新潟動物ネットワーク  
No.218


猫を知らないスタッフの、ドタバタ野良猫活動記
~そして念願の猫飼いに~



私は、スタッフではあるものの、猫を飼った経験はほとんどありませんでした。
そんな私が、野良猫を減らすための活動に関わったお話をしたいと思います。

★スタッフになったきっかけ

小さい頃は家でチワワ家族を飼っていて、動物は大好きでした。
社会人になり、通勤途中に通る公園に猫が沢山いることを知り、話を聞くと、いわゆる「地域猫」だとのことでした。地域猫とは、地域の方々が野良猫を減らすために、不妊去勢手術・管理をされている猫のことです。
実情を知った私は、そこにいた6匹きょうだいの子猫のうち、2匹を連れて帰りました。見たまんま「くろ」「しま」と名付けて可愛がりましたが、兄の娘が重度の動物アレルギーであることが分かり、家族の反対もあり、泣く泣く里親さんを探して2匹一緒にもらっていただきました。
飼ったのは1か月だけでしたが、2匹の事はとても可愛く別れが辛く、それだけに「安易に飼うことは猫にも人にもよくないのだ」と心に刻みました。20年以上経っても、忘れられません。

   

それがきっかけで、NDNのスタッフとなりました。くろとしまと別れた寂しさを紛らわしたかったのかもしれませんが、猫のために何かしたいと思いました。しかし、猫の事が判らず、直接関わる活動は難しかったため、メール対応などの裏方の作業をしていました。

★野良猫相談の担当に

昨夏、友人から相談がありました。非常に多い相談です。「エサをやっていた野良が子猫を産んだ。どうすれば良いか?」 
母猫は手で捕まえられ、避妊手術してリリース(元いた場所に戻す)、子猫は友人とその知人が飼うことになり、安心していました。
が間もなく、その近所の方が「エサをやっているメス3匹の手術と、子猫3匹の保護をしたい」と。よく聞くと、1匹はお腹が大きく出産直前でした。
これは簡単な話ではないと思い、ベテランスタッフに相談、急ぎ捕獲器を6台借りて捕獲、メス3匹は手術前後うちに置きました。猛暑だったので、唯一クーラーのあるリビングに捕獲器ごと置き、子猫が産まれないかと眠れぬ夜を過ごしました。無事手術しましたが、他の1匹も妊娠していました。
猫の命に関わることですし、会のスタッフとして責任をもって動かねばなりません。分からないことばかりで、逐一ベテランスタッフに聞きながら緊張して動いていました。
メス達は無事リリース。子猫は相談者さんが2匹飼い、残り1匹の里親探しだけ! とホッとしました。

 
お腹に5匹の仔がいました。可哀想ですが手術しました。
獣医さんはなお、断腸の思いです。

すると、今度は次々と「オス猫が来るようになった」、やっと捕獲したら「別のオスが現れた。」
オスたちは警戒心が強くかからず、代わりに手術済みのメス3匹が順番にかかって困りました。
ようやく捕獲したところで、「手術済みのメスが産んでいた子猫が5匹と、新たな成猫が2匹いる。」
クラッと倒れそうになりましたが、1匹でも残すと増えるので、やるしかない、と思いました。
情報の猫たちを相談者さんと探したところ、子猫5匹・成猫2匹を発見しました。付近の2軒のお宅に訪問、エサやりさんでした。協力をお願いしたところ、幸い皆さん猫がとてもお好きで、「何とかしたいけれど手術は高額で、捕獲もできず困っていました」とのことで、快諾してくださいました。

再び捕獲器6個をフル活用し、捕獲大作戦です。
相談者さん方もお勤めなので、地元の友人達に協力してもらい、手分けして捕獲器のチェック、エサの入れ替え、かからなければ場所を変え、手術済みの猫が入っては仕掛け直しをお願いし、私は入ったら都度迎えに行き獣医さんへ。
うちのリビングでは、成猫は捕獲器に入れたまま、捕獲したて・手術前で絶食・手術済み休養中の子が混在、「この子はどの状態?」が分かるように札を付け、夫にも世話を手伝ってもらいました。

 
体の大きなオス、通称「ボス」 中々捕まりませんでした。

うち2匹を熱中症にさせかけたこともありました。
「猫がかかった」と連絡をもらっても行けたのは2時間後、農舎の日陰でもハァハァしてぐったりしていました。どちらも翌日には回復しましたが、1匹は出産直前で、死なないか、産まれないか、肝を冷やしました。その子は、外飼いでもエサやりさんにとっては「うちの大事な猫」でした。そんな命を扱う、活動の難しさを感じました。
子猫5匹は1匹2匹とぽろぽろ捕まり、その都度健診とワクチンをして、相談者さんが保護できなかったため、いきなりで不安でしたが、うちで保護しました。



はっちゃん① 捕獲した日、怯えています。


姉妹一緒になると、落ち着いてきます。
左から さばこ、おでこ、きじこ、はっちゃん② 

同時進行で、子猫の里親探しです。「これ以上大きくなると貰い手が付きにくくなる」と、急いで相談者さんと私で探し、友人達も協力してくれ、早い段階で3匹が貰われていきました。
残り2匹! と思った時、「新たな子猫を捕まえた」と。またも相談者さんが保護できず、小さな子で不安でしたが、保護しました。

 
この時はまだ薄汚れていて、可愛くないなぁなんて思っていました。

★「うちで飼おうか…」

この辺りで、私も少し慣れ、落ち着いてきました。
そして思ったのが、残っている子猫3匹のうち一部をうちの子にしようか…ということでした。
ちょうど家族の問題はほぼ解決した頃だったので夫に相談したところ、最後に保護したチビ猫が人懐っこく気に入ったというので、「ちび」と名付け、うちの子にしました。

残り姉妹2匹、1匹は臆病、もう1匹はシャーシャーでした。最初に捕獲器から出そうとしたときに大暴れして、おでこにハゲを作ってしまったので、仮の名前で「おでこ」→「でこ」と呼んでいました。「慣れて里親が見つかるのか?」 と、一番不安だった子です。
が、面白いことがあったのです。
ちびを家に連れてきた時、ちびのケージにバスタオルをかけ見えないようにして、5メートルほど離して置いたのですが、ちびが「ミャ~」と一声鳴いた瞬間、でこが母親のような声で「ニャ~!」としきりに鳴き、離れたケージに向かって手を出し続けたのです。
これは一緒にしてあげればよいのでは!
かたや、明るいけれど1人ぼっちで噛みが強く爪も出すちび。かたや、猫同士の遊びはバッチリだけれどビビリな姉妹。お互いに良い影響があるのでは? と、少しずつ様子を見ながら一緒にしました。
すると、姉妹は、ケージから出ると怯えていたのに、ちびに誘われて遊ぶうちにすぐ慣れました。ちびは、しだいに噛みが弱くなり爪も隠せるようになりました。

 
ビビリの姉妹はケージに入れて、少しずつ。

臆病な子は、ご縁あってお嫁に行きました。でこが残り、ちびと仲良くしている姿を見て、「このまま一緒にしてあげた方が幸せでは?」と思いました。20年前、くろとしまがそうであったように。猫は猫同士でしかできない遊びもあるし…と。
夫は当初「飼うのはちびだけ」と言っていましたが、でこが次第に慣れて可愛くなってきていたので、一緒に飼うことに決めました。

念願の、猫との暮らしが始まりました。
何をするにも調べたり聞いたり、焦ったり大喜びしたり。そんなことも、すべて楽しいです。
初めての子育て、夫はもうメロメロ。常に猫ファーストで、じゃらすのも初めてとは思えないほど上手です。私にも変化がありました。ストレスを感じやすい性格なのですが、以前より気楽に考えられるようになりました。
この子たちがいると、それだけで笑顔が出ます。日々、この子達に助けられています。ペットという家族の力はこれほど大きかったのだなと、改めて感じています。



 

★さいごに

私は慣れなくて大騒ぎではありましたが、この件は比較的苦労なく解決した方ではないでしょうか。地域の方々が協力的なことも幸いでした。
毎日、各地で野良猫活動が行われており、深刻な多頭飼育崩壊も多く問題となっています。
最初はほんの1匹です。放置すると1年で90頭位に増えてしまいます。そして、野良は決して幸せとはいえません。病気、事故、外敵、暑さ寒さ…人の助けなしで幸せに生きていくことは難しいでしょう。

私は、うちで保護した子達が幸せそうで嬉しい半面、野良猫たちを思うと、同じ猫でもほんの少しのことで運命が変わってしまうのだな…と複雑な思いを抱きます。
1匹でも不幸な野良猫を減らすために、野良猫は避妊去勢手術を、猫を飼うなら保護猫を、飼い猫も手術して完全室内飼いをし、迷子札を付けてあげてください。どうぞよろしくお願いします!


新潟動物ネットワーク/総務
小柳 光
令和4年3月1日


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