い合わせと話置きたり」
「3月18日 大和田愛羅、赴任先備後福山と定めたり」

参考資料
 「望郷の歌 吉丸 一昌」
        吉田 稔 著
 吉丸一昌記念館「早春賦の館」
       大分県臼杵市市浜
       Tel 0972-63-7999 

音楽一家
孫娘   桂 幸子さん
祖父愛羅のもとで音楽を始める。歌、ピアノ、ヴァイオリン何でも好きなものをやるといいと言われ、ヴァイオリンを選ぶ。
上野学園高等学校音楽科卒業
上野学園大学音楽部器楽科ヴァイオリン専攻卒業
現在 河合音楽教室ヴァイオリン科講師、ヴァイオリン奏者、ユ・マ室内合奏団 団員

ひ孫   桂 朋子さん(幸子さんの姪)
 ヴァイオリン奏者
ジュリアード音楽院大学院修士課程卒業
現在、オランダ室内管弦楽団で活躍
1999年以来、日本でのリサイタルを東京、千葉ほか各地で開催している。
 オランダ アムステルダム在住
千葉市出身

村上尋常高等小学校校歌 
作詞 相馬   御風
作曲 大和田 愛羅
  1 三面川の清流に
    心を浄め身を洗ひ
    早瀬を上る若鮭の
    雄々しく強く伸び行かむ

  2 お城の山の松風の
    さやけき音に耳澄まし
    神をたふとみいにしえの
    偉人の徳を思はばや
 3 日に明らけき文明の
    光りかがやくまなびやに
    善き師の愛に恵まれて
    楽しく学ぶわれらなり

  4 日本海の荒波も
    漕ぎわけて行く船はあり
    いざはらからよ撓みなく
    励み勉めて息まざらむ


村上駅前にある汽車の碑
「汽車」の碑
新潟県村上駅前広場
福島県広野駅構内



大和田愛羅編「歌唱基本練習教科書」
高井楽器店蔵版(大正6年初版・大正15年再訂版)


大和田愛羅作曲 唱歌曲集
「夢のお國」 
京文社(昭和4年発行 昭和5年3版)



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